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新一と競馬場(1)
秋山真琴と弘中新一は競馬場にいる。
二人はすでに1回目のレースを終え、真琴はすでに1000円を失っていた。
前回同様に三連複を500円ずつ2枚買ったのだ。
「あーだめだった。やっぱり、賭け方が悪いのかな?」
「それはあるかもしれませんよ、秋山さん。よく考えてくださいよ」
真琴は、小さく頷きながら、新一の声に耳を傾ける。
「三連複は10頭のうちから3頭選べるので、当たる確率が高そうに見えますけど、実際は、3頭全部が3位に以内に入らないといけないので、確率的には120分の1になりますよ。かたや、10頭の中から1頭選ぶのは10分の1ですよ。馬を一頭選ぶ単勝の方が当たりやすいんじゃないですか?」
「なるほど、一理あるわね」
真琴は、右手を口元に当てながら頷く。
確率をきちんと計算すればそうかもしれない。