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第二話

毎週月曜日と木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。

医務室のドアを開けると、いきなり小さい龍が、僕の目の前に現れ、下から上に上がって行った。

「焼肉なら青龍へ」

と人声あげると、ぐるぐる回り小さくなって消えてしまった。

「今のは宣伝くわ。宣伝をカットしたければ、くわが操作して抑えてあげるくわよ」

「―今のところいいよ。面白いから」

人が近づいてくる。その人の周りに何かが動いている。派手な衣装だ。この人の周りをぐるぐる回っているのは、人の顔だ。喜怒哀楽と四つそれぞれの顔をしており、本人の顔と同じ顔だ。すれ違いに浮いてる顔に、ハアーイと挨拶されたが、顔が引きつってしまい返事が出来ないでいた。

「今のが最新のファッションくわよ。ああやって自分の周りに何かを浮かせて見せるのが流行ってるくわ」

「ふうん」

変な流行だ。空間もファッションの一部と化しているんだな。

様々な服を選んで見せている人々が通りすぎて行く。なんだか仮装パーティに来ているみたいだ。異常に高い頭の人とか、身体の周りをぐるぐると何かが回っている人など皆賑やかだ。

「こういう格好をしている人々をパフォーマーと呼ばれているくわよ」

とくわは教えてくれた。眼鏡・・・・・・じゃない、ホルスを外してみると、人々の装いが一気に変わる。皆同じ服になって統一感がある。その風景を見渡しながら、「これこそ未来の姿だよ」と僕は感慨深げにつぶやいた。

