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「こんな非日常があっていいのかよ!」No.8

「頼むみんな! 夜に集まれないか?」


 俺は未来、雄二、杏樹、六実の四人の前で高速土下座をしていた。

 二週間、どう頑張ってもホラー小説のアイデアが浮かばないんだ!

 締め切りはあと一週間しかないのに……


「急にどうしたんだ?」


 状況が呑み込めていないのか雄二が聞いてくる。


「実は……」


 俺は小説のことに触れないように説明した。


「五人の思い出にだって? なんか面白そうだな、俺はいいぞ」


「なんか面白そうだから行くー」


 雄二、未来、六実は乗り気みたいだ。


「私もいいけど……」


 杏樹はなんか言いたそうだが一応了承してくれた。


「じゃあ、今日の夜紗月んち集合な!」


 俺んちかよ……

 まあいいけど。




 「よし全員揃ったし行くか!」


「どこに行く予定なの?」


 不安なのか杏樹が聞いてくる。


「安心しろ、近くの林にある神社だよ」


「なにそれ、ちょっと怖い……」


「近くにコンビニとかもあるしそんなに怖くはないと思うぞ」


 多分だがな。



「あそこか、たしかになんかオーラが違うな」


「雄二、もう高校生だろ 中二病は卒業しろ」


「ちぇー」


 まあ、こんなやり取りができるくらいだから雄二は平気だろう。

 問題は女子陣だな。

 今だって楽しそうに三人で話している、っておい。


「じゃあ行くか」


 五人で固まって林の中を進んでいく。

 懐中電灯は一個しかないため先頭の俺が持っている。

 他の四人はというと


「なんか木のいい匂いがするね」


 とか


「星がきれいだよー」


 などと話している。

 取材失敗かよ……


「な、なあ紗月 あそこになんか見えないか?」


 雄二が突然小さい声で俺に言ってきた。

 俺は言われたほうを見てみた。

 どうせからかってるだけだろ?


 そこには細身の女性がこちらにゆっくりと近づいてきていた。


「雄二、帰ろうか」


「俺も同感だ」


「どうしたの二人とも?」


 俺はすでにパニックになっていた。


「な、なあ あっちに何が見える?」


 女子陣は俺が震えながら指さしているほうを見た。


「「「きゃああああー!」」」


 もはや、四人全員パニックになっていた。



「人のこと見て絶叫とは失礼な」


 全員腰を抜かして声のするほうを見た。


「さ、佐藤さん!?」


「む、君はお隣のえーっとなんだっけ?」


「開隆です、開隆 紗月です」


「あー、そうそう 紗月君!」


 おばけ? の正体は佐藤さんだったか……


「高校生がこんな時間に何してるのかな?」


「えと、散歩です」


「五人で?」


 さすがに厳しいか。


「まあ、深くは聞かないよー 補導されないうちに帰りなー」


「はい……」


 佐藤さんこそ何をしていたんだろうな。




 さて書くか、怖い思いはできたんだし。


「つっくん、今日は寝ない感じ?」


「そうだな、ちょっと書かなくちゃでな」


「わかった、ちょっと待っててね」


 なんだ? まあ、いいか。

 覚えている今のうちに書いておう。




 「ふう、終わった」


 今回は高校生の男女が森に迷い込んで謎の女幽霊に追われる、という感じになった。

 まんまじゃんとか言うなよ、ホラーで大事なのはリアリティだからな。


 担当さんに原稿を送って時計を見てみる。

 

「げ、もう四時かよ」


 短編とはいえなかなか書いてしまったな。

 ん? 机の端に何か置いてある。

 


 つっくんへ

 お疲れ様です、終わったら食べてください



 ベットにおにぎりが置いてあった。


「おせっかいだな」


 口に出したものの本心ではない。

 正直めちゃくちゃ嬉しい、こんな幼馴染をもって良かったなとつくづく思った。



 


今回から佐藤さんが重要になってくるかも……



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