嘘つきと見透かす瞳
あ、最後の部分を少し内容を変更させていただきました
あれから数日が経った。そうだというのに未だに真祖吸血鬼討伐の依頼は受理されておらず、今でもクエストボードの上に張り出されたままだ。
まぁ仕方ないといえば仕方ないと言えるだろう。Sランクパーティー古の呪剣はSランクパーティーの中でも屈指の実力を持っており、SSランクパーティーになるのも時間の問題とすら言われていたパーティーだった為か皆、恐れてしまってしっまっているのだろう。
それに今は聖王国と戦争状態のため、家族や保身の為にあまり遠出したくないというのが皆の本音だろう。まぁ、SSSランク限定ということもありそもそもとして受けれる人が少ないというのも理由の一つだろう。
私はそんなことを思いながらギルドの一角にある椅子に腰を下ろし適当に朝食定食?というのを頼み少しの間グッタリと体を机に預けながらギルドの様子を眺めていた。
しばらくするとご飯、味噌汁、納豆、ハンバーグ、お茶…いや、お前これ日本かよ。というよりなぜ最後だけハンバーグにしたし。そこまで言ったら和食で統一しようよ。
そう思いながらも食べていると突如として怒鳴り声が聞こえそちらの方を向いてみるとどうやらどこかのパーティーが揉め事を起こしていた。
「お前は今日限りで追放だ。」
そう言っているのはAランクパーティーの最後の希望とかいうちょっと頭の痛い子がリーダーのギルドでもかなり期待されているパーティーだ。
「な、なんで!?ぼ、僕達は仲間じゃなかったの!?」
そう叫んでいる少年を見ると「ほぉ」と自然とそう声が漏れ、口角が上がりまるで面白いものを見るかのような表情へと変化していった。
私がそんなことを思っているとどうやら話が進んでいたようで先程の少年がリーダーに殴り飛ばされてこちらに飛んできた。
「Aランクパーティーの癖に器が小さくていけないねぇ~」
私はそんなことを言いながら立ち上がり少し机と距離をとる。受け止めた拍子に机に当たって私の朝食が飛んでったりしたら元も子もないからね。
まぁそんなことを思いながらこちらに飛んできた少年をふわりと勢いを完全に殺しきって抱き、端正な顔で微笑む姿は美しいはずなのにその場にいたものは皆恐怖に顔を引きつらせた。
「君たちさぁ~?冒険者ギルド内での暴行及び恐喝は禁止ってルール忘れたとは言わないよねぇ~?」
私はそう言って閉じていた目の片方を細く開け、ジロリと見やった。すると先程まで集まっていた集団は徐々にいなくなっていき最後には中心にいたと思われる3人だけが残った。
「ひぃ~こえぇこえぇ。」
「あの人ってSSランク冒険者の血染め桜のメリザでしょ?」
「あれでしょ?1人でダンジョン1つ潰したんでしょ?」
「えっ?私は虐殺姫って聞いたよ?」
「たったの半年でSSランクに上り詰めるなんてまさに天才よね」
そんなどうでもいい噂を聞き流しながら先程殴られて気絶してしまった少年を隣に座らせ、先程途中で中断してしまった朝食を再び食べ始める。
先程私の方に少年を殴り飛ばした頭の痛い子がなにやら喚いているが私は別段気にしないで朝食を食べ終わり、机に頬杖をつきながらニコニコしながら彼が目覚めるのを待った。
数十分後〜
なかなか目覚めてくれない彼にしびれを切らしてきた私は一冊の魔道書を取り出す。そして回復と状態異常回復を探してパラパラと魔道書をめくる。
そして目的のページを見つけ、気だるそうに詠唱を始める。本来こんな初級魔法暗記していて当然なのだが、なにぶん使うのが初めてのため一応見ながら詠唱をする。
魔道書。この世界の魔道書というのは大変貴重なもので公爵家でも多くて3〜4冊しか持っていないとされている。
本来魔法は魔法職か回復職しか使わない。使えないのではなく使わないのである。
魔法職、回復職以外の戦闘職だった場合魔法を使うことによる消費魔力が一部を除いて19倍になるというペナルティーがある。
そこで出てくるのが魔道書である。魔道書を一言で言うのなら魔法が刻まれた本と言うのがしっくりくるだろう。
だがそれ故に最低でも一冊で金貨3,000枚(三百億円)するとさえ言われているほどだ。だが、だと言うのにこの場にいるものは誰一人として反応を示さなかった。
詠唱が終わりウキウキ気分で目覚めるのを待っていること数秒。「うぅ」という唸り声とともに少年は目を開いた。
「おっ少年お目覚めかい?」
私はそう言い少年の顔を至近距離で覗き込む。そんな私の顔を見た彼は恥じて頬を赤らめることもなく、いきなり目の前に現れたことに驚くでもなく、感謝の念を告げるでもなくこう告げる。
「きっと貴方が治療してくれたのでしょうからお礼は言います。ですが、なんですか?その不気味な仮面は」
私はその言葉を聞いて仮面の下でニヤリと嗤う。だって今まで探し求めていたものがこんなにもあっさり、そしてこんな都合のいいシチュエーションで見つかったのだから。
だから私はその質問に答える前に右手でその左頬に触れる。先ほどまでは殴られたせいで腫れていたが今ではそんなこともなく傷一つない綺麗な肌になっていた。
「私はしがないピエロさ。そして今からは君の冒険のパートナーさ。」
「っえ?ピエロ?パートナー?どゆこと?」
いきなりの宣言で彼は理解できていないようだがそんなことは御構い無しで私は彼の右手を握って無理やり引っ張り椅子から立たせもう一つの宣言をする。
「これは決定事項だから拒否権はないよ!」
そう言いながら受付方へと彼を引っ張る。そして彼は小声で呟く。
「さ……え………う……ょう……まり……よ」
やっと書き終わった。作者曰く現在深夜3時半。
真祖吸血鬼編に見せてか〜ら〜の〜まさかの普通の冒険者編です!
しばらく真祖吸血鬼討伐はしません!
今回は伏線のオンパレードでしたからかなり面倒でした。
では次回は出来たら早めに出来たらいいなぁ〜なんて!
ぜひぜひ次回も読んでいただけたら幸いです!




