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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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19 前借り後払い<クレジット>

 さて、次は前借り後払い(クレジット)について考えてみよう。

 借金は分かりやすいね。特にリボルビング払い、通称リボ払いは典型例だ。

 これは月々の返済額の上限が決められている借金のシステムのこと。例えば、月々5000円まで、と事前に取り決めておいたとしよう。

 ここで、ちょっと財布に『余裕(スラック)』がなかったとする。

 5000円の買い物がしたかった。これをリボ払いにする。

 一括払いなら金利・決済手数料が無料になるとかで、1ヶ月後に5000円払う。解決。

 こういうのをまず、1度体験するわけだ。

 ここからが魔王式の段階的要請法(フットインザドア)

 今度は10万円の買い物がしたくなった。リボ払いをしたとしよう。金利手数料は年間15%とすると、5000円を23回返済し、24回目に端数を払うことになる。1万5000円強が利息になる。返済期間は2年になる。

 では、ここで42万6806円ぐらいのものが欲しくなったとしよう。月々5000円の支払いで、月当たりの利息はほぼ5000円だ。返済期間は死ぬまで、永遠である。

 毎月5000円の支払いという足枷を付けて生きていく、現代の奴隷になるわけだ。

 元々『余裕(スラック)』のない生活だからこそ、リボ払いを選択したはずだ。

 なのに、(わず)かな『余裕(スラック)』をずっと搾取され続けてしまうわけだ。

 これを脱するためには元金をまとめて支払えばいいが、財布に『余裕(スラック)』はない。でも月々5000円払い続ければいいんでしょう? という誘惑に勝てない。何故なら、そのときにはもう心にも『余裕(スラック)』がないからだ。たかが42万そこそこの返済に、支払期間・総額が無限大になっている狂った事態を放置する。元本の返済が重要だと分かっていても、緊急ではないと判断してしまう。何故なら、『余裕(スラック)』がないからだ。

余裕(スラック)』がなければ、買い物を諦めればいい。本来はそれだけで解決する。仮に命に関わる問題だとしても、それは社会的なセーフティネットに頼ればいい。

 だが、そこにお手軽に金を借りる手段が加わることで、『余裕(スラック)』を失う。買い物を諦めればいいことに気付く『余裕(スラック)』もない。公的機関? 保険? それを調べる『余裕(スラック)』もない。こうしてどんどん追い詰められ、『余裕(スラック)』のない自分ができあがる。

君は『余裕(スラック)』のある方だ。なんて、「ゆとり」の押し売りだよな。そう(ひと)()つ。


……唐突にすみません。なんか友人さんが押し売られたらしくて。皆様もお気をつけを。

君自身の『余裕(スラック)』、高品質の「あそび」を手に入れることを願っています。


まぁ、当事者でもない他者(ダレカ)の不幸を勝手に願っておきながら、自分は幸せだなんておかしな話だ。人を呪わば穴二つ。きっと、その言った相手も疲れていたんだろう。そっと心の距離をおいて、むしろこちらから見守るぐらいでちょうどいい。しかし、すぐ違和感に気づけたあたり、君の感性(こころ)は死んでいない。私ならどうだろうかと、むしろこっちが不安になってしまったよ。

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