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VRMMOの剣聖  作者: オレンジジュース
2章 動き始める大陸図
13/19

13話 王都 テンエト

100,000PV、10,000ユニーク達成してました!

「ポーション類とか買ったんだよな?」

「ちゃんと買ったよ。食材も買ったし、万全だって」

「じゃあ移動手段はどうなってる?」

「……移動手段?」



 時は一時間前に遡る


「おはよう、ロータス。昨日は大丈夫だった?」

「おはよう。心配掛けて悪かったな、なんも問題ねえよ」


 ロータスに、昨日会ったことを伝えると、


「そっか、ウィンも王都に行くのか!それは都合が良かった!」

「何かあるのか?」

「いや、今後ウィンさえ良ければ、ウィンと2人で行動しようと思ってな」

「!?初耳だよ?」

「そりゃあ言ってねえもん」


 ロータスが居てくれると、確かに色々な面で助かる。回復手段はポーション類頼み、になってしまったし、魔法は使えないから、遠距離攻撃にも乏しい。ってかほぼない。それに、断りづらくする一言を放った。


「ウィンさ、イベントの時に魔法破壊とるって言ってただろ?だから、俺の報酬の特殊スキルは『付与術』なんだ」


 付与術。基本的に付与術士や、神官などの補助に回る人しか覚えれないスキルだ。これを取ったって事は……


「これで、ウィンのサポートも更にやりやすいだろ?しかも、武器属性(エンチャント・)付与(ウェポン)が出来るんだぞ?」


 武器属性付与とは、武器に火属性や水属性などの、属性を付与出来る。魔法剣とは全くの別物だ。

 武器属性付与は、武器に属性を付与するもので、

 魔法剣は、剣に魔法そのものを加えることが出来る。なので、威力は魔法剣の方が上だ。

 でも、弱点属性で攻撃できるので、武器属性付与も悪いものではない。

 話を戻すと、ロータスは少なくとも報酬の時には、一緒に行動しようとしてくれたのだろう。


「分かったよ。こっちからお願いするよ。ロータス、一緒に行動しよう」

「もちろんさ」


 そうニコッと笑うロータスは実にイケメンだった。

 話は冒頭に戻る。


「ところでロータスは、いつから一緒に行動しようと思ってたんだ?」

「ん?UOに誘った時からだぞ?」

「はぁ?だって、始めた時ソロでやるならって、色々教えてくれたじゃないか」

「だって、その時のお前、一人でやる気満々だったろ。だから、諦めてたんだけどな、イベントの時に、魔法破壊とるって聞いたとき、これだ!って思ったよ」

「なるほどね。それで?移動手段って何だ?」

「徒歩で移動してたら、移動だけで、何日も経っちまうだろ?なにせ、大陸は広いからな」

「まあ、それはそうだけど」

「そこで、ここでは馬もいいけど、チパって言う移動に適した、動物っていうか、奴がいるんだよ」

「歯切れ悪いなぁ。どんな奴なんだよ?」

「馬くらいの大きさの、トナカイみたいな奴だな。一日5000リフで、借りることができて、馬より速くて、体力もある。けど、騎馬には向かない。つまり、移動専門の生き物だな」

「なるほどね、それで、なんで動物って言い切らないんだよ?」

「見たらわかる。行くぞ」


 そう言ってついて行った先は、チパを借りることが出来る店だった。


「おっちゃん!チパを二匹、一日で!」

「おっ!ロータスじゃねぇーか!じゃあ、10,000リフだな!よしっ!上等のチパを貸そうじゃねえか!」


 おっちゃん、と呼ばれた人が連れてきたのは、馬のような体格のトナカイ……とは一言では言い表せなかった。

 トナカイの様な角があり、色は、様々な色が居た。白、黒、青、そして何と言っても、特徴的なのは、ラクダとは、少し違うが、背中が少し引っ込んでおり、そこに鞍とクッションがあり、座りやすくなって居た。本当に、移動用だなぁと思った。


