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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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22 前借り後払い<クレジット>4

 さて、前借り、特に借金について考えてきましたが、次は時間の前借りについて。

 積読(つんどく)だね。読む時間を考慮せずに、買うから部屋が埋まるんだよ。

 とまぁ、分かりきった自戒ネタはいいとして。

 時間の前借りで一番面倒な事例は、定額制サブスクリプションサービス、サブスクでしょう。○○放題って奴だね。

 月々のちょっとした支払いだけで、いくらでも本が読めたり、映画が見られたり。それどころか飲食店でも近しいサービスをやるところがあったりする。

 問題は、1日は24時間しかないということ。

 サブスク料金を見たとき、値段(ほし)を見て「安い! お得!」と思う。

 必要な時間(やみ)は一切気にならなくなっちゃっている。星空のバイアスだね。

 サービスの良し悪しを判断するときは、「値段と時間」をセットで考える習慣をつけるのが良さそうです。


 さて、サブスクリプションサービスの範囲を広げて考えていきましょう。

 90分間食べ放題とかどうかな? 90分食べ続けなきゃ損だろうか?

 カラオケの3時間パックはどう? 3時間歌い続けなきゃ損だろうか?

 お腹が苦しくなったり、喉が枯れてしまうのは馬鹿馬鹿しくないか?

 これは、レイク・ウォビゴン効果って奴だね。全員が平均以上という架空の街(レイク・ウォビゴン)が名の由来だ。

 食べ放題の例なら、その料金は皆が食べる量、その平均値がベースになる。

 得をする、損をしない、元を取ろう。その平均値を超えようとするわけだ。

 その場の全員が、平均を超えようとする。

 平均って、(たい)らに(なら)すの文字通り、平均値の周囲に散らばるもの。基本的に、半分ぐらいは平均越え、残りは平均に届かないのが現実です。というか、分布によっては6割以上の人が平均以下ってのもザラです。

 もしも全員が得できるようなら店が潰れるので、当然料金は値上げされます。値上げされたあとの値段が、食べ放題の料金表に載っています。

 それなのに、その場の全員が平均越えを狙う。

 すると、『余裕(スラック)』が消え去りますね。

 満足感ではなく、苦しいだけの膨満感が手に入ります。

 実際、食べ放題にせよ、カラオケにせよ。

 6~8割に抑えておけば、ホント満足感は高いんですよ。

 栄養バランスだって良いし、ストレス解消にもなるしで最高です。ホント、どうしてこうなった。


 もう一度、サブスクリプションサービスの範囲を広げて考えていきましょう。

 さっきは時間軸で意味を広げて考えたので、今度は普及している空間を広げてみます。

 公共料金ってどうでしょう? 電気・ガス・水道・通信料金。国営放送の料金もだね。

 政府ってサブスクリプションサービスでしょうか? 税金はサブスク利用料?

 もちろん、電気やガスや水道は、使いすぎれば値段が上がるから純粋にサブスクとは言いがたいですね。でも、通信……インターネット接続料はどうでしょう? 完全定額制であることもあれば、上限金額が決まっていて実質定額になったりしてませんか?

 でもだ。

 私たちは、今更インターネットなしの時代に戻れるわけじゃない。

 政府だって必要だろう。必要最低限、あるいは必要充分な警察と軍事、無秩序を防ぐための法秩序、福利厚生、どれもなくちゃ困る。

 私たちは、どうやってもサブスクから逃げられない。逃げるつもりもないようだ。

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