佳子と競馬場(1)
高村佳子と連絡を取り合う仲となった秋山真琴は、週末に二人で遊びに出かけた。
行き先はもちろん、競馬場である。
「真琴ちゃんはどうやって予想しているの?」
佳子は競馬新聞に目をやりながら言う。
「私は今の所、馬にかけています。ナリタブラリアーン一筋で頑張っています」
「なるほど、ナリタブラリアーンは割といい馬よね。私もよく稼がせてもらっているわ」
佳子は笑顔で言う。
「じゃあ、佳子さんはどうやって予想しているんですか?」
「私はね、統計解析かな。一応専門だし。数学的根拠があった方が自信を持って賭けられるしね」
「へぇ、すごいですね。私、統計解析で競馬を当てて、お金を稼ぐのが夢だったんです。競馬を始めたのも、そのためですし」
「あら、そうなの。じゃあ、もう最尤検定とかは習った?」
「いや、まだ途中です」
真琴は舌をペロリと出す。
「じゃあ、ちゃんと勉強しないとね。使いこなせると便利だよ。過去の情報をベースにして、どれほどの確率でその馬が勝つかを数字で予想できるし。まぁ、普通に買うよりは信憑性があるし、一応私は今のところこれでうまくいっているからね。まぁ、あなたも数学科にいるんでしょ? 勉強したら、すぐにできるようになるわよ」
「なるほど、最尤検定ですか。今度勉強してみます」
真琴は大きく頷く。