表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

嘘の右手と本気の笑顔

ぜぇ…ぜぇ…な、な、なんとか間に合った。

今回は少し少なめです。

少女side


「僕が冒険者になった…理由?」


僕ことサリエンテは思わず聞き返してしまった。僕はメリザさんとなら一緒にやっていけると思ったのも束の間、彼女はまるで人の命を蔑ろにするかのような態度に苛立っている僕に突如そのような問をしてきた。


僕は今までそんなこと考えたことは無かったし、これからもメリザさんのように尋ねられなければ考えることもなかったような問いなのに私の口は自然と動いた。


「理由なんてありませんよ。」


「へぇ~。それまたどうして?」


「だって………たまたま立ったところが冒険者だったから、それだけですよ。」


つまり僕は成り行きで冒険者になっただけと言ったようなものだった。本当は誰かを守るためだとか、人助けをしたいからとかカッコイイことを言ってみたかった。


でも、僕はなんとなく今そんな嘘を言うのは違うような気がしたから素直に話した。いわば直感のようなものだ。


「そっかぁ~。だってそう言うよね。君のような無力な子じゃ()()()()()()()()()()()


「………」


その言葉は僕の胸を強く、そして深くえぐった。言いたい。違うと叫んでやりたい。でも僕は何も言えない。


だって事実だから。実際、昔()のように自分は誰かを救いたくて、誰かを助けたくて冒険者になったなんて言え無くなってしまったのだから。


唇かんで俯くしかなかった。気が付くと僕は先程メリザさんが座っていた2人用の机の椅子の向かい側に座っていた。僕が色々考えている間に登録は終わっていたのだろう。


「だからさ。サリエンテ。君は力が欲しいかい?」


不意にメリザさんが机に手を付き今にも鼻と鼻がくっ付くくらい前のめりに近付いており、そんな甘い誘惑にも似たようや提案してきた。


その顔には先程付けていた奇妙な仮面外れており、素顔をが晒されていた。


ドス黒い、まるで底なしの奈落のような真っ黒な瞳に背中まで伸びたとても綺麗でどこか妖艶さを思わせる黒い髪。形のいい唇はとても健康的な赤で、思わず意図せずに凝視してしまうほどに存在感を漂わせている。


「ほ、欲しいです」


「なんで力を欲する?君ぐらいの歳ならわざわざ冒険者じゃなくても生きていける仕事はいくらでもあるはずだ。だと言うのになんで冒険者という業界で力を欲す?」


僕はその言葉を聞いてこの人が一体何をしたいのかをやっと理解することが出来た。この人はきっと私の心を折ってくれようとしているのだ。


どこまでも弱気で自分に自信がなくなってしまったどこまでも情けないこの僕の………いや、私の心を。


だから私はメリザさんの瞳から目を逸らさずに真っ直ぐ見つめ返し口を開く。


「私は誰かを救うために、助けるために力が欲しい。悲しんでいる人の手を引いて導いてあげれるくらいに強くなりたい。立ち止まって全てを諦めてしまった人に向かって笑顔で手を差し伸べられるくらい強くなりたい。自暴自棄になってしまった人を頬を引っぱたいてあげれるくらい強くなりたい。私は、私は!」


『自己満足だとしても全ての、私の手の届く全ての人々を救えるくらい!皆が恐れる化け物から助けれるくらい……強くなりたい!』


気が付くと私はそう叫んでいた。胸の奥から込み上げてきた心からの言葉だった。そこに嘘偽りなんて何一つとしてない。これこそが私の信念なのだから。


もう、曲げない、曲げられない、貫き通す。絶対に…







メリザ?side


私は事前に周囲に防音結界を貼っていた自分に向かって自画自賛していた。


彼女の心を折るというか折れた心の修復?は無事成功した。もしかしたら今までの文が溜まっていて感情が爆発した時ように結界を貼っていたのだが正解だったようだ。


まぁどうやら何かを考えて行ったのではなく、突発的なものだったようで、今では恥ずかしさのあまり俯いた顔を両手で覆い隠し、両耳を真っ赤にしながら悶えていた。


それも5分前に言い終えたのだが、それから直ぐに顔を真っ赤にして顔を覆い、恥ずかしそうにゆっくりと自分の席に座り直した。


さすがに私も言い返す際に今にも唇がくっつきそうなほど顔を寄せてくるのにはびっくりしたけど。


まぁ彼女がここまで勇気出して?と言うよりは気持ちをぶつけてくれたのだ。それなら私もそれ相応対価を支払わなければならないだろう。


「じゃあ私は約束しようサリエンテ」


私がそう言うと彼女は顔を覆ったまま頭を上げ、指の隙間から瞳をのぞかせた。


「君が君の信念に突き進む(理想の駒である)限り私は君を本気で鍛えよう。最強には出来ない。だが、私の出来る限り君を強くしよう。それを望むならこの手を掴みたまえ」


そう言い私が右手を差し出すと彼女は先ほどまで顔を覆っていた手を外した。その顔や耳は未だに真っ赤だったがその瞳は決意に満ち溢れていた。


「はい!よろしくお願いします!」


彼女はそう言って私の右手を掴みながらはみかんだ笑みを浮かべた。





















そしてそれと同時に私の本当の目的が動き始めた。

サリエンテちゃん手に入れるのに3話も掛かった(~_~;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