辺境の村にて.1
またよろしくです!
私の名前はアストリアは明るくて元気。村人たちからの印象はそんなもんかな。
ま、いつものように早起きしては、家畜にエサをやったり朝食の支度をしたり。
ともかく貧乏だったが、いつも笑顔でいたよ。
その方が暗い気分にならないしね。
「うーん。今日も元気だね~」
うろうろする鶏たちに微笑みつつ川へ洗濯へ。
朝だから小川の水も冷たくて洗濯するのも大変だったけど、私はのんびり川のせせらぎを聴きながら洗濯をした。洗濯板でごしごしするのは疲れるからなんか、魔法とかでどうにかならないかな~?
私はいつかこの村を出て冒険者を目指そうと、コツコツと家の仕事や村の仕事を手伝ってはお駄賃を貯めているのだ。
このトゥインクルの村はすきだけど。私は広い世界を見てみたいのだ。
私を捨てたお母さんに文句を言ってやりたいとも思う。
「アストリアちゃんおはよう。いつもお仕事手伝って偉いね。うちの小僧はすぐに遊びに行っちゃうからね」
たぬきのような獣人のおばちゃんは腰を痛そうに洗濯をしている。
私からすればおばちゃんの方が冷たい水で平気で洗濯をしてる方が凄いと思うのだけど。
「おはよう、えへへ。それほどでもあるかなー?」
いつものように返したら苦笑された。
「後でリンゴパイ上げるから取りに来な」
「ほんと!?おばちゃんのパイは甘くてとっても美味しいの♪」
それだけで嬉しい気持ちになる私は単純だろうか。でも甘いものは好きなんだから仕方ないよ。
にこにこしつつ洗濯を済まし家へと帰る。
いつもの雄大な山々。夏の終わりは早く。もう少ししたら山々も照れたように染まるのだろう。そしたら収穫祭かな。
個人的には夏の暑さが元気な感じで好きなんだけどね。
「紅葉は友達とピクニックとかいいかも」
それはそれ。これはこれ。うきうきしながは帰ってると私を呼ぶ声が聴こえる。それは聞き馴染みのある声。
「アストリアー!おはよう!」
優しい静かな声でも通る声はユニの者。
ツインテールの赤毛の女の子。私はは金髪で背が低いから見上げる形になる。ユニは着やせする。いや、そんなことはいっか。
ユニは羊を連れている。羊飼いのスキルを持ってるから。羊を上手く導く犬のコリンもいる。
茶色い毛並みのもふもふが堪らない犬だ。
「ユニ~!コリン!そして羊たち!おっはよ~!」
「メェ~~?」
「わう!?」
私がいつものようにもふもふするので少しびっくりしている。いつもしててもである。
「アストリア~。そんなに私より羊たちの方がいいんだね?泣いちゃうよ」
「そんなことないよー。ユニのこと大好き♫」
「でも、羊たちよりは上ではないんだね?」
「あはは。もふもふは誰にも変えがたいのだよ」
「他のおじさんたちにもしてるもんねー。おじさんキラーだね」
私は可愛いのでおじいちゃんやおばあちゃんに愛されているのだ。自分で言うか?お菓子ももらえて貧乏でも幸せ。
それでも苦手な者もいる。
「アストリア、サボってないで仕事をしろ!」
その怒鳴り声は飲んだくれの父親。母親がアル中の父親をみかぎって出ていったのだ。仕方ないね。
一応、道具屋を開いているけれど飲んだくれてばかりいるので私が主に仕事をしている。偉い?
まあ、私としては働くことは好きなことであり、いつか家を出るために仕事に慣れていた方がいいとは思っている。
飲んだくれの父親は、売り上げを使いすぐに村に一軒しかない酒場で飲んだくれるので村のみんなからも同情されて食べ物や飲み物を私にくれるから感謝しかない。
「は~い。飲んだくれ」
「なんだ?なんか言ったか?俺はな!酒に生まれて酒に生きていくのだ!ヒック」
赤ら顔でヒックじゃないよと思いつつユニに手を振り別れる。大声で叫ぶなよ。村に恥を晒すのが好きなのか。ユニは私を心配そうに見ていたけど、笑顔で返す。心配ないよって。
私はそれでもそんなアル中親父を見捨てられなかった。
母親がいなくなってから寂しそうだから。ろくでなしなのに。
でも、冒険者を目指す時は遠慮なく出てくし。
私の夢の足枷になられてたまるかって感じ。
戻って道具屋の店番に戻る。薬草の他にも雑貨もあり村の人には重宝されているのだ。
「アストリアちゃん。うちの息子食べ過ぎちゃったの~」
「あー。じゃあ、下痢止め?腹痛の薬?」
「両方いただくわ」
人間のおばちゃんや。亜人のおばちゃん。おばちゃんばっか!
たまにおじいちゃんがその、せ、精力剤を求めてくる時は恥ずかしいけど。
「アストリアちゃん、うちの夫。山で怪我したの」
「大丈夫!?薬草準備するね!」
山には魔物が出る。動物との違いは人々の負の感情を吸ったかどうか。
戦争が多いと、人々の嘆きや悲しみ苦しみを吸って魔物は狂暴になる。それを狩るのが冒険者たち。
このおばちゃんの夫は、猟師のスキル持ちなので山で活躍出来るのだ。
私はもうすぐ15才。花も恥じらう乙女から大人の魅力的な女性へと一歩近づくのだ。
それよりも教会でスキルを得られるのだ。それが楽しみで堪らないのだ。
そうすれば冒険でもきっと役に立つから。
つづく
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