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体育祭

体育祭当日、学校は既にお祭り騒ぎだ。運動が苦手な人からすると、あまりいい思い出が無いかもしれないが、勉強をするより遥かにマシだ。


「海結たちも赤組だっけ?」


「そうだよ。頑張ろうね。」


「そうだぜ翔太!今日は、めんどくさいとか無しだからな。」


普段からそんなに、めんどくさいって言ってないと思いたい。


「大丈夫だって。多分。きっと。」


「最悪、学年対抗リレーだけでもちゃんと走ること。いいね。」


「それくらいならちゃんとするけど、碧も同じの走るんだから、凪砂さんは、碧を応援しなよ。」


それはするけど...と、言ってイチャイチャしだす二人。もう見慣れた光景だとばかりに呆れる海結。


「いつもの事だし、もう見飽きたけど私たちの前ではやめて欲しいね。」


時と場所くらいは選んで貰いたいものだ。


「翔太たちも似たようなものだろ?」


「なっ、何言ってるの?永井くん?」


「人の事言えないよね。」


凪砂さんも同意する。失礼な人たちだ。俺はイチャイチャなどしていない。


「誤魔化しても無駄だぜ。翔太たちが付き合ってるって噂、知ってるぞ。」


凪砂さんも、うんうん頷いているが、俺はそんなもの知らない。


「あれは、俺が告白したって噂だろ?」


「私もそう聞いたよ。」


特に実害が無いので、放置してたやつなんだけど...


「いやぁ〜、さぞ楽しかったんだろうな〜。水族館デート。」


「ほんとにね。人いっぱいだったんじゃない?」


あおってくる碧と違い、凪砂さんは純粋に疑問を投げかけてくる。


「いっぱい居たからね。もしかして、見られてた?」


「違うクラスの奴だけどな。」


あの人混みで、よく見つけたなと感心しそうになる。だが、これも実害が無いので放置の選択肢を取るのが、楽でいい。


「他になにか言ってた?」


「いや、特に何も言ってなかったな。」


それなら、手を繋いでいたところは見られていない可能性が高い。でも、あまり噂をされ続けるのもいい気はしない。


「まあ、やんわりにでも否定しといてくれ。」


「そうしてくれると嬉しいな。」


俺たちのお願いを快く快諾してくれた。持つべきものは友達だな。


「上水流家の親は今日来る?」


「来るんじゃねえか?」


紗季さんは今日を楽しみにしてたみたいだった。個人的には来なくてもいいのだが、そう伝える訳にもいかない。


「へぇー。なら挨拶しとかないとな。」


「しなくていいよ。恥ずかしい。」


「なんだよ。俺たちが友達なのが恥ずかしいってのか?」


「違ぇよ。そういうこと言うの辞めろよ。」


碧の言ったことが冗談だと分かるので、笑って誤魔化せるが、本当だったら笑えない。


「ごめんごめん。親友として仲良くしてるから、心配はいりませんって伝えるんだよ。」


「それが恥ずかしいって言ってんだよ。」


言ってないだろ。という碧のツッコミは無視して、開会式の準備をする。


体育祭の開会式は、恙無く終了し最初の種目の百メートル走が始まった。体育祭中は、クラス間の移動が許可されているので、いつものメンツで集合した。


「そう言えば、凪砂さんはなんの種目に出るんだ?」


「あー。言ってなかったっけ?」


「聞いてない。」


「昼一番の紅白応援合戦。」


聞いてみて納得した。なんというか、すげえ似合ってると思う。かっこいい服を着て、応援しているのが目に浮かぶ。


「絶対かっこいいじゃん。」


「ほんと?ありがと。ベターにソーラン節踊るだけだけどね。」


ベターとは言え、十分にかっこいいと思う。隣の碧も何故か得意気な表情を浮かべている。


「話に夢中になってないで、一年生が走ってるからちゃんと応援しなきゃ。」


「知り合いが出てる訳でもないし、特に興味ない。」


友達が出てるのなら応援しようとも思えるが、出てないので応援しようと思わない。周りもそんなもので、百メートル走は、盛り上がりにかけている。


「そんなだから翔太は友達が少ないんだよ。」


「余計なお世話だ。俺は現状に満足してるからな。」


「はぁ〜。これだから上水流は...海結も何か言ってやんな。」


凪砂さんが目の前でため息を吐いて、海結に助けを求めた。


「私が何か言っても、翔太くんは聞く耳持たないと思うよ。」


流石は海結。心を読むことが多いので、俺のことをよく分かってる。


「ただ、友達は作らなくても、社交性は身につけないとね。」


心に刺さる言葉を頂いた。碧と凪砂さんもその通りだ。と、首を大きく縦に振っている。

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