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記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第5章:記述主義者と自殺の論理。
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07 番外~夏の思い出

 ……とまぁ、前回短編に(なぞら)えてなんか良い感じに文章を締めようかと思ったんですが。

 番外編、自殺じゃないのに自殺と勘違いされるパターンについて、書いてなかった。

 誰も書くと思ってなかっただろうけども。

 筆者の体験談込みで蛇足話もしておきます。作中作パート2。


   †


 あれは中学1年の夏、7月初旬頃だったように思う。

 まるで今年の夏みたいに、うだるような暑い日だった。

 アスファルトの蜃気楼が揺らぐ、学校からの帰り道。

 見た目だけは涼しげな夏服を着ているが、日差しを存分に浴びて灼ける熱さだ。

 背負った黒い通学鞄。その重さと、たっぷりとこもる熱量がさらに体力を奪っていく。


 家まで、あとすこし。

 最後の横断歩道、押しボタン式の待ち時間は永遠のよう。

 太陽は爛々と輝いていて、じりじりと、首筋を焦がす。

 人混みの暑さもある。同じ方面の生徒が十数名は居ただろうか。


 ふつと、意識が途切れる。


 日射病、今で言うところの熱中症だ。


 そのまま車道に倒れ込――。


「あぶなっ」

「あ。ありが……」


 直後、大型トラックが通り過ぎる。風音が言葉をかき消した。


 男性の声だったように思う。

 声色に聞き覚えはなく、クラスメイトではないのは確実だ。

 声の低さや体格から考えたら恐らく先輩。

 ただし、別の小学校を上がってきた別クラスの1年の可能性もゼロではない。

 彼が背中の鞄、その取っ手を慌てて引っ張ってくれたらしい。

 その力強さや反応の早さを思えば、運動部の人だろうか?


 私は彼に命を救われた。

 ただ、私は意識がもうろうとしていて、まともにお礼も言えなかった。

 何が起きたのかしっかり理解したのも、家に帰り着いてからの話だ。


 今でもときたま思う。

 あの日、彼がとっさに死の淵から引き上げてくれなければ、今の私は居なかったろう。

 例えば、私が鞄を手に持っていたら?

 片方の肩だけで背負うような崩し方をしていたら?

 もう20年以上前の話だ、トラック転生なんて言葉もなかった時代。

 冗談抜きにしても、まぁ普通死んでるよね、この状況。

 たぶん、コイントスに命を賭けるより分が悪いんじゃないだろうか?


 そして、もし死んでいたとしたら。

 これは、飛び込み自殺と判断されてもおかしくない状況に思えるんだ。


 母校に対してこう書くのもなんなんですが、当時は荒れに荒れた中学校でした。

 市内に数十ある中学校のうちで、一番やべーと言われる程度には、やんちゃな生徒が多かった。念のため付け加えると、私がやんちゃしてた訳ではないのであしからず。


 私もこの2ヶ月ほど前に、3年のボスみてぇなやつにボコられた事案があって。胸の肋骨の辺りを全力で踏みつけられると死ぬほど苦しい、ってことは忘れられない経験だよクソったれ。学ラン越しでも、胸に足跡のかたちの痣ができるって信じられる? 1週間ほどで消えてくれたけど。陸で溺れるというのは本当に苦痛だ。痛すぎて呼吸ができない、混乱と恐怖は凄まじいものがある。


