出会いと一目惚れー魔国からの脱出ー
魔物を切り倒し、血肉を撒き散らしながら
一歩ずつ階段を昇っていく。
勇者は、魔物を一体・・・また一体・・・と、
急所を正確に聖剣ヴィーナスで刺していくのであった。
「グギャッ」「ギィャッ」「キャン」
と一瞬鳴き、次々と倒れていく魔物達。
それを見るだけの魔人族・・・。
彼らは戦意を喪失し立ち尽くしていた。
勇者は彼らの相手をすることなく、
魔王の間へと突き進むのみであった。
しばらく階段を上へと昇っていくと、
ようやく魔王の間へと辿り着こうとしていた・・・。
その時、勇者の足先には小さな段差があった・・・。
それに気付かなかった勇者は、見事に躓いて魔王に
抱き付くようになりながら、手を地に着けた。
魔王は、その様子をみて
「ぶはっふふふっあはははは」
と笑いながら、その者に手を差し出し、
「貴様は面白い奴だな、最後に躓くとは恐れ入った。」
差し出された手を払いのけ自力で立ち上がり、
頬を赤くしながら顔を上げる者。
二人は、顔を見合わせた・・・。
瞬間、心の中で考える。
【ルシファウス】「なんて美しい女性なんだ。しかもドジっ子。可愛いなぁ。」
【ミカエラ】「魔王なのにイケメンなんて・・・カッコイイ。」
その後、声を合わせたように・・・。
【ルシファウス】「お前の名は!?」
【ミカエラ】「あなたの名前は!?」
しばらく黙り込む二人、すると彼女の後ろから、
「ドドドォッーーー」と迫ってくる魔人族達の声がしてくる。
「陛下ー!?」「陛下ぁ!?」「陛下っ!?」
「ご無事ですかぁーーーーーーーーーー!?」
【ルシファウス】
「俺の名はルシファウス。
今回は見逃してやる逃げろっ!さぁ早く!」
【ミカエラ】
「私は、あなたを倒してきてくれと国王に頼まれた。」
「人々のためにも逃げることなんてできないっ!」
【ルシファウス】
「あの者達は、人には容赦できない奴らばかりだぞっ」
「俺ですら勝利するには苦労させられた。お前の魔力量では無理だ。」
「俺はお前のことが、どうやら好きになっちまったみたいだ。
この首飾りを持ってさっさと逃げろ!それが倒せた証になるだろう。
さぁ早くっ!!」
【ミカエラ】
「・・・いきなり何言い出すのよっ!?
私の名前はミカエラ・・・分かったわ。
お言葉に甘えるわっ・・・って一体ここから、
どうやって逃げればいいって言うのよ!?」
【ルシファウス】
「こうするのさっ!!・・・チュッ。」
咄嗟に彼女の唇を奪い、上空へと飛行する魔王ルシファウス。
その時、ミカエラは放心状態になったが意識を取り戻し、
魔王をポカポカと肩たたきのように叩いていた。
【ミカエラ】
「キスされたっ!キスされたっ!キスされたっ!」
「初めてだったのに・・・。」
声にならずモジモジとし、心臓が高鳴っている鼓動が聞こえる・・・。
【ミカエラ】
「いきなり何するのよ!?」
「って何ここーーー!?」
「雲の上じゃない!?」
「下ろしてぇーーー」
暴れながら言うミカエラに、
【ルシファウス】
「そんなに暴れたら本当に落っこちるぞっ!」
「人間の国近くまで連れてってやる。」
「俺もキスするのは初めてだったんだ。」
「それと、キスは居場所が分かるようになれるんだ・・・。」
「おっと・・・もう着いたか・・・じゃあここでお別れだ・・・」
地上に降り立つ二人、
【ミカエラ】
「逃がしてくれたのは感謝するわ」
「けど、勘違いしないでよね!?」
「わたし、あなたのこと、これっぽっちも
好きじゃないんだからねっ・・・。」
【ルシファウス】
「あぁ照れなくて良い。
言わなくともお前のことが、
手に取るように分かるから。」
「必ず迎えに行く」
「また会おう。さらばだ・・・。」
魔王は、天使のような翼を拡げ、
大空へ飛び立ち魔人族の国、
魔国へと帰って行ったのであった・・・。
キスの一部始終を魔水晶を使い、
目に焼き付けていた魔人族の女性がいた。
先代魔王ハーデウスの一人娘、
レヴィアラであった・・・。
レヴィアラは、ルシファウスの幼馴染で、
幼い時、結婚の約束をしていた・・・。
そのことを、まだレヴィアラは覚えていた。
しかし、ルシファウスにとっては遠き記憶で、
覚えていなかった・・・。
これから、女同士の戦いが起こるのだろうか!?
ルシファウスとミカエラの恋の行方は、遙か彼方。
次回「嫉妬と戦後処理」