「こんな爽やかな秋があるのかよ!」No.13
「ふう、なんか今日は疲れたな……」
呪文のような注文を終え三人で席に着いた。 そこで俺は疲れから朝からのことを思い出していた。
家に杏樹が泊り一緒にご飯を食べ、支度をして午後から買い物。
女友達フルコースな一日だな…… これは喜んでいいのか分からない。
「昨日の誕生日会はどうだったのかしら?」
「え、えーと。 普通でしたよ」
口が裂けても酔いつぶれが二人いて他は寝ていた、なんて言えない……
言ったら未来との生活どころか家を追い出されかねない。 まあ、うちの両親がいないからそれはないと思うが。
「普通ねえー、まあ普通が一番よねー!」
流石は六実の母親だなと、言わんばかりの勘の鈍さである。
詮索してこないだけありがたいんだけどな。
「昨日はお友達とだったから私は入れなかったけど、はいどうぞ」
そういうとおばさんはプレゼント用に包装された袋を差し出してきた。
「え!? もらっちゃっていいんですか!?」
「あたりまえよー、そのために今日はここに来たんだもの」
あ、そうなんだ。
このまま空港へ向かうらしいから俺が一緒なわけだったのか。
「あ、ありがとうございます! 開けてもいいですか?」
「おっと、それは家に帰ってからのお楽しみよー」
お楽しみ? 何かここで開けちゃいけないものなのか?
まあいいや、帰ってからゆっくり開けるとしよう。
「絶対紗月は驚くと思うなー」
「これは六実も選んだのか?」
「そーだよー、私とお母さんで選んだんだー」
おばさんの前では姉キャラになる六実のことだ、きっとちゃんとしたものなのだろう。
「じゃあ、楽しみにさせてもらうよ」
「「うんっ!」」
こういうところで無駄に親子感出してくるな。
まあ、嫌いじゃないけどさ。
「あ! もうこんな時間! もうそろそろ行かなきゃ」
「そうだね、お母さんはこっち楽しかった?」
「そうねえ、沖縄には沖縄の良さがあるって言いたいんだけど、正直こっちの方が何倍も楽しいわね」
「でしょ? また機会があったらおいでね」
「もちろんよ、また来るわねー。 その時は紗月君もよろしくねー」
「こちらこそですー」
このモールには隣に駅がありそこでおばさんを見送った。
こっちの一週間は楽しかったようで何よりだ。
さて、未来も待っているだろし早く帰ろうかな。
「六実ー、もう帰るぞー」
「はいはーい」
そう言って振り返る六実の目にはうっすらと涙がにじんでいる。
そりゃあ、突然一人でこっちに着てずっと会えてなかったんだもんな。 なんかこの六実を見ているとかまってあげたくなるな。
いや、しないけどな。
「もうちょっとゆっくりしていくか?」
「ううん、もう帰ろっか」
「おう」
六実のことだきっと明日にはいつも通りに戻っているだろう。
でも、今後はうちに来ても文句は言わないでおこうかな。
それでずっと気になっていたんだけれど、今日の夕飯はなんだろう。




