第十六話
毎週月曜日と木曜日に投稿します。よろしければ読んでみて下さい。
「君は不気味なんだよ。アンドロイド自体が気味悪い。いつ、その手で僕の首を絞めるか、わからないし」
僕は沸々とアンドロイドという存在に、怒りを感じながらキョウコさんに訴えた。
「では、実際に首を絞めてみましょうか?」
キョウコさんは微笑み、そして僕の首へと手を伸ばした。
「―怖っ!」
僕は突然のキョウコさんの行動にビビり首をすくめた。
すると、彼女の手が僕の首に届こうとした時、彼女は手を伸ばしたまま苦しみだした。
「これ以上前に動かせないの?」
キョウコさんの苦悶の表情を、恐る恐る覗き込み、僕はそう訊ねた。
「そうですよ、私達アンドロイドは人間を殺そうとしても、殺せない。そうプログラミングされているのです。たとえ、殺したくても、不可能なのですよ」
キョウコさんが苦しそうに、そう絞り出すように答えた。
「もういい、わかったから、手を降ろして」
「私達は、銃を持つことも出来ないです。人を殺傷可能な凶器の物は一切身近にはありませんので、安心してお過ごしください。私達は人に危害は加える事はありません」
「殺したくても、ね」
「はい、ご安心を」
その時のキョウコさんは今思い出しても、寒気がする恐怖の表情だった。




