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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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13 認知的背理法、またの名は……

 では、この星空のバイアスに抗う方法について考えてみよう。


 とはいえ、主観という(いまし)めはとても強固だ。流石神(さすかみ)さんじゃないのだから、完全に(ほど)くのは無理だろう。だけど、ちょっと緩めるぐらいなら、方法はある。


 強固なものには、強力な道具で対抗しようと思う。

 背理法という、数学で使う超便利な証明ツールを魔改造しちゃおう。

 認知的背理法、と名付けておく。

 あ、堅苦しいかな?


 認知的背理法(ツンデレごっこ)、とルビを振っておくことにしよう。

 親しみが湧いたかな?

 じゃあ、まずは実演だ。


「私は君のことが気になっているのかな?」

「き、君のことなんて全然気にならないんだからねっ!」

「ああ、君のことが気になってしょうがないんだ」


 という感じだね。ご、ごっこ遊びなんだからねっ!


 疑問に対し、仮に否定をしてみたら上手くいかず、逆に深い確信を得る、というアプローチ。


 この方法の利点は、失敗しても構わないこと。失敗例をやってみようか。


「私は君以外(ダレカ)のことが気になっているのかな?」

「だ、君以外(ダレカ)のことなんて全然気にならない――あ、本当に気にならないな」

「ああ、君以外(ダレカ)のことなんてホントどうでも良かったんだ」


 疑問に対し、仮に否定したら否定できちゃって、もう悩まなくて良くなる。すると、心の『余裕(スラック)』が手に入る。安堵という感情が伴う『あそび』だね。おそらくは問題(ほし)への意識が薄れ、周囲(やみ)へと視野が広がる。


 認知的背理法(ツンデレごっこ)は上手くいってもいかなくてもメリットがある、実に都合のいい方法なんだ。なんでこんなに都合がいいんだろう? その辺りも探っておこう。


「私は正しく物事を見ることができない(星空のバイアスを自認する)」

「私は君のことをちゃんと見ているのかな?(不安と疑問が浮かぶ)」

「君ではないもの、君以外(ダレカ)を見てみよう(背理を考える)」

君以外(ダレカ)以外は、君自身に他ならないはずだ(論理的には正しい)」

「んー……。んんー? ああ(認知のズレに気付き、修正する)」

「私は以前よりも君のことをちゃんと見ていると思う(成長した自分)」


 数学的な背理法は、厳密に定義された命題にしか使うことができない。

 だけれども、命題ではないものに対して認知的背理法(ツンデレごっこ)を用いることによって、自覚しにくい認知のズレに気付くことができる。

 数学的な背理法が命題ではないものに上手く使えない理由は何か、と突き詰めていくと認知のズレに行き着く。

 だったら、ズレをあぶり出すのに使ってしまおう、というのが認知的背理法(ツンデレごっこ)だ。


 普通は、現実に慣れきってしまい、自分の焦点(ピント)がズレていることに気づけない。

 そんな時は、現実発非現実(ファンタジー)行きの往復券を手に入れることで、自力でのピント合わせができるようになる。


 だから、認知的背理法(ツンデレごっこ)が成功しようが失敗しようが、結果的に利益になる。それは、ズレていたピントを直すことができているからだ。


 まぁ、そもそも『余裕(スラック)』という考え方自体、過剰社会に対する認知的背理法(ツンデレごっこ)なのだから、何をいまさら、という話だね。


   †

 前話の前書きを受けて、いつもの友人さんが「あの春を返して」を聴いてくれたらしい……。

 歌詞に体言止め(主に名詞で言葉を切るアレ)が上手く使われていて、『余裕(スラック)』のない精神状態が切々と伝わってくる。犬猫のくだり周辺やラーメンの辺りは特に秀逸。←体言止め、こういう表現ね。

 筆者(わたし)も体言止めは語感優先で割と使っているので、学びにもなって最近よく聴いています。

 なお、歌詞に転生ネタの軽いいじりがあるんですが、これで怒りを覚えたら『余裕(スラック)』が足りていない可能性があります。

 認知的背理法(ツンデレごっこ)と思ってみても面白いかもしれない。というオチ。また明日!

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