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確率論の少人数ゼミ
真琴は大学の講義室にいる。
もちろん勉強のためである。勉強こそが学生の本分だ。
数学科に進学するのはほとんどが男である。実際、30人のクラスに女子は1人しかおらず、文字通りの紅一点だ。残りの29人がイケメンの王子様であれば楽園なのだが、多くはベルトインの地味男子である。一部には、すでに世間から馴染めない数学者の片鱗を示している変な男子もいる。
真琴は、せっかくの花の大学生活を、ベルトインの男どもと、地味なリケジョとして学生生活を送っているのだ。
講義室には20人ほどの学生がいる。
ゴールデンウィークの終わりから講義室の学生の数は単調減少していたが、最近では、減少は落ち着きつつある。
この講義は、班分けした班ごとに教科書を読み進める少人数ゼミである。
「私は0が自然数と考えているから、0班から5班までの6班作ろう」
という教授の言葉により。5人ずつの班が作られた。
真琴は0班である。すでに2人が消失し、現在の0班は3人で構成されている。