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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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07 ズレを補正する

 数え年って知ってるかな?

 生まれたときを1歳、お正月を迎えるたびにプラス1歳。

 例えば、大晦日(12月31日)に生まれた赤子は、1歳。

 翌日、元旦(翌年1月1日)には、2歳ってことだね。


 つまり、生後2日目でもう2歳になるってこと。

 子供が大きくなるのはあっという間だね! なんて、ね。

 現代で一般的に使われる満年齢とは、また違った年齢の数え方、それが数え年。


 (ゼロ)の概念を知っていると、これはどうにも「ズレ」た感じがしないかな?

 確かに、0を知らなくても、数え年は問題なく使うことができる。

 年上か年下か、年齢差がどれぐらいかも分かる。

 もしも、皆が数え年を当たり前に使っていたら?

 違和感をスルーしてしまう、あるいは違和感さえ抱けないんじゃないかな?


 でも、やっぱり問題はある。

 年齢の差を求めるときはズレ同士が大雑把に打ち消し合うから目立たないけれど、和を求めた時は単純にズレが積み重なる。


 例えば、こんな足し算はどうだろう?


()()小説()


 ここで君や私が2や3にズレてしまったら?

 小説(こたえ)は知らず歪んでしまうんじゃないか?


 年齢だからこそ、足すことはあまりない。だから世間的に見逃して貰える。

 でも、私たちにとって大切な人間性なら?

 人間性の基点が0からズレてしまっていたら、知らずその「ズレ」を積み重ねてしまったら、いつの間にか人の道を外れて獣道に迷い込んでしまうのでは?


 じゃあ、これを避けるために、ちょっと考えてみよう。

 人間性が『なにもない』ってどういうことだろう?


 それは(ケダモノ)だろうか?

 食べたいときに食べ、眠りたいときに眠り、犯したいときに犯す。

 そんな獣。

 本当にそうかな?

 それはあくまで「ズレ」の方であって、「(ゼロ)」とは言えないのでは?


『獣+人間性1=人間』

『獣+人間性0=ただの獣』


 というような感じだね。

 この2つの式から、上手いこと(ズレ)を消してみる。


『人間性1-人間性0=人間-ただの獣』


 つまり、ただの獣が持っていない、人間だけが持っているもの。

 この辺りを探っていく。


 例えば言語はどうだろう? いやでも、動物言語学なんてものもある。言語は人間だけの特権じゃない。

 道具はどうだろう? これも人間だけとは言えない。木の枝や石などを扱う生物は結構いる。

 火なんてどうかな? 確かにこれは人間だけに思える。けど人間性に関係するだろうか? 火は特殊な道具であるとは思うけど……形のない珍しい道具ってだけ?


 ちょっと古代人のイメージが強すぎるかな? もう少し時代を進めてみよう。


 お金なんてどうだろう? 確かにこれを使うのは人間だけだ! でもこれも微妙だな。お金があれば人間だなんて魔王的な暴論だよ! それこそ人間味のない感じがしてしまう。お金も除外。

 お金を除外? じゃあ、物々交換ならどうだ? これなら結構人間味を感じないか? よし、この辺をもっと深掘りしていこう。

 物々交換には何が必要か? モノなら何でもいいのか? 例えば、生活必需品を交換に出すだろうか? 基本的に出さない。出してしまうのは薬物中毒の依存症患者ぐらいだ。

 交換するのは、「生活必需品+α(アルファ)」、このαの部分を交換する。

 αってなんだ? 余剰だ。余り物を交換している。それが物々交換だ。


 ようやく迫ってきた。じゃあ、そもそも、必要じゃないものを何でわざわざ持ってたんだよ?


 これについては、心理学や行動経済学の用語で丁度良いものがあるので、使わせてもらうことにしよう。


余裕(スラック)』があったから、だ。


   †

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