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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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05 努力しない努力

 肩の力を抜くのって大事。


 肩肘張って、全身全霊で力みまくって、神経張り詰めて、睡眠時間まで削って?

 擦り切れた心で、一体どんな顔をして、報いを受け取れば良いんだろう?


 私も君もロボットじゃないから。サイボーグってことも、現状の科学ではまだなさそうだから。人間は機械にはなれない。では、機械と人間の違いってなんだろうか?


 機械は「機械的発展」をする。

 人間は「人間的成長」をする。


 例えば、機械をずっと動かし続けたらどうなるだろう? ひたすらに24時間、いやそれ以上。多くの成果物を生み出し、そして動作を止める。故障だね。動かすだけで利益になるので、壊れた部品があれば取り替える。いつか全体的に古びてしまったら、新型の、もっと優れた機械にまるっと交換される。そうなれば更に生産性が上がり、もっともっと儲かるよ! どんどん動かせ! 機械を止めるな! となるわけだ。

 つまり、「機械的発展」というのは、休まず動き続けることで実現する「発展」だ。


 人間でこれをやったら、間違いなく過労死するね。

 人間は換えが利かないし、そもそも動き続けたところで「成長」しない。

 痛み疲れて壊れるだけだ。壊れきってしまえば、もう二度と治ることはない。

 人間が「人間的成長」を果たすのは、負荷を掛けた後の休憩時間である。

 休息や食事、睡眠がなければ、人間は成長できない。


 もちろん、休んでばかりでも上手くいかない。

 適度な集中、適度な活動、適度な疲労感。

 それらは確かに、休息、食事、睡眠の効果を際立たせるのに必要だ。


 でも、適度ってどれぐらいよ? という疑問が湧くと思う。

 あとに疲れが残らないギリギリ、がベスト。肉体的にも精神的にも、翌日以降に疲れを残すのは厳禁だ。

 個人的な感覚では7~8割ぐらいだと思うけれど、君にとってはどうだろう?

 付け加えると、私の場合、残業祭り(ざん☆フェス)が始まったら5割を意識する。人間は考える葦である、なんて言葉があるけれど、脆弱な人間にも生物的な強みはある。年がら年中繁殖可能なことと、類い稀なる持久力である。手を抜くことに関して、人間をおいて右に出る生物はそうそう居ない。この数少ない特技を活かし、遠慮無く手を抜こう。

 まぁ、これも成長機会(EXP)を捨てて(Gold)を得る行為なので、常態化するようなら逃げた方がいいけどね。必要物(装備品)が揃っているのに金策を続けるぐらいなら、レベル上げて課題(ボス)をクリアして主観世界(ワールドマップ)を広げた方が、経験や仲間(ヒト)装備品や道具(モノ)金策手段(カネ)を増やすのが楽になる。何より、人生の楽しみ方(プレイスタイル)として真っ当だ。人生2周目じゃない、1度限りの人生で縛りプレイはしたくない。

 話を戻すと。逆に金策がある程度済んだのなら、効率の良いレベル上げをしよう。

 負荷を9割から9割5分ぐらいまで引き上げる。でも、疲れは残さない。栄養のあるものを食べ、より寝心地の良い寝具に替えたり、睡眠時間を1時間増やすなどのちょっとした贅沢をしよう。

 大切なことは、10割以上、自分の限界を超えようとはしないこと。限界は超えるものではなく、超えているものだ。休んでいるとき、寝ているときに知らぬ間に超えている。無理に超えようとすると、怪我や精神不調(メンタルブレイク)、故障のリスクが跳ね上がる。安全第一、下手にマイナススキルが生えるぐらいなら、無理しない方がマシだ。


 はてさて! これで完璧だ! これで私も君も、人生順風満帆だね!

 おさらいするよ。

 疲れを翌日に残すのは、未来を担保にした人生のリボ払いだ。ふざけんな! 解約待ったなし!

 金回りを上手いこと調整しつつ、余裕があったら実力付けていこうぜ!


 なあんて、ね。

 本当に?

 これって、本当に上手くいくと思う?

 実際のところ、上手くはいくんだけど……単純にすごく難しいんだ。


 ごくごくありふれた人間心理の話だ。

 明日に疲れを残さない、ここまでは、まぁ、できないこともない?

 でも、豊かな時にトレーニングに打ち込めるかな?


 さてここで、森のクマさんにインタビュー!


 Q.豊かな時には何をしますか?

 A.オレサマオマエマルカジリ、がおー。


 ぎゃー。これで許してください袖の下!


 Q.秋は鮭を食らって太るに限るクマ? むしゃむしゃ。(鮭は犠牲になったのだ)

 A.ですよねー。じゃさいならー。


 だだだ。(逃げるときのSE)


 はい、いつもの悪い冗談だね。

 作為のない……いわゆる自然界では、豊かな時に脂肪を蓄えるのが普通なんだ。

 冬でも狩りができるよう筋肉を付けて鍛える?

 そんな作為は元々存在しないんだ。


 理想論としては正しいよ。

 もしも幼い頃からこの理想論を貫けたなら、スポーツ選手として何億ドルもの契約を勝ち取ったり、将棋とかでタイトルを総なめにしたりできるかもね?

 大人になってからでも遅くはない。もっと年齢制限が緩い分野、ビジネスマンとして、企業家として大成できるかもしれない。

 私や君の意思力を持ってすれば、1年ぐらいは続けられるかもしれない。

 けど、5年、10年。それ以上習慣として?

 なんの誘惑に駆られることもなく、これを当たり前に実現できるか?

 少なくとも私には無理だ。1年とか大口叩いたね。半年が良いところだったよ。(やってみた)

 この理想論を実現する、そして実現し続ける……これは非常に禁欲的(ストイック)な行いであり、実現しようにも、世界は誘惑に満ち過ぎている。

 仮に誘惑に打ち勝ったとしても、義理や人情、状況に振り回されることも多々ある。理屈の上では正しいし、実際効果もある……が皆が当たり前にできるほど簡単なやり方でもないみたいだ。


 この話は心に留めておく程度にして、もっと現実的な話をしよう。


 そうだ! さっきはRPG(ロープレ)の例え話をしたところだ。

 レベルを上げて物理で殴るだけが芸じゃないだろ?

 実現可能な魔法について、なんて話はどうだろう?


   †

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