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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第6章:記述主義者ともう失敗しない方法論。
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04 大学~現在

 大学生の時の失敗談。


 ろくに受験勉強もせずに、旧帝大のひとつに推薦で受かったこと。

 自由なる大学の風に振り回されたこと。

 地球科学の教授に、どうしてそんなに頭が良いのかと言われたこと。

 数学科の枠に入れず、物理学科に配属されたこと。

 これまでのやり方が通用しなくなったこと。

 留年込みで5年かけて、物理学の単位ひとつさえ取れなかったこと。

 私は物理に関して、200人中で最下位になる程度の劣等生だったこと。


 通信制の大学に転学して3年で情報系を学び直した。

 そちらは特に何も苦労しなかったこと。


   †


 大学生2年目の時の失敗談。


 過敏性腸症候群を患ったこと。

 視線恐怖や対人恐怖を感じるようになっていたこと。


 このままじゃダメだと、TSUTAYAで接客のバイトを始めた。


   †


 バイトの時の失敗談。


 初日に曜日を勘違いして遅刻したこと。

 接客が遅いとお客さんに怒鳴られて、あとでトイレで泣いたこと。

 早さこそルールであると、1週間後には最速で接客するようになったこと。

 お客さんのことなんて、まるで見てなかったこと。

 ひとりひとりのペースに合わせて接客できるようになるのに、3年かかったこと。


 休憩部屋を共有している、同じ建物内の別店舗のバイトさんと軽いノリでLINEを交換したこと。

 その人生初のLINE交換は、既読スルーを怒られて翌日には縁が切れたこと。

 私は既読スルーをそもそも知らなかったこと。

 初心者には入り込めない、閉鎖的なルールだと感じてしまったこと。

 SNSに興味を持たなくなったこと。

 社会的(S)(N)死ね(S)と言われた気分になったこと。


 そうこうしているうちに通信制の大学も卒業し、フリーターとしてバイトを続けながら就職活動を続けたこと。

 就職が決まってバイトを辞めてしまったこと。

 その店はもう存在しないこと。

 最後まで寄り添うことができなかったこと。


   †


 初めて就職した時の失敗談。


 入社試験で歴代最高点を取ったこと。

 入社後に書いた小論で好評価を得たこと。


 下手に期待をさせてしまったこと。

 期待と経験不足のずれを直せなかったこと。

 配慮と臆病の間で、何もできなくなっていったこと。


 些細な行き違いが不和を生んだこと。

 結局7ヶ月で会社を叩き出されたこと。

 一応自主退職という形にはなったこと。


   †


 今の職場に入ってからの失敗談。


 入って3日目に、仕事の進捗で嘘を吐いたこと。

 上司の掲げる進捗が答えるべき進捗だと、会社はそういうものと勘違いしていたこと。

 翌日にはすぐ訂正されたので、嘘が習慣化しなかったことは本当に良かったと思う。


 効率至上主義に走りすぎたこと。

 指揮官率先と、多くを負担していたつもりだが、外国人研修生に大変な想いをさせていなかったか心配なこと。

 機械の動作プログラムを改良し、その機械の生産性を90%上げたこと。

 その高速で動作する機械に指先を挟まれ、開放骨折したこと。というか、千切れかける寸前までいったこと。

 血を流しながら、痛みに耐えながら、無事な片手で応急処置もせずプログラムの改善を行ったこと。

 高速で、しかも安全な動作プログラムのアイディアを思いついてしまったら、自分の身体なんてどうでも良くなっていたこと。

 神経に問題もなく指は治り、爪の伸び方が遅いもののちゃんと生えてくることを、医者に奇跡と言われたこと。


 異動で自分の仕事を引き継ぐようになってようやく、仕事と人間の関わり方について考えるようになったこと。


   †

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