そしてまた始まる
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そして背後には警備用の敵機が迫っていた
来ているのは2機だが侵入者排除には多いくらいだった。
「大佐、unknown機を3機確認。いずれも掘削機です」
「ローアル目的のPCか?」
2機の[ハウカム]はバックパックユニットのブースターを吹かしながら、[パウドラ]に向かっていた。
「そのようです。あの程度私が1人で仕留めます!」
ブースターの出力を上げ、イオ軍曹の機体だけ加速した。
「待て、軍曹!そういう時が1番危険だ」
「私は兵育成校のエリートでした、出来ます!」
「実戦で気を弛めるな!」
もうイオには聞こえていなかった。イオ自身[パウドラ]を眼前に捉えていた。
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「キタキタキタキターッ!」
「焦るな!」
「焦るわ!」
「1機だけか?」
「十分って事だろ?」
「俺は止まるが、お前らは地表を目指せ」
「ディンゴ、取り敢えずそっちに任せるが危なくなったらこっちに持ってこい」
「分かった、パウドラ1!戦闘に入る!」
[ハウカム]が近ずいてきた。ブースターが青い、多分ローアルを使っているのだろう。愚かなことに人間は学習などしていないのだ。
『unknown機に告ぐ。貴様らは我らの管轄内に入っている、残念だが生きて返すわけには行かない』
相手が公開通信で話し始めたのでこちらも公開通信を始めた
「こちらパウドラ1、見逃してもらえないか?」
『問答無用!』
[ハウカム]が[パウドラ]に接近しアームユニットのブレードを振りかざし[パウドラ]がそれをドリルを展開して受け流した。激しい火花が散る
『ほぅ…少しはできるようだ』
「そりゃどうも」
『だが所詮は掘削機よ!』
イオの言う通り[ハウカム]は[パウドラ]を遥かに圧倒していた。ローアルで動ける[ハウカム]と電気に頼っている[パウドラ]では性能差がありすぎた。[ハウカム]の猛襲は止まらない。
『どうだ、いたぶられる気分は』
「確かに速いな、だが!」
「あまり狙いがわかりやすいよなぁ!?」
イオはコックピットを重点的に狙っていた。戦闘経験のないディンゴでさえ阿呆としか言いようが無かった。普通[パウドラ]の様な人型でドリルの様なユニットを装備している機体は足を狙い転倒させれば、決着は着いたも同然だ。ディンゴはそこの所に注意しながら接近したが、それ以降はその心配は要らなくなった。相手も戦闘面では同じルーキーだ、まだアマンダの方が恐ろしく思えた。それだけでもだいぶ楽に思えた。
「俺はコイツに何年も乗ってんだ、掘削機の本領を見せてやんよ!」
『悪いが貴様は俺の手柄にする』
「そうかいっ」
左ドリルで攻撃を受け流した後、短い腕を伸ばして頭を掴んだ。長期戦になったら分が悪いのでさっさと終わらしまわねば、ドリルを股関節に突き刺しローアルの供給を止める。運が良ければコックピットを逸れるだろう
「手柄には出来なかったな」
『クソが!』
やはり生きていた、こういう奴は死なない。永遠に恨みをかわれることになるのだ。
『今日の所は負けを認めよう。俺はイオ軍曹お前は?』
「ディンゴだ」
『ディンゴ、次にあった時は確実に殺す』
「やだね、俺はまだ見たいアニメが残ってる」
ディンゴは2人のあとを追い地表を目指した。
今回は相手が遠距離武器を持っていなかったから助かったが次はそうはいかない。どのみち見知らぬMCに喧嘩を吹っかけられてしまった、もう元に戻れないことはディンゴにも分かった。