「画面上のナビゲーションという所に触れるとナビをしてくれるくわ。触れると何処へと聞いてくるから、自宅を選ぶくわ」

ホルスをまたかけ直してから、実際にその通りにしてみると、オレンジ色の矢印が表示された。自宅まで何mかまで表示されているみたいだ。

「おおー!矢印の通りに歩けばいいんだね」

「そうくわ」

しばらく歩くと、壁の方に矢印が向いていた。高野宅と表示してある。

「ここ?僕の家は」

「そうくわ。高野の部屋くわ」

「INと表示されている所に触れると扉が開くくわよ」

その通りにしてみると、扉がせり出で来て、扉が開いた。

1Kみたいだなこの部屋。あまりの狭さに愕然とした僕は、部屋に入るのをためらってしまった。

「早く入るくわ」

くわはじたばたして、僕をうながした。

「わかったよ」

中に入ったとたん、くわはジャンプして床の上に着いた。

「それでは、この部屋の説明をしますね」

「こちらが、キッチンです」

「狭いなあ、人がようやく入る感じだね」

「ここで自分で調理する人もいますし、調理済みを食べる人もいます」

「有名な店の料理もここで食べれるくわよ」

「食事をとりたければ、材料か、調理済みの料理か選んで下さい。お腹は空いていらっしゃいますか?」

「そうだね。何か食べようかな」

「作りますか?調理済みの物にしますか?」

「調理済みで」

「では、キッチンの柱のメニューと表示されている所に触れて下さい」

キッチンの柱の部分に触れると、メニューがずらりと表みたいに目の前に現れた。

「・・・・・・この20Pっていう表示は何?」

「ポイントというくわ。この時代はお金じゃなくて、ポイントで取引するくわよ」

「高野さんは、現在14万ポイント持っています」

「ポイント=円と同じだと思って下されば結構です」

「14万円持っていると思えばいいくわよ」

「ポイントを稼ぐ方法は、明日このPHR130に教えてもらって下さい」

「うむ、教えるくわ」

「ふむ・・・・・・じゃ、この150ポイントの天丼にするよ」

「分かりました。では、天丼の所に触れて下さい。あとは、食べる日付、時間を入れるだけです」

「メニューは一週間登録が出来ます。今朝の分も登録しておきますか?」

「いや、朝起きてから決めるよ」

「そうですか。では、完了に触れて下さい」

「次は、TV画面ですが、この壁に映るようになっています」

「大きさは壁全体から、14インチまで広げられます」

小さいTV画面が映し出される。彼女が端をドラッグすると、徐々に大きくなって、壁一面のTV画面にまで広げられた。

「映画を観たければ、そのサイズに合わせてくれるくわよ」

今度は、映画のサイズに切り替えられた。

「うわーすごいな」

「何も設定が無ければ、基本的に外の画面がリアルタイムで映し出されます」

キョウコさんは、ソファの上に画面を持ってきた。窓みたいに見える。

「ベッドは、このソファの座る部分を、引っ張って下さい。自然にベッドになります」

ベッドを引き出してみると、結構広い。キングサイズぐらいじゃないかな。

「収納の方法は、このボタンを押しながら、ソファがあった所へ押し込めば元に戻ります」

そのとおりにしてみると、意外と力を入れずに、元に戻す事が出来た。

「もう外には、出かけませんか?」

「うん」

「では、扉をロックします」

壁のOFFと表示されてる所に、彼女が触れると、ロック完了しましたとアナウンスが流れた。

「あと、その服の脱ぎ方を教えて差し上げます。・・・・・・まず、ホルスを外して下さい」

「首の付け根辺りに、触れてみて下さい。ボタンがあると思います。そこを押しながら、暗号を言って頂くと、服のプロテクトが外れ、服が脱げます」

「まず暗号ですが、何にしますか?たいていの方は、『オフ』とか、『終わり』とかに設定してますが・・・・・・」

「じゃ、オフで」

「それではオフと言って下さい。声を登録しますから」

キョウコさんが何か操作している。

「それではどうぞ」

「オフ」

「・・・・・・はい、これで登録OKです」

「ボタンを押しながらオフを言ってみて下さい」

「オフ」

ボタンを押しながらそう言うと首回りから服がはだけてきた。

「ちょ、ちょっと裸になっちゃうよ。なにか代わりの服は?」

「ここに」

コットン生地のパジャマみたいなのを、キョウコさん差し出された。

下はパンツをはいていたみたいだ。よかった、下が裸じゃなくて。そうしている間にもズルズルと服ははがれてゆく。

「・・・・・・」

くわとキョウコさんは黙ってその様子を見ている。

「ちょっと、後ろを向いてくれる」

彼らの視線が気になったので、僕は慌ててたのんだ。

「はい,分かりました」

「高野は恥ずかしがりやさんくわね」

「うるさいぞ、くわ」

「くわくわくわ」

笑い声なのか、くわはそう言いながら、翼をパタパタさせている。

脱いだ服は、裏地にあちこちにコードが走っていた。腰には、長方形の黒いものが付いている。

「・・・・・・この腰の黒いのは?」

「もういいくわか?振り向いても」

「ああ、いいよ」

「これは何?」

「ホルスの心臓部くわよ」

「ふうん。じゃ、この股にある物は?」

股のプラスチックの部分を指差した。

「尿を取り入れる所です」

「服着たままするの?尿を?」

「ええ、気候によって服の温度調整に役立ちます。ろ過が出来るので、のどが乾いたら

飲む事が出来ます」

「袖口からチューブが出てますよね?そこのキャップを取れば、飲む事が出来ます」

「たぶん飲まないと思うな」

「なぜくわ?」

「なんか汚い気がするんだよ」

「綺麗にろ過されているから、大丈夫くわよ。困ったさんくわね」

「いいの。汚いから飲まなくても」

「好きにしていいくわ。高野は思ったより頑固くわね」

「悪かったね」

「あとは、食事は時間が来ると、ピッピッという音とともに、この箱に届けられます。それでは用がありましたら、この壁にあるONを押していただければ、私が出てきます」

というとキョウコさんは、壁の一部を開けて入って行く。

「君、この壁の中に入っちゃうの?」

「ええ。高野さんが緊急を要する時に出てきます。その判断はがPHR130がしてくれます。病気の看護等が主ですが」

「そこに入ったまんまなんだ」

なんだか気味悪いな。そんなとこに収まられると。

「何か?」

「いや、別に」

「くわ様がいるから大丈夫くわよ。寂しくないくわ」

「いや、寂しいとかじゃないんだけど」

「そうくわか、寂しいくわか」

「寂しいなんて一言も言ってないでしょ」

「むきになってるくわ。きっとそうくわ」

「違うって言ってるだろ」

「―では、失礼しますね」

そういうと、キョウコさんは壁の一部に収まってしまった。不気味だ。僕はキョウコさんが、収まった壁を見つめた。

「寂しいくわか?」

まだ言ってる。

「違うよ」

「そうくわか?」

「そうだよ。それよりも、TV観たいな」

「そうくわね・・・・・・何観るくわか?120くらいのチャンネルがあるくわよ」

「じゃ、ニュースを観るよ」

この時代のニュースってどんなのだろう。

「わかったくわ」

そう言うとくわは、ニュース番組を映してくれた。

「ふうん」

この時代でも、ニュース番組は、昔と変わってないみたいだ。

「あんまり変わらないんだね。ニュース番組って」

「そうくわね、けどキャスターをしているのは、AIくわよ」

「えっ?」

「今観てるのはCG画像くわよ」

「ええーっ。本当に?」

「そうくわよ」

すげえなあ、未来って。まったく、驚きっぱなしだ。

しばらくすると、食事が運ばれてきた。食事は意外とおいしかった。

それから、僕は食後に映画を観て、長かった1日を終えた。


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