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佳子と競馬場(2)
「じゃあ私は、このレースの三連単に賭けるけど、真琴ちゃんはどうするの?」
佳子が真琴の方を振り向く。
「あ、私は、このレースのナリタブラリアーンの単勝にかけます」
「あ、そうだったわね。私もナリタブラリアーンが1位になるように賭けているから、二人とも当たる可能性もあるわね。まぁ、逆も然りだけど」
佳子は三連単に2000円をかけ、真琴はナリタブラリアーンの単勝に1000円を賭けた。
「あらら、私ははずれちゃった。真琴ちゃんは?」
「私は、当たりました」
真琴はその場でぴょんぴょんする。いつもの通り、真琴のふくよかな胸がぽよぽよと振るえる。
それを佳子はうらやましそうに眺める。
どちらの意味か? 両方である。当たったことと、胸が大きいことである。
「で、いくら当たったの?」
「1.6倍ですね。私、ナリタブラリアーンの単勝の1.6倍で外したことないんですよ。これで、友達からは黄金比の女って言われて茶化されていたんですよ」
「そうなの、すごいジンクスを持っているわね。うらやましいわ」
佳子は小さくため息をついた。