14話 最前線
「でもさ、攻略組っていっても、どうすれば良いんだ?」
「まあ、そうだな。このUOは、各国に始まりの街が存在する。トウキョクだと、アヅイだな。そこから、東西南北に広がって行く。次の街やフィールドに行くためには、フィールドボスを倒さなきゃならない。これは、一度誰かが倒すと、他の人は倒さなくても、倒してもどちらでも良くなる。つまり、誰でも通れるようになるって事だな。
で、今回は、王都から見て西の最前線、セイっていう街に向かう。そこからは、トウキョク一大きい山を越えなきゃならない。まあ、富士山をイメージしてるんだけどな。
その山にいる、フィールドボスを倒すと、ナフルという、中々大きい街に着く。そこには、神木があるらしいぞ」
「へぇー、詳しいんだな」
「調べたからな」
「つまり、これから西に向かって山登り、ってことか」
「そうなるな。まあ、帰りは時空属性の瞬間移動で、帰れるからさ」
「……」
「おい、まさか……」
「……まだ覚えてないです」
「はぁー。魔法、時空属性しかないんだろ?前にこまめに使えって言ったのに」
「だって、時空属性使う機会少ないんだよ」
「はいはい。言い訳はいいから、今なんぼなの?」
「レベル2……」
「テレポートは、15で覚えるんだぞ?まあ、いざとなったら俺が、レベル30まで上げて、集団転移覚えるか」
「集団転移ってなに?」
「瞬間移動は、個人専用だけど、集団転移は、パーティーで転移できるの」
「へぇー、やっぱり時空属性は便利なんだな」
「いいから、準備して行くぞ」
「ロータスはなにか王都でなかったの?」
「……ああ、大丈夫だよ」
これは、何かあったな。こういうのは分かりやすい。
「そういや、マサムネさんってどんな人だった?」
「なんか、威厳がある感じで、コウテツさんの師匠!って感じがしたよ、なんで?」
「なんでって、マサムネさんは、ローピーの中でも飛び抜けて有名だからな。多分、他国の人でも知ってるぞ?」
「そういえば、他国のことなんも知らないな……」
「じゃあ、移動の間に教えてやるから。今回は徒歩で行くぞ」
「え?チパじゃないの?」
「危険なんだよ。戦闘もしながらになるだろうしなぁ。剣、一本で大丈夫か?」
「ああ、この刀マサムネさんに、借りたから」
「へぇー……!?これ普通にやばいな……」
「え?何が?」
「鑑定してみたか?」
そういや、最近、鑑定するの忘れてたなぁ。と思いつつ、手に持ってる刀を見る
【武器】桜 レア度8 品質A
刀 刀身の美しい刃紋から、名付けられた。マサムネ作の最新作。
……ほ、ほほぉー……。中々な物でしたな……
「って!これ絶対、貸していいやつじゃないだろ!」
「よほど、マサムネさんに気に入られたんだな。あの人、武器作る人を選ぶっていうし、それも厳しく。
それ、折ったら、弁償幾らだろうな」
「間違いなく、見たことのない数字が並ぶな……」
大事に使おう。あ!こういう時〈ファントム〉の修繕機能あって良かった!
ん?んん!?
「なんか〈ファントム〉に新しい、スキル増えてる……」
「おー!良かったな」
【セントラル】道具 モデル鞘 〈ファントム〉二対
・納刀時に、刀剣が修復される
・刀や剣の大きさによってサイズが変更
『背水の陣』1分間、防御力無視ダメージを与える。
1分後、10分間スキル使用不可
『飛殲』抜刀術を行う時、斬撃が飛ぶ
つまり、飛ぶ斬撃ってことか。抜刀する時だから、何回もは無理だけど、遠距離無かったから、これは役に立つ。
二人で、色々な話をして、先ほど話題に出た、他国の話になった。
「今回の戦争イベントでは、トウキョクVSガルム帝国で、トウキョクが勝った。トウキョクは、ガルムの国境近くの山脈を手に入れた。そこは、鉱山で、価値は中々高いらしい」
「色々案があったけど、結局、鉱山になったんだ」
「ペルトラント諸国VSネカ共和国はネカ共和国の勝利だった。ペルトラントの敗因は、お得意の艦隊が使えなかったからだな」
「使えなかったって、特別マップに、海がなかったってこと?」
「ああ、だから、ネカ共和国にやられた。だが、今問題というか、話題になってるのはコロン王国だ」
コロン王国、多種族国家で、鉱山が多いため、ドワーフが多い国だっけ。
「コロン王国が何かあったの?」
「コロン王国VSシスカ国のイベントは準備時間を除けば2時間で決着が着いた」
「2時間!?それは、いくらなんでも出来なくないか?」
「シスカのプレイヤーによると、新型兵器による圧勝だったそうだ。コロンを選んだ第二陣の中に、機械の天才がいたらしくてな、そいつが中心となって、今コロンは急激な発展が進んでいる」
「でも、発展するだけなら良くないか?」
「あのなー、このゲームのコンセプト忘れたか?、大陸統一だろ?今コロンは、ガルム帝国に、宣戦布告するんじゃないかってなっている」
「って事は、イベントじゃない戦争って事?」
「ああ、もしそれで、ガルムがあっさり負けたら、現状がガラリと変わる。今、大陸で、一番面積があるのはガルムだろ?それが、コロンになった場合、もしかすると、一年もしないうちに終わっちまうかもしれない」
「いくらなんでも、それは無くないか?」
「いや、大真面目でありえるぞ。それほどコロンは今、急成長している。さらに、もう一つ成長した理由があってな、それは……コロンの王様が稀代の名君らしい。国の改革をどんどん行い、プレイヤーを優遇、誘致している。プレイヤーが鍵ってことを分かってるんだろうな」
「でも、場所的にトウキョクは恵まれてるから、まだ時間はある」
「ああ、だから強くなるとしたら今しか無いぞ?」
ロータスがニヤニヤと楽しそうに答えた。
強くなる。その為にも、神木を手に入れなければ。
二人はその後も話を続けながら西に向かった。




