弱者の剣
「さぁ打ち込んできたまえ。それともあれかい?もうリタイアかいサリエンテ?そんなので何かを成そうなんて片腹痛いことこの上ないぞ?こんなことでへこたれるならそこらへんで這いつくばって現実から目を背け地面とキスでもしてたまえ」
あれから私とサリエンテは実戦形式の殺し以外ならなんでもありの模擬戦をしていた。
しかしながらどうやらサリエンテの弱さは折り紙つきのようで、私が手加減をしていると言うのに開始20分程度でも地面に片足をついて苦しそうにしていた。
「まだ…立てます。こんなの…はぁ、はぁ…屁でもありません」
「ふふっ。そうであってもらわないと困るね。私はこの程度で弱音を吐くような真の弱者は必要としてないからね」
彼女は弱かった。弱く脆くそれでいてどこまでも力強かった。
人の心とはとても脆いものである。
どれだけ強い信念を、覚悟を、願いでさえもたやすく捨ててしまう。物語の勇者は決して諦めないであろう?折れないであろう?挫けないであろう?だが、そんなものは幻想だ。
「私は物語の勇者様みたいにはなれません」
(そんな人間存在しない)
「私は高位の冒険者のように勇気も強さもありません」
(冒険者なんて臆病者さ)
「私は教会の人のような誰かを助けれるような特別な才能はありません」
(教会なんて才能に溺れ金の亡者と成り果てた愚か者さ)
「だけど私は誰かを守れるような人になりたいんです」
「…っえ?」
今一瞬。たったの一瞬であったが彼女がかつての思い人と重なったかのような錯覚に陥った。
私は未だに彼女を思い続けているとでもいうのか?もう、そんな邪魔なものなんて捨てたはずだった。
ただ持っているだけで傷つき、汚れ果て、朽ち果てるものなんて
「どうかしましたか師匠?」
私が何も言わないことを不思議に思ったのであろうサリエンテが心配そうな顔をしてこちらを見ていった。
私はそんな彼女の心配を振り切るかのように大袈裟な動作で言った。
「どうしもしていないさ。それにしても君はもしも敵が私のように動かなくなってもそのように何もせずに見ているつもりなのかい?」
私はそう言いサリエンテに剣の切っ先を向ける。
「敵の一瞬の隙を見逃すな。その瞬間、その一瞬で君の生死が決まるかもしれないんだ。敵なら容赦をするな。瀕死だったとしても剣を握り力を限界まで振り絞れ。それが生きると、抗うということだ」
私はそういった後に肩を竦めて続けた。
「ま、今の君じゃ大切な人がいようと守れないだろうけどね」
私はそう言い終わるなり、地をそれなりに強く蹴る。今回の鍛錬はここら辺で終了するつもりだったのでこの一撃で今日は終わらせるつもりだった。
「私には才能なんてありません。だけど、守りたいものは、大切な人たちはいます!」
彼女がそう言うと同時に彼女が持っていた剣が眩しいほどの光を発し始めた。
「なっ!?」
「はぁぁぁぁぁぁ!」
私は咄嗟に切りつけるために斜めから振りあげようとしていた剣を自分前でガードするのに横向きに切替える。
だが、そんなものは関係ないと言わんばかりに振り下ろされた剣は私が地に足をついていないことも相成り私を容易く吹き飛ばす。
「これは、凄まじいね…」
「はぁ…は…ぁ」
私が壁際まで吹き飛ばされ戦慄していると彼女は力を使い果たしたのか力なく地面に倒れ込んだ。
彼女の潜在能力はやはり計り知れないものがある。彼女は鍛えればもっと上に行ける。もっと、もっともっと!もしかしたらあの魔王たちよりも上かもしれない。
「はぁ、こういうのをご都合主義とでも言うのかね…」
私はそう言うとサリエンテを背負う。もちろん、私が彼女の宿屋を知っているはずもなく
「適当に宿を手配して放り込めばいいか」
そんなことを言いながら自分の宿屋へと向かった。明日の朝は五月蝿そうだなぁと思いながら。
~???~
「ねぇねぇ、###♪」
そう1人のとても可愛らしい少女が1人の少年に話しかけた。
「どうかしたの####?」
その少女の声に対してまるで少女のような美しい顔をした少年がそう問いかける。
「###は私のことを守ってくれるって言ってくれたよね?」
「そうだけど…もしかして嫌だった?」
少女その問いに少年は少し考えるような仕草をした後に少し悲しげに問い返した。
「そんな事ないよ!?とっても嬉しいし心強いよ!でも、」
「でも?」
少女は少しの間をあけた後にはじけたようなえみを浮かべた。
「わたしだって###の事が大大だ~い好きなんだよ!だから、私だって~~~の事を守りたい♪」
「####…。分かった!それじゃあ約束をしよ!」
少女のその問いに少年は快活な笑顔を浮かべて言う。
「####と俺は今日から相棒だ!」
「相棒?」
少年のその言葉に対して少女は頭の中に?浮かべながらに言う。
「そう!相棒!もしも####が危険な目にあったら俺が死んでも助ける!そしてもしも俺が危険な目にあったら####が助けに来てくれ。そういう約束の証だ!」
「相棒…相棒、うん!私と###は今日から相棒だよ!だから、私が危険な目にあったら絶対助けに来てねエリク!」
少女はエリク今までで1番の笑みを浮かべてそう言った。
「ああ、約束だ###ア!」
そしてまた、エリクも少女に輝かしい笑みをうがながらそう、大きな声で言うのだった。
私が目を開けるといつもの天井があった。その事が私が先程まで見ていた光景は夢なのだということ告げていた。
外を見てみるとまだ暗く朝日どころか街には光1つない静寂に包まれていた。
「あぁ、最悪だ」
きっとこんな夢を見てしまったのは昨日サリエンテと剣聖が重なって見えたせいだろう。
思い出したくもないことをまるで忘れるなとでも言うかのように見せてくるこの夢はまるで
「呪いだな」
私はそう呟くのだった。
(/ー▽ー)/フフフ。
ねぇねぇまた出さないと思った?ねぇねぇ思った?
残念今回は出したのさ!
それと、質問なんですけど何話とかそういう表示ってあった方がいいですかね?
できれば意見を頂ければ幸いです。
これからもなんとか投稿していくからぜひ見てくださると嬉しいです!




