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C・三日目

 さらに翌日の金曜日の朝。俺はいつもとは少し違う状態でホームに立っていた。その場所はいつもと同じで三両目の後ろ側。しかし体の向きが違う。左───つまりは電車がやって来る方向に体を向けていた。電車が来る方向───それはあの女子が来る方向でもある。彼女の顔をシッカリと確認するため、そして彼女に俺の顔を確認してもらうために、こんな少し変わった待ち方をしていた。


 俺の顔を見れば、あのコも自分の勘違いに気付くよな?


 そう思い、彼女と電車の到着を待つ。しばらくすると彼女が現れた。やはり見慣れない制服と、大きなバッグ。俺は彼女の顔を凝視して、過去の記憶を探った。もしかしたら俺の知り合いかもしれないからだ。




 髪は肩に少し掛かり、毛先は内側にくるりと巻かれていて、歩く度にフワフワと揺れる。その色はほんのり茶色い黒。地毛なのか、それとも少しだけ染めているのか、それは分からない。前髪は適度に隙間があり、緩やかな曲線を描く眉に掛ろうかという長さ。目尻は少し上がり気味で、鼻はやや高め。頬は柔らかさを感じさせつつも余計な肉が付いている訳ではない。唇はほのかにピンク色を帯びていて、両の口角が僅かに上がっている。口紅を塗っているのだろうか、ほのかなピンクには少しばかり艶がある。




 ・・・結構可愛いな。


 決して美少女と言えるほどの美しさではない。『中の上』といったところだろうか。こんな言い方をするのは失礼かもしれないが。好みにもよるが彼女のことを不美人だと思う人間はおそらくいないだろう。


 目と鼻からは少しキツい印象を受けつつも、髪型、眉、唇からは柔らかさを感じさせる。そんな顔に少しのあいだ見とれていた。そして、目が合った。


「おはよ」


 彼女は通り過ぎる間際に笑顔を浮かべた。俺の目を見ながら挨拶をしてきた。


 え? 勘違いじゃないのか?


 俺は戸惑った。彼女に見覚えがなかったからだ。あれくらいの可愛いコなら忘れるなんてことはない筈だ。だから俺の知り合いではない筈だ。しかし彼女は俺に挨拶をした。俺の顔を、俺の目を見て挨拶をしてきた。それは、彼女が俺だと認識した上で挨拶をしたということだ。つまりは彼女の勘違いによるモノではないということだ。


 ・・・どういうことなんだ?


 戸惑いながらも振り返り、彼女の後ろ姿を見る。そんな俺を更に惑わすように、彼女の髪はフワフワと揺れていた。




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