「兄ちゃん、どいつにする?」


 そう言われて、一匹ずつ近づいてみる。白のチパは、こちらに無関心といった感じだ。……正確にいうと、ロータスに目が釘付けだ。こいつメスだな。

 黒のチパは、大人しい。触って見ても、拒絶することがない。こいつかな、と思った時、隣にいた青のチパに、角で突っつかれた。

 その瞬間、こいつだ。そう感じた。


「この青のチパにします」

「おう!兄ちゃん、こいつに気に入られたみたいだな!」

「そうだと嬉しいです」

「ロータス!おめえはどうするって……もう決まってるか」


 そう言って白のチパの手綱をロータスに渡す。


「思いっきり懐いちまって。お陰でこいつはお前さん以外にレンタルされないんだよ。どうだ?買わないか?」

「はは、おっちゃん、いい話だけど今回は断らせて、貰うよ。嫉妬する奴がいるんでね」

「そうかい、じゃあ、気をつけて行ってこいよ」

「おう!またな!」


「じゃあ、ウィン行くか!」

「オッケー、これ、返す時ってどうするの?」

「街にある、チパレンタルの店に返せばいい。転送出来るのか、いつのまにか元の店に戻ってるんだよ」


 へぇー、っと感心しながら、たわいも無い話をして行く。お昼ぐらいになると、空腹度が減ってきたので、昼飯を取ることにした。


「うん!やっぱり、ウィンのご飯は美味しいな!」

「ありがとね、大したもんじゃ無いけどね」


 作ったのは、野菜のかき揚げに、白米、味噌汁だ。


「そういえば、お店で嫉妬する奴がいるって言ってたけど、誰なの?」

「ああ、こいつだよ」


 そう言ってロータスの、左手の中指についている指輪から、大きな鷹が出てきた。


「なるほどね、納得がいったよ」


 そう言ってる間にも、白のチパと大きな鷹は、睨み合いをしている。


「アヅイから、王都までチパだと、3時間くらいだから、後1時間程度で、着くはずだぞ」

「了解、それじゃあ、片付けて行きますか」


 二人で片付けて、ひたすら街道を突き進む。

 そして、前方に見えてきたのは、イベントの時とは比べものにならない程の、防壁と、大きな城。西洋の城ではなく、日本の城だ。


「王都はな、あの城を中心とした城下町なんだよ」


 そう説明してくれてる間に、門まで辿り着いた。

 そこには二人の門番がいた。


「身分証はあるか?」


 そう言われたので、自分は右腕のマークを、ロータスは左手の中指の指輪を見せた。


「よし、入っていいぞ」


 チパから、降りて門の中に進む。

 ロータスがいきなり止まり、こう言った。


「ようこそ、トウキョクの王都、テンエトへ!」




 ♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


 二人でチパを返して、城下町を歩く。


「王都だけあって、賑やかなところだな」

「だろ?今、一番ホットなところだからな」


 そう話しながら向かってる先は、工業区だ。

 王都には、商業が盛んで、宿などがある商業区。

 国の大名が住んでいる、華族区。

 そして、トウキョクで工業ならここ!と言われるほどの工業区だ。


 この国の一番上は将軍で大名は、大きく三つに分かれる。親藩、譜代、外様の三つだ。

 親藩は、貴族で言うところの、公爵に当たる。一番広く土地を収めている。

 譜代は、侯爵、伯爵、子爵に当たる。

 外様は、男爵、士爵だ。

 江戸時代の様に、外様をテンエトから離してるわけではない。単純な呼び名だ。

 なんでも、国境に当たるところなどは親藩、つまり将軍の親戚が治めていないと、離反の可能性があるらしい。


 それで、工業区には、コウテツさんの師匠のムラマサさんがいるらしい。

 ムラマサさんは、このテンエトの中でも特に有名で、将軍家、つまり王家にも、自分の作品を求められているそうだ。

 そんな、ムラマサさんの鍛冶場は、テンエトの中の一等地……というわけでもなく、分かりにくい、路地の奥にあった。

 弟子などは、殆どとらず、一人で全てを行なっているらしい。剣や刀の製作はもちろん、その材料となる鉱石は素材の仕入れも持参で行っている。


「すいませーん。ムラマサさんはいらっしゃいますか?」

「……なんじゃお前は?」

「私はウィンと言います。コウテツさんからの紹介で伺わせて貰いました」

「コウテツだとぉ?それで、何の用じゃ?」

「実は刀と剣を打ってもらいたくて、伺いました。材料は持参です」

「あいつから聞いたなら、ワシが誰振り構わず作らない、ということは知っておるんじゃろ?」

「ええ、ですが、コウテツさんはお前なら大丈夫と言われたのですが、一体何をすればいいのかまでは……」

「……そこにある刀を振って見せい」


 そう言われ、見てみると、この世界の中で見た中で一番と言っていいほどの刀が一振りあった。

 手に取ってみると、この刀の凄さがわかる。

 近くに、試し斬りの木があった。

 刀を一度鞘にしまい、居合の構えをする。

 鞘の中で滑らせ、目にも留まらぬ速さで抜刀する。

 抜刀して、鞘に納める。すると、()()()()()()に、木がズレて落ちていった。

 それを見たマサムネさんが、


「……ほう、まさか、時間差に落ちるほどの技量とはのう。ガハハ!良いだろう。作ってやろう」

「本当ですか!ありがとうございます」

「ほれ、材料を出さんか」


 そう言われて、ミスリルのインゴットと、ドラゴンベビーの骨を出す。


「ミスリルか、これではコウテツにはまだ早いのう。それにドラゴンベビーの骨か。中々の仕事になりそうじゃ。……お主、木は無いのか?」

「木ですか?」

「ワシは柄や鐔、鞘なども自分で作っておる。柄がいらないというならばいいんじゃがのう」


 ……なんという事だ。全く考えてなかった。


「それに、これ程の物を素材にするなら、ただの木では、持たぬじゃろう。そうじゃな、……おっ!お主の腕についている木材なら良いじゃろう。それを取ってこい。ワシは先に作っといてやるからのう。剣と刀じゃから、三日。それに、木材の加工に一日で、最速で四日後には出来るじゃろう」

「分かりました。出来るだけ早く取ってきたいと思います。マサムネさん、鞘は自前のがあるので大丈夫です」


 そう言って鞘を見せると、一瞬驚いた表情を見せた後に納得した。


「いいじゃろう。この鞘なら新しく作る必要はないじゃろう。お主、コウテツの物をみせてくれんかのう?」


 そう言われたので、フリズベルンと、無銘刀を渡す。


「あやつも、まだまだじゃな。お主、どちらを主体で使っている?」

「どっちもです。片方ずつの時もあれば、二刀流の時もあります」

「面白いやつじゃのう。それじゃあ、さっきの刀を、出来るまでの間貸してやろう」

「いいんですか?」

「いいぞ。それでは頑張りたまえ、若者よ」


 刀を借り、ロータスと合流して、先程の事を説明すると、驚愕の事実が伝えられた。


「ウィン、神木っていうのはな、まだ手に入らないんだよ」

「……は?でも、この腕輪があるぞ?」

「それは、道場で手に入れたやつだろ?木材として入手するためには、新しい街やフィールドに行かなければならない。つまり、攻略組となるって事だな」


 新たな刀と剣の道は長そうだ。



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