 まぁ、私が在籍した3年間で学校から死人は出なかったのは本当に幸運だった。少年院行き程度なら噂話で聞いたりはしたけど、ホントかどうかはよく分からない。


 そんな前提を踏まえると、自殺と判断されても文句言えないんじゃないかなと。


 ロクでもないことはままあるが、それでも、全てが悪いことじゃなかったよ。

 助けてくれた謎の先輩(?)には感謝しているし、ケラケラ笑って生きているよ。


 ありがとう。


   †


 とまぁ、そんな感じで、文章を書けてるのも結構な幸運の賜物だよなぁと。

 これ以来、ホント熱中症って怖いなと思うようになり、横断歩道や電車に乗るときなど、夏場や季節の変わり目には気をつけるようになったという話。

 私の職場は直射日光こそ当たらないものの外気温とほぼ同じ暑さですが、今のところは問題なく熱中症対策ができています。


 ちなみに対策方法はこんな感じ。


 ひとつ。睡眠をしっかり取ること。

 ふたつ。朝にプロテイン入りのチョコレートバーを食べておくこと。

 みっつ。自作ドリンクを凍らせたものをクーラーバッグに入れて持っていくこと。


 まず、睡眠不足は論外。

 プロテイン入りのチョコレートバー(1本満足バー、ギガプロテイン)はプロテインに加え、ビタミン類をバランス良く補給するため。

 自作ドリンクのレシピは、2リットルのミネラルいろはすを開けてコップ1杯分ほど飲んで、ポッカレモンの原液を適量、塩(アルペンザルツ岩塩)1グラムを加えます。

 ペットボトルを軽く潰して空気を抜いてから、キャップを閉め、冷凍庫に半日~1日放り込んで凍らせれば完成。

 注意点は、水は凍らせると体積が1割近く増えるので、詰めすぎれば破裂します。空気を抜くのも必ずやらないと、破裂して冷凍庫が悲惨なことになります。

 プロテインバーだけだと、水分と塩分とクエン酸、各種ミネラルが不足するため、必要なものを加えたレシピ。凍らせるのは、体温を下げるのと、午前中で飲みきってしまうようなペース配分ミスをしないため。


 とりあえず、これだけ取っておけば、他に朝食・昼食を摂らなかったとしても熱中症は防げるようです。35℃ぐらいまでは耐えられる模様。

 なお、気温40℃近く、かつ火を扱う作業をした場合も試しました。

 追加でもう1本自作ドリンクを凍らせずに持っていき、凍ってないものを午前中に、凍らせたものを午後の間に飲むことで完全に攻略してやりました。


 ちなみに格好は作業着上下、長袖のジャケットと長ズボンですね。上はもう1枚、長袖のポロシャツを着込んで、怪我しないようにがっちりとガード。

 クーラーや空調服が使えない環境でも、睡眠と栄養とこまめな水分摂取、体温管理さえきちんとできていれば、なんとかなるようです。人体すげぇぜ。


 熱中症そのものも危険ですが、倒れるタイミング次第では事故で即死もありえます。そも、熱中症になりかけるだけでも精神的に不安定になりますし、気の迷いで魔が差してもつまらないですし。皆様もどうぞご自愛ください。

 その他注意書き:

 ひとつ。塩1グラムって、小さじ5分の1程度。2つまみ程度の量です。レモン果汁を入れる前に味見をして、しょっぱさがなんとか分かる? かも? 程度で充分。

 ふたつ。3日とか凍らせると、レモン果汁が分離して、味が偏り飲みづらくなる。凍らせるのは最大でも1日ぐらいで充分。

 みっつ。凍らせたドリンクを飲むときは、溶けた部分を全部飲むと、残りの氷が溶けにくくなるのでペース配分を考えましょう。

 よっつ。近いうちに妊娠を希望する女性や、妊婦、小児の場合は、プロテイン入りのチョコレートバーは止めた方が良いかもしれません。ビタミンAの取り過ぎが害になる場合があるので、製品の栄養価・注意書きをチェックしましょう。

 いつつ。作中のレシピなど、()内は作者が試したもの。タイパ重視で使い勝手が良いものをチョイスしました。

 むっつ。財布に気をつけて。これ、月20日働くとして1万近く飛ぶorz 検証費用検証費用(自己暗示中)

 ななつ。高血圧の場合は塩分を控えるなど、自身の体質に応じてレシピは調整してください。

 やっつ。空調の効いた部屋で働いている場合は凍らせない、量を減らすなど。体調を最優先に。


 明日の更新はさすがに無理です><;; お盆もあるので、その辺で……件のエタってる長編とか再開できないかなーなんて。

 あとがき下のところから、評価を頂けると作者のテンションが爆上がります。よろしくね!^^

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