めぐりあいネコ
真琴と佳子は帰路に着いた。
「そうそう、家に帰る前に缶詰を買っていかないと。じゃあ、私はそこによっていくから。」
佳子は、スーパーを指差す。
「あ、はい」
真琴は頷く。
「いやね、ピエールのおかげで今日のレースに勝ったからね。ご褒美を買っていってあげないといけなくてね」
「ピエールって誰ですか?」
「私の飼っているネコちゃんの名前。かっこいいでしょ? フェルマーからとったんだよ」
「でもどうしてネコちゃんのおかげなんですか?」
真琴は首をかしげる。
「いやね、信じられる。私ね今日、3−1−5って予想していたの。そしたらね、私の留守中にね、私の予想が書いた紙が3−4−6に書き換えられていたの。私はピエールと二人暮しだからさ、きっとピエールがやったと思っているの。でね、さっきのレースで、一応両方買ったんだけどね、3−4−6の方の三連単が当たったのよ」
佳子は満面の笑みを浮かべて話す。
「へぇ、すごいですね」
真琴は感心している。ネコが競馬を予想したことを疑うことをしない。
「じゃあ、またね」
佳子は真琴に手を振る。
真琴も手を振り返す。
真琴は家に帰り、部屋の明かりをつけた。部屋の中は無機質である。
「あーぁ、ネコちゃんか。私も欲しいなぁ」
真琴は呟いた。
『真琴のレース収支;マイナス6500円』




