第二十二話
毎週月曜日と木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
かなり遠くまで、この軽トラと共にやって来たが、何処も皆タワーの住民の縄張りになっているようで、僕の安住の地はまだ見つからないでいた。そうこうしている内に、僕はこの世界果てに辿り着いてしまったようだ。暗い影の上を見上げて開けた空の曲線を見ると、どうやら、この世界は楕円形になっているのかもしれない、と僕は想像してみた。
「何かドーム状になっているのかもね」
僕はそう独り言を言うと、他に何か情報が無いか探した。
暗い空間にEXITと光る表示を見つけた。
「外に行けるのか?」
僕はその光に近付いた。目の前に行くと自然に扉が開いた。
『外に出る方はここに用意されている、スーツを着用してください』
と中に入るとアナウンスが流れた。
「スーツ?」
ここは薄暗い、何が置いてあるかわからないな。そんなもの何処にあるんだ?
『この扉を開けて腕を突っ込んでください』
アナウンスと共に光が扉の形を示した。
「ここを開けるのか」
『OPENの所を触れて下さい』
「ここね」
OPENの部分に触れたら、扉は開いたが、暗闇しかない。
「この輪に腕を突っ込んでください」
光の輪が二つ現れた。
「えい」
僕は腕を思いっきり突っ込んだ。突っ込んだ腕が何かにギュッと絞められた。
「何?」
頭にも何か被された。逃げようと後ろに下がると、背中にまで、それは纏わりつき、仕舞いには閉じていく音がする。何かが全身を包み込んだ。
「これは、宇宙服?」
部屋に光が灯った。僕は自分の手や足を見た。身体にぴったりな、それはSFなどの世界に出てきたものに似ている。顔には透明なカバーがかかっているようだ。
『スーツ着用確認。要員を宇宙空間にリリースします』
「え?」
僕の動揺を待たずに部屋のハッチが開かれ、僕は外へ、つまり、宇宙空間へと歩いた。
「・・・・・・マジか」
僕は目の前に広がる地球の出を目の当たりにした。
「ここは月・・・・・・月面だったのか」
外に出る前から予感はしていた。宇宙服を着た時点でわかっていた。しかし、現実を認めたくない自分がいる。地球に存在していない自分に、元居た世界に戻れない自分に。
「絶望しかない」
僕はこの世界に目覚めてから初めて泣き叫んだ。




