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仲直り

そして、その日の夜、海結の部屋のドアをノックすると、入って来て大丈夫だと言われたので、心を落ち着かせるために深呼吸をして入る。


「話聞かせて貰うよ。」


その言葉に怒気は孕んでいなかった。だから、俺は少しリラックスしすることができた。


「いつもありがとう。」


「私、何かしたっけ?」


海結に自覚はないらしいが、俺には感謝の気持ちしか無い。


「夏休みはほとんど毎日起こしてくれたし、今だって遅刻しそうだったら起こしてくれる。」


「夏休みのときは迷惑そうにしてたよね。それに、今は翔太くんと一緒に学校行きたかったからだよ。」


「海結からすればそうなのかもしれないけど、俺は感謝してる。勉強を教えてくれることだってそうだ。夏休みの課題分からないところが多くて困ってたから...」


本来ならもっと早く気づくべきだったことだ。先輩に何回感謝を伝えただろうか。結局あの頃と何も変わらず、甘えて来ただけだったと、今更気づいた。


「大切な家族だと言っておいて、その家族を蔑ろにしてたんだ。情けなくて、頼りない不出来な弟だけど、俺はもっと海結と仲良くなりたい。だから、また仲良くしてください。お願いします。」


「いいよ。お姉ちゃんだもん。許してあげる。でも、自分のこと情けないとか、不出来だとか言わない。私からすると、翔太くんは大好きな弟だからね。」


こんな俺をまた弟だと思ってくれることが嬉しい。出会った時は弟が嫌だったのに、今はこんなにも馴染んでいる。


「うん。ありがとう。姉ちゃん。」


そう言った瞬間、海結が目を輝かせて這い寄ってきた。気まぐれで呼んでみたが失敗だった。


「ねぇ、もう一回姉ちゃんって呼んで!お願い!」


「嫌だ。そんなことより、土日どっちか暇?新しくできた水族館行かない?行きたがってたでしょ。」


「ほんとに!絶対行く!土曜日が暇だから土曜日ね。絶対だよ!」


テレビに流れてたCMを見て、行きたいと呟いていたのを俺は聞き逃していなかった。


「約束だから、落ち着いて。今日は話したいことがまだあるから。」


「そうだね。私もいっぱいあるよ。そうだな〜。翔太くんは体育祭何に出るの?」


「学年対抗リレー。絶対勝つ。」


絶対に負けたくない。恐らく、三年は先輩が出てる。この前のリベンジには丁度いい。負けたくない理由はそれだけでは無いが...


「海結は、何に出るんだ?」


「私はね。玉入れだよ。」


あ〜。それもそうだな。運動神経悪いし。


「納得。みたいな顔しないでよ!」


いつものぷんぷんした怒り方だ。やっぱりこっちの方がいい。それにしても表情に出すぎだな。本格的にポーカーフェイス鍛えるか。


それからもうしばらく話を続け、最後にもう一つだけ約束をする。


「明日は一緒に学校行こう。お昼も一緒に食べよう。それで一緒に帰ろう。約束だぞ。」


「うん。楽しみだね!」


満面の笑みを浮かべて楽しみだと言ってくれた。この笑顔を俺のせいで無くす訳にはいかないそう強く決心した。

その返事に満足して部屋を出る。そして自分の部屋の布団に潜り込むが、さっきの海結の笑顔がちらつきなかなか寝付けなかった。

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