確率論の講義室で
確率論0班の教科書の輪読は順調であった。
かたや、真琴たちは雑談を楽しんでいる。
「1.6倍で当たるのはいいんだけどさ。はずれた時のリスクが大きんだよね。こないだは1.5倍のナリタブラリアーンを外したからね。今の所、1.6倍で当たるけど、他の倍率で当たっていないことになるのよね」
真琴は、教科書から顔を上げ、新一の方に視線をやる。
「じゃあ、そのジンクスを破るために、いくつかの当たりそうなやつにかけるってのはどうですか? 1.6倍のオッズ以外で当たれば、1.6倍以外で当たらないというジンクスを破れますよ」
「一理あるわね」と、真琴は頷く。
「でも、1.6倍のナリタブラリアーンでは絶対当たると言うジンクスは大事にしないとね」
「そうですよ。今のところ黄金比の女のジンクスは破られていないですからね」
真琴の言葉に新一は頷いた。
「でも僕ら、確率論を習っている数学者の卵ですよ。そんなジンクスを信じすぎてもいいのかなぁとも思いますけどね」
カオスが横槍を入れる。
「おいおい、カオス。このあいだ秋山さんが言った言葉を忘れたのか? 馬はサイコロを振らないんだぜ」
「確かに」
カオスは頷いた。これで納得したのか、はたまた、適当なだけなのか。




