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団欒

それからは大した会話も無く時間が流れていく。さっきの海結の笑顔が頭の中を駆け巡る。玄関の扉の開く音がした。


「ただいまー!」


いいタイミングで親父たちが帰ってきた。海結と玄関まで出迎える。


「おかえり親父。紗季さん。」


「おかえりなさい!お母さん。お義父さん。」


「お義母さんって呼んでくれてもいいのよ。」


俺はその言葉に、苦笑いを浮かべるしかできなかった。やっぱりどこか忌避感を覚えてしまう。

そんな俺を余所に親父は、海結にお義父さんと呼ばれたのが嬉しかったのか、ニヤニヤしていて少し気持ち悪かった。


晩飯は寿司を買ってきてくれたので、みんなで食べることとなった。俺と海結の対面に親父と紗季さんが座る。

そこで親父たちが俺たちがどんな話をしたのか聞いてきた。素直に話していい内容では無いから、適当に誤魔化しておくことにする。


「普通に簡単に自己紹介をして世間話をした。」


「それに、ドッキリだって上手くいったしね。」


俺が勝手に感じてるだけかもしれないけど、海結が上手いこと話を繋げてくれてる気がする。ただ、俺だけなにも知らなかったのは本当にいただけない。親父たちは何か嬉しそうにしてる。


「勘弁してくれ。俺は、親父が姉だって言うから、一つか二つ上だと思ってたのに、まさか同級生とは思ってなかったんだよ。」


「でも...翔太くん。なんで私のこと知らなかったの?」


急に不思議なことを言い出した。今日初めて会ったんだから知らないのは当たり前のはずだが?思い浮かんだ結論としては、


「もしかして、自意識過剰?」


それくらいだった。ちょっと...いや、結構可愛いと思うけど、だからって見たこともない女子を知ってる訳が無い。


「違うよ!ほら、学校で聞いた事ない?」


「なにが?」


「私が学年一可愛いって噂されてるの。」


学年一可愛い女子?海結が?


「そうか〜。海結ちゃんは学年一可愛いのか!流石は紗季さんの娘!」


混乱すると俺を余所に盛り上がる親父に、満更でもなさそうな紗季さん。実の父親がイチャイチャしてるのを見るのは、目に毒だから辞めて欲しい。


「それじゃあ、俺は夏休みが明けたら、学年一可愛いと噂されてる女子の義理の姉弟として学校に通わないといけないのか?」


なんて事だ。今まで、目立たずひっそりとスクールライフをエンジョイしてたのに、間違いなく目立つことになる。憂鬱だ。あまりにも憂鬱だ。


「当たり前じゃん。一緒に登校するんだよ。」


「一緒に登校するのか?それだけは勘弁してくれ!」


そんなことしたら良からぬ噂が立つに決まってる。面倒事には巻き込まれたくない。その一心で抵抗を試みるも、


「あら、いいじゃない。一緒に登校なんてそうそう出来るものじゃないわよ。」


「そうだよ。そんなに嫌なら、私のことお義姉ちゃんって呼ぶなら許してあげる。」


紗季さんのありがたい助言と、海結の一言で俺の心はあまりにもあっさりと折れた。義姉と呼ぶのだけは本当に嫌だ。


「わ、分かったから、一緒に登校すればいいんだろ。」


「最初からそう言えば良かったのに。」


ごもっともな正論に何も言い返せない。どうせ親父は紗季さんにつくのだから、三対一の勝てない勝負になっていたはず。それなら反論は無意味。勝てない勝負はしない主義なんだよ俺は。


それから全員がご飯を食べ終わり、親父と紗季さんが二人で皿洗いをしている。その姿を横目に自分の部屋に戻った。

それから、放置していた課題に手をつける。夏休みが明けてからの不安を打ち消すように集中して取り組んだ。





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