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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
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04 楽しむ努力

 まずは、何より楽しむこと。

 私たちは、それぞれ抱えたこの一度限りの人生を、楽しみ尽くすために生まれて来た。

 なのに、恐ろしいことに、人生を覆い尽くすほどに長く、つらい努力が、ときに報われてしまう。いっそ報われなかったなら、おかしな勘違いなんてせずに済むのに、だ。


 例えば、安全で美味しい水を手に入れるために、人里離れた険しい山林に分け入って、清水を得るというのはどうだろう?

 虫刺されや野生の獣に襲われるリスクを負いながら、あるかも分からない湧き水を探し、とうとう見つけ出した! とんでもなく美味い!

 でもそれは当たり前だ。疲れて喉が渇いていれば、水質がどうあれ甘露だろう。

 安全な水が欲しかったら、蛇口をひねれば良い。いつもよりちょっと美味しい水が飲みたいなら、コンビニやスーパーで天然水が買える。

 まぁこれは水量豊富な日本の話。水害リスクを無視すれば水に関しては楽ができているというのもあるだろう。ただ、それでも()()なく砂漠をさまよってオアシスを探したりしなくても、井戸や牧畜など渇きを癒やすもっと良い方法はあるはずだ。

 だって、そこに人の営みがあるのだから。

 わざわざ極限状態に追い込まなくては報われないということはないし、礼節や感謝の気持ちを忘れなければ、誰かに助力を乞うだけで簡単に解決できることは多い。


 勿論、山歩きが趣味で、山の空気を、落ち葉の匂いを、上がる呼吸さえ楽しみながら山道を歩いた。たまたま湧き水を見つけて、飲んでみたら美味かった。それなら最高だ。


 ちょっとした内心の工夫だけで、同じ行為でも印象は大きく変わるものだ。

 まずは、何より楽しむこと。


 でも、そうは言ってもだ。失敗続きで落ち込むときもあるだろう。置かれた環境、境遇、偶発的な事故、こんなの楽しめないよ! そんな日もあるだろう。

 楽しまなければならない、なんて思わなくて良いんだ。

 それだと、肩に力が入ってしまうから。

 だから、ほんのちょっとだけ、心に留めておくだけだ。


 なんの因果か、世界が隙を見せるときが来る。チャンスだ。

 楽しめるときは、遠慮なく。楽しんでしまえば良いんだから。


   †

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