正義を背負う者と悪を騙るもの
20日になる前にギリギリ出せました( ̄▽ ̄;)
私は拳銃の引き金を引く。しかしながらいくら勇者が弱いとはいえ、ステータスは異常なレベルで高い上真正面で撃って当たるほどでは無い。
そのため勇者は軽く拳銃の弾を最小限の動きで避け、こちらに聖剣で斬撃の連撃を繰り出してくる。
だが、少しばかり技術を上げた程度で私の今まで積み重ねてきた技術の足元にも及ぶわけもなく、軽く全てを拳銃で受け流す。
「ふぅ~ん?少しは技術を上げてきたってことか」
「俺はお前を倒して全てを救って決めたんだ!」
私はその言葉を聞いて思わずお腹を抱えて大笑いをしてしまう。散々人々を心を傷つけたやつが誰かを救うとかのたうち回っているのだ。仕方ないことだろう?
「あ、アッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!なんだいなんだい!君、私を笑わせるためにそんなことを言い始めたのかい?ハハハハハハハ!」
「…………あぁ、俺にそんなことをする資格はないと分かってい」
しかしながら私はその言葉に被せるかのように再び言葉を紡ぐ。彼に、そんな言葉を吐く資格なんてないから。
「いいや、君は何もわかってなんかないよ。ねぇ、宣言してあげるよ。正王国は近年絶対に…滅びるってさ」
「…」
私がそう言うと勇者が黙り込んだので思わず再び笑いだしてしまう。しかしその際にお腹を抱えたせいで視線が下へと向いてしまった。
それがいけなかった。いくら私に技術があるとはいえそれは相手を見ていないと適切に対応することなど不可能だ。
「あっ。やらかし『ドカァァァァァァン!!!』」
そのため私は顔を上げたのと同時に振るわれた勇者の拳を避けることが出来ずに砦の瓦礫の方へと吹き飛ばされ、叩きつけられる。
「分かっている…分かっているさ!俺にこんなことを言う資格がないなんて!だとしても……そうだとしても!俺は皆の優しさに触れて、話して、愛して、気づいたんだ!自分の間違いに、俺の罪に!だから、俺は例えこの命が尽きるとしても姫を、王を、国の皆を守ると決めたんだ!」
勇者はそう言ってもう一度聖剣を構える。そこにはもうかつてピエロの負けた者ではなく、1人の誇り高き戦士。正しく勇者と言うのに相応しいだろう
「だから俺はお前を絶対に倒す!」
「君に何があったかは知らないけどさ、だから?もう何もかもが手遅れだと何故分からない?」
私はそう言って何事も無かったように立ち上がる。体中ボロボロで肉は裂け、骨は一部砕けた。しかし私からは何も流れない。何も感じない。しかし勇者はそうだというのに特に驚いた様子はない。
「君だって分かっているんだろう?たった今君たちの敗北は決まったってさ?」
そしてそちらに少し顔を向ける。そこには魔力を使い果たして倒れた賢者と2本の剣を折られて剣を突きつけられる剣聖の姿があった。
「まぁ今回の目的は違うから見逃してあげるけど、さ?」
「お前、それは一体どういう…」
勇者が何かを言おうとしていたが私はそれを気にせずリリナとルルナそしてポチにアイコンタクトを送る。
するとルルナが手刀で剣聖を気絶させる。その際勇者が鬼のような形相になりルルナに攻撃しようとするとポチが賢者の魔法障壁を壊さない程度の威力で勇者の方へと吹き飛ばす。
すると勇者は避けるわけには行かない。そのため勇者はその場に立ち止まり賢者を受け止めこちらを睨んでくる。
「そう睨みなさんな。別に殺したわけじゃあるまいし」
そう言って私はケタケタと嗤う。いや、というよりさっさと逃げたい。なんかさっきから殺気と神気ダダ漏れの熾天使来てるからとりあえず逃げたい…
「ではでは勇者さん。次回会うまでに死んでいないことをお祈りしてますってね?」
そうしてケタケタと嗤いながら私達はその場を後にしーーーーーーーようと思ったのだが、それと同時にどこぞの熾天使様が剣?いや、槍だろうか?よく分からないものを投擲して来た。
「最近のお子様は落ち着きがなくて困るねぇ〜」
私はそういうと仮面で隠れている右目が熱を持ち始め色が赤黒く染まっていく。別に今は熾天使と争うつもりはないのでその投擲して来た槍?に右手を伸ばし消した。
「これは宣戦布告だよ?―――の神よ…」
そうして私たちは今度こそ姿を消した。
勇者サイド
俺はそこで呆然とすることしか出来なかった。最後のピエロの技を見て俺はあることを察していた。俺は…いや、俺たちはピエロに今まで手加減してもらっていたのだと。
一体どうしてそうしているのか、そうすることで発生するあいつらへのメリットははっきり言ってわからない。もしかしたら遊んでいるだけなのかもしれない…
だけどこれだけは言える。ピエロ…いや、あのエリクという青年はとっくのとうに人間を…いや、生物というカテゴリーを凌駕している。
そしてそれはきっと俺のせいなのだと理解をすると罪悪感で今にも胸が張り裂けんとばかりに後悔の念が押し寄せてくる。
もしかしたら俺が何もしなくてもこういう結末にならなかったかもしれない。そんなことは分かっている。でも、どうしても考えてしまう。
もし?俺がカナリアを彼から奪わなかったら?っと。そう、俺はあの時カナリアを…………いや、今こんなことを考えていても仕方が無い。俺はそう思いカナリアを背負い賢者を脇に抱える。
「なぁエリク。もし俺がこんな愚かじゃなかったら今頃お前と肩を組んで馬鹿騒ぎでも出来たのかな?」
俺はそんなありもしないような自分で踏みにじってしまった明るい未来を口にして己の罪を再認識して自分を戒め続けるのだった。
それが、仕組まれた運命のレールの上なのだとも知らずに。
「どこまでも馬鹿な子供は大好きよ?だって見ていて楽しいじゃない?」
そして彼は勘違いを続ける。ピエロは勇者のことを嫌っていてもそうだとしてもカナリアと共にいてくれていることに安堵をしていることに。
やっと序盤が終わりました(´・ω・`;)
このまま行くと終わるまでに物凄く時間かかりそうなんですが…なんかNTRから別の物へとなりそうで怖いですカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ
それと次回は7月10日になると思います。
ですので別に飽きたとかそういうわけじゃないのでブックマークは切らないでくださいお願いします!
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