捨てた欠片(再)
はい!再投稿です!
もしかしたら今回説明多くね?
とか思うかもしれませんがこの説明が結構必要なんで許してください(><)
カナリア:サイド
ピエロの仮面が宙を舞う。そして仮面を外したピエロは黒い髪に黒い瞳、中性的な顔立ちをしておりもし女装をしようものなら女性と見間違えてしまうだろう。
そう、そこにはかつて私が愛し、愛され、そして捨てて死んで自業自得にも悲しんだ、私の最愛の人、エリクがいた。
ピエロサイド
「わ・た・し・です。ってね?」
私がそう言い終わると同時に狙ったタイミングで仮面が戻ってきたのでそれを右手で掴み、顔の右半分だけが隠れるように仮面を顔に添えて見下すように嗤う。
「こ…す。」
「まぁ今回はさっさと逃げるんですけどねぇ〜」
「殺す!」
私がそう言いながらケタケタと嗤っていると、突然賢者からの殺意が膨張する。でも不思議だ。なんで彼女はここまでーーーーーーーーーーーーーーーー
自分を捨てた者たちを愛せる?
不思議で不思議で仕方ない。私は賢者の魔法を避けながら考える。
私は思った。この世に平等とはあるのか?答えは否。だってさ、たとえば勇者の大切なものを傷つければ皆怒る。それはなんで?
いくら赤の他人が死のうとのうのうと生きているくせになんで勇者の関係者ってだけで怒るの?ある人は言った。「勇者様は私たちの希望だからだ」それってつまり勇者の力以外どうでもいいってことだよね?
ある者は言った。「人を傷つけることはあってはならないことだからだ!」じゃあなんで奴隷制度なんてあるの?なんで性奴隷なんていう者が存在してるの?つまりはただ、自分に関係ないからどうでもいいんでしょ?それで正義の味方ずらするとか吐き気がするよ。
そう、結局はそうなんだ。皆結局は自分に迷惑をかける奴は悪ってそういうことなのだろう?
自分たちに迷惑かけるやつは悪でそいつを排除してくれる人を正義と呼ぶ。知っていたさ、結局は力があって自分たちに利益を産む存在が正義なんだろう?
そうさ、私は正義を産むための悪。つまりは必要悪さ。悪がいなきゃ正義は生まれない。正義がなきゃ世界は均衡を保てない。ほんっとこれだから―――――
笑いが止まらないんだよ。
「ふふふ。アハハ。アハハハハハハハハ!私も、君も実に滑稽だね!」
あぁ、本当に滑稽過ぎて苦笑いしか出ない。私はただ課せられた人々を笑わせるという使命のためにあのむらのゴミ共を皆殺しにした。
でも結果としては一人の少女を笑えなくしただけだった。彼女は別に家族を、村を、居場所だった所を破壊した私が憎いのではない。
ただ怒りをぶつけるところを無くしてしまったから、行き場のない怒りで頭がどうにかなってしまいそうだから、だから彼女は感情というものを押し殺したのだろう。
ならその復讐は私が背負おう。復讐相手がいないなら私がその代わりとなろう。復讐という目的がないと生きていけないなら私はそれ以上の存在が現れるまで生き続けよう。
君たちはこれを偽善と呼ぶのだろう?しかしながら私は悪であって正義にあらず、私は1を救うために100を犠牲にしよう。それを悪というなら私は悪を名乗ろう。
私はピエロ。そうピエロとは嘘つきさ、偽善者さ。人々を笑わせるためなら私はこの身をいくらでも傷つけよう。そう、そんなものは偽善だ。
なら偽善の何が悪い?それで人々が救われるというのならそれこそが本当の意味での『救い』ってものだろう?さぁ始めよう
「さぁさぁ皆様お待ちかね、ピエロのサーカスショーと行きましょうか!」
そして私は仮面で自分を覆う。そう、エリクという男は死んだ。今ここにいるのはエリクの皮を被った、ピエロというなら悪役であり、そして偽善者なのだから。
「まだまだゲームは始まったばっかだ!さぁ皆様!存分に楽しんでいきましょうか!」
ここからイヤァーソー・ローコ・エパリャーソの後に復讐劇と言われる誰も救われないそんな物語を始めようじゃないか。
中央魔王会議室
「スティラメーサス!てめぇ今の今まで何をしていやがった!」
そう不機嫌なことを隠そうともせずに戦王グライティオスは戯生スティラメーサスを怒鳴りつける。
「グラティオはいつも怒りすぎだと思いますよ~?カルシュウム取ってますか~?プークスクス」
「あぁん!てめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
スティラメーサスの煽りに対してグライティオス、通称グラティオは今にも飛びかからんとばかりに体制を少しかがめる。
「グライティオスあまり好戦的になるな。それにスティラメーサスもグライティオスを煽るのはやめたまえ。」
「っち!」
「はいは~い。分かりましたよ~だ。」
紫桜サナリカースがグライティオスを窘め、スティラメーサスを注意すると、グライティオスは苛立ったように舌打ちをし、スティラメーサスは不貞腐れたように頬を膨らませそっぽを向く。
「それで~?スティラメーサスは~今まで~何を~していたのかな~?」
そんな一同の中1人だけ間の抜けたような声で皆が思っているだろう疑問をスティラメーサスにぶつける堕皇ミネラカーティア。
「う~ん?なにそこまですごい事でもないよ~?ただちょっと~後継者作りでもしようかな~ってね?」
スティラメーサスはそういいいたずらっぽい笑を浮かべるがあまりの反応はかなり悪かった。
「お前…マジで言ってのか?」
「マジマジ~♪大真面目だよ~♪」
スティラメーサスが後継者作りをしようとしたのは何もこれが初めてではない。今までも幾度となく資格を持つものが挑戦してきたが結果は皆、精神崩壊して帰ってくるという決なだけが残った。
「彼をあまり舐めない方がいいよ~?だって彼は、私が今まで見てきた中で最高傑作だからね。」
そして戯生自らの腕の傷を愛おしそうに撫でる。その顔はまるで初恋の熱に浮かされる乙女のように美しいものであったがそれと同時にどこか恐怖を引き立てる悪魔のようであった。
「ねぇ~?私と遊んでよ。ピ・エ・ロ・君?」
今回ちょっと堅苦しいかもしれませんが私の作品はちょっとシリアス多めになっちゃう傾向があるので仕方ないんですよね(´・ω・`;)
是非是非今後も読んでいただけたら光栄です!




