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江戸蔵心中  作者: かもめ
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パパに愛人さんいたらこうはならなかったかも、残念!!

デブスでドブスになっちゃえば救われるのにね、高校生くらいだとわからないものね、うーん。

 中学になっても一向にブラジャーを買ってくれないママ、ギャンギャン泣き喚こうが、喚き散らそうが全く相手をしてくれない。キャミソールやタンクトップで猫背になってどうにかしのぐだけ。おかげで私はセロテープでどうにか誤魔化し誤魔化し、学校に通った。その頃からパパの視線が気になりだした。


 侵入はいつだったのかハッキリしないけど、高校受験前だとは思う。その秘密にしておかなくてはいけないものは記憶に残っていない、だって秘密にしていなくちゃいけないもん。

 パパは言っていた、「もしも人にしゃべったらみんなお前の頭がおかしいと思うし、誰も信じない、それどころかママは凄く怒るし、パパは一生お前のこと嫌いになっちゃう、パパは刑務所に入れられて、お前たちは生活できなくなるぞ」ってね

 こんなこと誰にも話したくなんか無いし、自分で分かろうと思いたくも無い。もしもどこかに漏れてしまったら、私たち家族は崩壊する。私はワタシで無くなり順子でなくなる、ママは母ではなくなり、気持ち悪いアイツはパパで無くなる。私はより汚され、軽蔑の目でしか見られなくなるんじゃないの? 私がいくらモノとして扱われようとも、この家族という形はけっして壊したくないの、だったら私が口を閉ざしてさえいればいいの、パパの言う通りに。

 だって私は無力だから、ママの言うとおり、何をしても考えてもダメな娘だから、とてもとても不潔な子だから。私のせいでいけないことをしてしまったのだから、私のせいで順子を完全に孤独にさせてしまったのだから。

 私だけは順子の味方でいたい、彼女は私自身に他ならないし、私が嘘であっても別にいいわ、彼女が私を敵視しても私は100%彼女の味方。

 ハッキリした記憶があるのは天井の模様だった、いえもしかしたらその天井の模様に私は憑依して、天井から順子を俯瞰していたのかもしれない。つまり早くその行為が終わって欲しかった。

 私が理解不能だったのは、パパの言動が行為中赤ちゃん言葉になることだ。普段無口でその言動のほとんどをママにしゃべってもらっているパパが、赤ちゃん言葉になる。順子は混乱した、年の差で30も離れたパパが順子に対し赤ちゃんのように振る舞い、乱暴するのだ。ママを通して植えつけられたパパの価値観、大人というものには逆らってはダメというものと相反していたから、だって大人が子供に対して赤ちゃん言葉使わないでしょう?普通……それはより順子を混乱させた。

 行為はエスカレートしていって、気が付いたときには一線を越えていた。

 嫌だと言えなかった。

 ううん違う、いった筈だった、記憶に残っていないだけ。私はそう思いたい。

 それでも現在進行形で進む行為は異常だということを気づかせてくれはしない、リアルタイムの中で今現在異常であるということに心が耐えられなかったのかも知れない、まああまり深く考えるのはよそう。

 努めて学校では普通通りに振舞っていたものの、心は家への恐怖で満ちていて、夜には覚えてもいられないような行為を日常的に体験する。

 身体は恐怖に震えているはずなのに、それを意識に上げていくことができないっていうのかな。

 行き場の無い怖さに、恐ろしさに、パニックで心がいっぱいになっても、それでも逃げ場なんて無い。

 言葉に出来ない恐怖ってこういうのだ。


 ママは全く気づいてはくれなかった、代わりに順子は高校進学のことを勝手に決められていた。

 その高校は順子の偏差値からすると、ずいぶんと下位の高校だったから、

「もう少しいい高校行きたいんだけど」といってしまったのがまずかった。

「はぁ? 何親の脛かじってる分際で生意気なこと言ってるのよ、ここの高校しかこのあたりでなぎなた部があるところなんて無いんだ、あんたはここに通いなさい、親の言うことに逆らうんじゃないよ」

 何てことだろう、高校はおろか、入った先の部活動までママの中で決まっているのだ。

「偏差値なんて下らない事でどうこう言うんじゃない、あーー下らない、下らない。親のことを刺すような子は下らないことしかいえない下らない子なんだ。いい? 順子は黙ってママの言うことを聞いていればいいの、あんたは何も分かってないバカなんだから、ばーか、ばか、ばか、ばーか、ばか、ばか、ばーか、ばか、ばか、ばーか、ばか、ばか、ばーか、ばか、ばか、悔しかったら家出てみろよばーーーか」

 目をぎらつかせ吼えまくるママだ。

「……うるさい……」

 目に涙を溜めて一生懸命言葉を、思いを、搾り出した。

「な、な、な、何てこと言うんの! それが親に向かって言うセリフ? 鳥の巣みたいな天然パーマのブスが、あんたみたいなドブス家を出たってだれも買ってなんてくれないわよ、援交だって出来ないわよ!」

 中には何言われているのか分からない言葉もあったけれど、酷い事言っているだろうぐらいのことは分かっている。

「……っざっけんな、ななななな、な、な、なな、なんでマママママママに、そそそんなここと………………………………」

 私は震える、態度で威圧し、言葉で怒鳴り、

雰囲気で支配するママに対して。意思とは関係なく体が反応した。

 振戦、認知の逆転。

「アンタはまだ何も分からないんだから、ママの言うことを聞いていればいいの!」

 その言葉を聴いて、ストんっとその言葉が胃に落ちたとき、震えはなぜか収まってしまっていた。

にらと卵、それからベーコンとチーズの卵焼きが美味しかった、厚焼き玉子でさ、栄養満点!

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