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新一と競馬場(4)
秋山真琴は当たり馬券を換金した。
そして、当たりの800円を受け取った。
「あれ? これだけ?」
真琴は、手元の800円を見てキョトンとする。
「そうみたいですね、単勝の当たりが160円って書いていますから、1.6倍ですね。やったじゃないですか、黄金比ですよ」
新一は言う。
「おぉい、弘中ぁー。だからどうしたぁ。当たったのに、マイナスじゃないかー」
真琴は新一の肩を掴み、彼を揺さぶる。
「落ち着いてください、秋山さん。僕なんて今日2000円負けているんですよ。秋山さんは少し戻ってきただけマシじゃないですか」
新一は、真琴をなだめる。実際、今日の負けが混んでいるのは新一の方である。
「まぁ、そうだけど。思っていたのとちょっと違うんだけど」
真琴は小さくため息をついた。
「もう一度リベンジします?」
「いや、今日は心が折れたから帰ろう」
そう言い、二人は帰路についた。
真琴は家に帰ると、ベッドに放物線を描き倒れこんだ。
「あーあ、また負けちやったー」
真琴は枕に頭を埋めて、呟いた。
『真琴のレース収支;マイナス2200円』