「こんな非日常があっていいのかよ!」No.7
「あのね! 私バイトしたいっ!」
……は? 俺のドキドキ展開は?
「バイトなんかして、欲しいものでもあるのか?」
「ううん、ただずっとお金を出してもらうのは申し訳ないと思って……」
めちゃくちゃいい子じゃん…… 見直したぞ……
「俺はしなくてもいいと思うが……」
「だめ! いつまでもお世話してもらえないよ」
そういうところがあるからお金を出してもらえると思うんだが、まあ本人がやりたがっているならやらしてみるのもありだな。
「なら頑張ってな! 俺だって少しは家事もやるからさ」
不器用なりにやってやる!
「ただ、どこでバイトするんだ?」
「今考えているのはお蕎麦屋さんかな、昔から馴染みのあるお店があるの」
蕎麦屋か、未来なら即戦力だろう。
なんせ物覚えがとんでもなく早いし、器用だ。
まじで俺と正反対だな……
「未来のシフトの日に雄二たちと行くな」
「え! 恥ずかしい……」
絶対行ってやる、蕎麦屋なら制服が和服だろうからな。
正直ものすごく見たい。
「紗月から許可もらったから明日にでも面接受けてくるね!」
「おう、頑張れよ」
未来なら受かるだろう、変なことさえしなければ……
「つっくーん……」
「うお! どうした、廊下で突っ伏して」
次の日、学校から帰ってきて扉を開けると廊下で倒れるように俯いた未来がいた。
「なんかね、あなたにはもっといいところがあるって言われた……」
そういうことか、未来が器用すぎてもっといいところに行けと言われたわけか。
「未来はその蕎麦屋が良かったのか?」
「うん……」
なら答えは一つだ。
「明日も行ってこい、きっと雇ってもらえるぞ」
店側が気が引けるのは未来が優秀すぎるからだろう、ならアタックし続ければ合格は貰えるだろう。
悪くて落ちたわけじゃないんだし。
「ほんとに?」
「ああ、きっとな」
「つっくん好き!」
急に笑顔になったかと思えば抱きついてきた。
うう、嬉しいけど恥ずかしい……
「急にはずるいぞ」
「えへへー」
「明日頑張れよ」
「百人力だー!」
つくづく元気だな、未来は。
少しは元気を分けてほしいな。
「じゃあ明日頑張るね! おやすみ!」
「ああ、おやすみ」
ご飯を食べて風呂に入ったと思ったらすぐに寝てしまった。
そうとう意気込んでるみたいだな。
さて、俺も寝る準備でもしますか。
プルルルルルル
ん、編集さんだ。
「はい、もしもし」
「あ、海竜先生! 朗報ですよ!」
なんかテンション高めだ。
「先生の腕が認められて今度出る雑誌の小説バトルに招待されましたよ!」
「小説バトルですか?」
なんだそれ、聞いたことない。
「今年は新人作家が豊作でしてその中で投票制のバトルをすることになったんです!」
「それに俺が招待されたんですか!?」
「そうなんです! おめでとうございます!」
なんか、今までの努力が報われた気がする……
純粋に嬉しいな。
「ただ、条件がありまして」
「条件ですか?」
「もうすぐ夏、ということでホラージャンルの小説バトルになります! お願いできますか?」
「もちろんです!」
「それではお願いしますね! 失礼しまーす」
勢いでやると言ってしまったがホラーなんて初めてだな、どうしよう。
まあ、まだ時間はあるしゆっくり考えるか。
課題が多く書き貯めが続きませんが毎日投稿はしますのでよろしくお願いします!




