昼休み
そして、昼休み。海結が俺のクラスにやって来て、丁度空いていた前の席の椅子を俺の方に向けて座った。
「いや、狭くない?机ごと向けなよ。」
「たまにはいいじゃん。」
はぁ、と一つため息をついて受け入れる。俺の机を二人で使いながら弁当を食べる。
「そういえば、翔太くんが私に告白したっていう噂が流れてるらしいよ。」
「え?なんて?」
海結が徐に口を開いたと思うと、とんでもない言葉が聞こえてきた気がする。
「だから、翔太くんが私に告白したっていう噂が流れてるらしいよ。」
「やっぱり、聞き間違いじゃ無かったか。」
「それでね。噂消した方がいいかな?」
根も葉もない噂だし、否定できるならした方がいいんだろうけど、正直めんどくさい。
「他の誰かに取られるよりましかな。」
「え?今なんて言ったの?」
「ん?何も言ってないけど?幻聴でも聞こえてるんじゃない?」
「そうかも...」
海結の顔も赤い気がするし、無意識のうちに何か言ってたのか?まぁ、大した事じゃないと思いたい。
「別に実害がある訳でもないし、放置でいいと思うよ。そのうち収まるでしょ。」
「うーん。それがいいのかなぁ?」
あざとく首を傾げる海結。
「最悪、碧を頼れば良いよ。なんかあったら言えって言われてるからね。」
「じゃあそうしよっか。別に、噂じゃ無くなってもいいのに。」
「後半聞き取れなかったんだけど。」
「別に何でもないよ。」
こう言って、両手を振ったらだいたい何か隠してることが、この前判明したんだけど変に詮索しても仕方ないから、スルーするのが正解だな。
「てか、やっぱり昨日のアレが原因かな?」
「翔太くんもそう思う?見せびらかしちゃったもんね。」
どことなく言い方に棘を感じる。
「言い方悪くない?」
「でも、事実でしょ。それとも、責任取ってよね!とか言った方が良かった?」
「そういう状況じゃ無かったけどね。」
「へぇ。じゃあどういう状況だったの?」
「いや、まあ...それは、あの...何でもないです。ごめんなさい。」
言い合いだとやっぱり勝てない。いつもの感じだ。
「楽しそうだね。」
「へ?また顔に出てた?」
「そんなことないけど、なんて言ったら良いかな?雰囲気?がなんか楽しそうだった。」
表情だけでは飽き足らず、雰囲気まで読み取るようになってしまったか。
「それは、海結と居るからこんなに楽しいんだと思うよ。」
「またそんなこと言っちゃって。クラスのみんなに聞かれるよ。」
口ではああ言ってるが満更でもなさそうに口元が緩んでいる。海結に口元が緩んでることわ伝えると、恥ずかしかったのか、また顔を赤くしてしまった。