その11
「うむむむむむむ~~~!?」
「あ、アストリア?どうしたのですか唸ったりして?」
「やあ!てぃ!」
私はさっきから力を込めてスキルを発動しようとしたんだけど全く反応しない。掌から星でも出て来るのかとも思ったけどそうでもないのか。
そうこうしてる内に私の声に気づいたゴブリンたちがやってくる。
元気な声だから目立っちゃうな~。
それをミシェルが蹴って吹き飛ばす。
「ミシェル、すごっ!でもいきなりは駄目!話し合いだよ?」
「助けてあげてるのにそのような口調とは。しかしゴブリンがこれほどいようとは!」
「ぎゃぎゃぎゃ!」
みんなずたぼろな服を着てナイフや斧を持っている。それが私を囲むよ。呑気ではいられない。青ざめてしまう。どうしよ。どう切り抜けたものか。
やっぱり話し合いは無理かなぁ?
「か、か弱い女子を狙うなんていけないんだから!」
「あなたが勝手に来たんですよっと!」
ミシェルの回し蹴りは背後から来たゴブリンを吹き飛ばし他のゴブリンまでも蹴散らす。
なにあの子やぎ。チート?
「ふしゅうううう。これが光の女神のご加護か」
「ミシェル、私より目立ってる!どうしよう。このままじゃ私カッコ悪くない?」
何度も心に念じてるとゴブリンたち私の上に飛びかかる。
上に乗っかって動けなくするつもりのようだ。てか、ただのエロゴブリン?
「アストリアさん!」
ミシェルの体当たりにゴブリンたちが吹き飛ぶがまだ倒れてない。
ゆっくりと起き上がり今度はミシェルに飛びかかる。
「私は、無双子やぎではありません……うう。重たい」
「ほし~!ほし~!星、でてーーーー!ミシェルを助けて!」
必死の願いが通じたのかアストリアが光り輝くと星屑たちがいくつも出てゴブリンたちにぶつかる。その星屑は壁に跳ね返り更にゴブリンたちをズタズタにしたのだ。
いくつも血が飛び散りアストリアは「うげっ!」となったがそれでもゴブリンたちを倒したことにホッとする。辺りに転がる魔石。
「おお?なんだか分からないけど凄いね」
「ええ。工夫も面白味もありませんがこんなあっさりとゴブリンたちを仕留めるとはね」
ミシェルはゴブリンを検分した後にぺたんと座り込んでいるアストリアを見る。そのアストリアのお尻を叩いて立ち上がらせる。
「きゃっ!えっち!なにするのよ!」
アストリアはお尻を押さえて立ち上がる。スケベな子やぎめと思いながら。
「エッチだな~。私のヒップに自信があるからって叩くなんて変態なの?」
「なにバカなことを言ってるんですか。早くここから去りましょう。件の冒険者たちが来てしまいますよ」
「え?それなら自慢出来るよね。すぐに冒険者になれるかも?」
証拠はここにある。ゴブリンの死体と魔石。初めて自分で手に入れたから嬉しいよ。
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
その時。凄い威圧感の声が聴こえた。なんだろ!?
明らかに強さを感じる声。
普段だったら逃げたかもしれない。
私が、逃げなかったのな興味とゴブリンたちを倒してレベルアップしてるからである。みんな幼い頃からステータスと言うのを見ることが出来るよ。
魔物を倒して身体が少し熱くなったから。それも何回も。
アストリアは立ち上がりミシェルの肩に手を置く。
「よし、戦おうっか」
「本気ですかー?あなたは戦闘馬鹿なんですか?」
「違うよ。村の方へと行ったら危険だし。それに時間稼ぎをしないとね」
私たちが足止めしてれば師匠やあの冒険者たちが来る。そう思う。
そうこうしてる内に現れたのは立派な体躯のゴブリン。山ゴブリンよりもムキムキで強そうだ。右手には大剣を持っている。
「あれは、ホブゴブリンですね」
「……プレッシャーある~」
ホブゴブリンはこちらを睨みつけると襲いかかってくるよ。でかい割に速い!咄嗟に判断して横に転がる。
「ンメェ~、ンメェェ~!」
ミシェルが避けては打撃を与える。ぐらつくもののタフだね。しつこい魔物は嫌いだよ。いや、もうミシェルの方が私より活躍してるよ。
「おおおおおおお!」
唸るゴブリンが大剣を抜いてミシェルを攻撃する。
それを見て後悔した。私なんかじゃ勝てないって。真っ直ぐに行くのと無鉄砲は違う。
それに勝てないのにミシェルに迷惑かけてる。それでも。へこむのは後だ!
落ち込みそうな私の心を奮い立たせる。
「ミシェル~~~!下がって~~~!」
でっかい星の塊を振り回してフリスビーみたいにぶん投げる。
それはくるくると回ってホブゴブリンの首を跳ねた。
星は壁に当たるときらきらして消えた。
ホブゴブリンは少しだけふらふらと歩いては倒れた。はぁ。あっぶな~。
「おっと。早くドロンしませんとね」
「ドロン?」
首をかしげるもミシェルに引っ張られて私たちは駆け出した。
なんとか倒すことは出来たけどホブゴブリンの魔石は回収してないよ~~~!
つづく
アストリア
星使い
LV.5
HP45
MP61
攻撃20
守備15
速度22
幸運30
スキル 星使い 明るさ
星使いー星を操れる伝説な職業。想像よりも雑で粗っぽいのか?この先に期待したいよ?
明るさー周りを明るくしてテンションを高める……かも?