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辺境の村にて6

「おはよう、ユニ」

「アストリアちゃんまた森?」

「うん。薬草必要だし」

いつものユニの飼い犬と羊とのもふもふを堪能するのを見てクスクス笑うユニ。なにー?


「アストリアはホントにもふもふが好きだね」

「うん。だって安らげるし」

「でも寝癖ついてるよ?」

「あはは。まあ寝癖の自由ってね」

「なにそれ?」

二人で笑い合う。私から見てユニは静かだが女性らしい。

村の男の子にもユニが良いと言う人も多いしね。

でも圧倒的に人気なのはティリアだよ。

しかし、村の男はヘタレなのかアタックしない。

だから、とっとと村を出ていったんだ。



「私もユニみたいにおしとやかにした方がいいのかな~?」

「ええ?アストリアは元気なのが取り柄なんだから、そのままでいいよ。とっても素敵だよ?」

「あ、どもども~、えへへ」

あまり褒められたことのないので褒められるとどう反応して良いか分からない。嬉しいけど。照れくさい。



「……と、もう行くね。また後で!」

「うん。また後でね!」

にこやかに手を振るユニと別れ私は森へと向かう。




「ティシュ~!おっはよ~!」

「おう。おはよ。お前はいつも晴れてんなー!」

「能天気っていいたいの~?それよりおじさんどう?まだ調子悪い?」

「昨日よりはよくなってるな。また帰りに薬を買いに行くよ」

「は~い。待ってるね」

そのまま木こりたちと森へと向かうアストリアは森の入り口でティシュと別れ薬草を摘む。

ティシュには心配されたがもう慣れっこである。

昔はティシュやティリアについてきてもらったけど今はみんな仕事あるもんね。





トレク視点




昼前には戻りトレクの元で稽古を受ける私はふと思いつきを口にする。



「ねぇ、師匠」

「なんですか、アストリア?」

「その、ゴブリン退治に行きましょう?」

「駄目ですよ。あなたにはまだ早い」

「そっかな~?師匠と二人ならイケるって。それに師匠も村のために魔物退治すればこのボロ教会も新しくしてもらえるんじゃないかな?」

トレクは私の罰当たりの発言にため息を吐く。仮にも女神様を崇める教会である。



「アストリア。あなたももうすぐスキルをもらえるのだからあまり女神様を馬鹿にしてはいけませんよ」

「そうかなー?女神様がホントにいるのならこの世界の魔物がいる理由が分からないよ。それに、お布施を取るのも納得いかないよ。女神様なら弱気者を救ってくれなきゃ」

「……………」

私の言葉にぐうの音も出ない師匠。



アストリア意見はもっともで。お布施が高いのは教祖様が貴族とより良い関係を築くために使うお金である。みんな気づきつつも歯向かったものはいつの間にかいなくなってるから誰もなにも言えない。



私だってそうなのだからホントはアストリアに師匠なんて慕われる人間でないと思っている。ホントにな。




「ほら。集中しなさい。冒険者になりたいなら」

「うーん。そうなんだけど。私には魔法は無理なのかな~?ご機嫌斜めなんだもん!」

「まあ。魔法に関しては向き不向きはありますが、練習しておけばスキルを覚えるかもしれませんよ」

アストリアは魔力を集中する練習を毎日欠かさずしているが初級の魔法は苦手。



「ま、どうしてもゴブリン退治に行きたいなら私を倒してからですね」

私のからかう表情にアストリアはムッとする。単純め。

アストリアは、なればやってやろうかと訓練用の木刀を手に取る。




アストリア視点



「ふふん。なら、今日こそあなたを倒すよ」

「面白い。来なさい」

師匠も木刀を構える。それだけで隙がないのが分かるけど行かないとなにも始まらないので身を低くして突進する。


足元を狙った凪払いをしかし師匠はバックステップでかわすとこを木刀を投げる。


一瞬、虚をつかれるも木刀で叩き落とす。

その時には私の飛び蹴り。


それを半身ずらしてかわしたとこを師匠は木刀で打つが私は木の枝で防ぐ。




「いつの間に……」

「へへーん!まだまだ!」

そのまま師匠を攻めるがその木の枝の強度までは計算出来てなかったのか師匠は、木の枝ごと私を打ち据える。




「いったーーーい!少しは手加減してよー!こぶがまた出来るよ?」

「あなたこそせこい手をを使ってまあ……」

「でも。冒険者ならいろんな手を使うでしょ?」

「まあ、そうですけど……まっすぐなアストリアはどこにいったのか」

なんか変なとこで残念がってる師匠だよ。

それでも師匠は私にヒールをかけてくれたので優しいのである。えへへ。




「さて。そろそろお昼にしますか。あなたも食べて行きますか?」

「わーい!師匠のご飯は美味しいからね~」

「あなたも手伝いなさい」

「よし来た!皿洗いはしっかりします!」

「……はぁ。まあいいでしょう。今支度します」

「じゃあ私は果物を取ってきます」

「こらこら。さりげなく森に行こうとしないで。あそこには魔物が出るんですから」

「大丈夫、大丈夫!もう何度も一人で行ってるよー!あ」

慌てて口をつぐむももう遅い。師匠は優しい。しかしにこにこしながら迫られるとこれはこれで怖いのである。


「一人で?ダントンとは行ってないんですか?」

「ご、ごめんなさーい!もうしませーん!多分!」

「多分じゃないですよ!か弱い女の子になにかあったらあなたのお父さんに申し訳ないですからね!あんな飲んだくれだとしても!」

「師匠、以外と酷いこと言うね~!」

昔は二日酔いのダントンと一緒に薬草を摘みに行ったものだが今じゃ私任せである。

周りになにか言われるよりはこっそりと行っていたのだ。

空いてる時はティシュを誘ったりするのだが。


二人がわいわいと話していると、羊たちがいつの間にかやって来る。



「あれ?メェたちどうしたの?私に会いたくなった?もふもふ~!」

私が抱きつくので羊たちはあわあわする。そんな場合ではないと。


「なんか様子がおかしいですね?」

いつものようにもふもふしようとした私を避けるので地面に突っ込むことになった。



「うう~、どした~?私のこと嫌いに……あれ?ユニは?」

羊飼いのユニはいつも羊たちと一緒のはずなのにいないのはおかしい。


「メェ~~!」

「ンメェ~~~!」

完全にヤギの鳴き声だがこの世界では羊の鳴き声なので気にしない。


「師匠、探してくるよ!だからお昼お願いします!」

「こら待ちなさい!一人では危険です!」

師匠が止めるも私は既に走り出していた。

風は味方するように追い風だから勢いもつく。



つづく

よければブクブクブクマとかお星様お願いしまーす!

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