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海を歌う愉快な黒板

野良猫の遠吠え

作者: 海之本

にゃんごろにゃんにゃん

ほざいて うなり

ざまあみろ


にゃんにゃんごろごろ

喉ふるわせて

月を見上げりゃ

ひとり星が瞬いて

お前もか?

ああ そうだよ

お前もか?


にゃんごろにゃんにゃん

うなっていたら

いつの間にかはぐれたぜ


オレは

月が出掛けたすきに

夜空をひとり占めしているのさ


にゃあにゃあ

お前にオレの声が届くのか?


毛並みがキレイなあいつは

愛される奴なんだ

オレが近づきゃ

迷惑かけちまう

ノミなんてうつして

人間様に

外は汚いと

あいつは監禁されちまう


星さんよ

にゃんにゃんごろごろ

オレはこのままでいいのかな?


にゃんごろにゃんにゃんにゃん

うなってばかりでもさ

いつかは別れがくるだろ?

終わりってやつが

何もかもを夢にしちまう


あいつはとっくに

家に帰っただろう

今頃

人間様のふところで

にゃんごろごろごろ

喉ふるわせて

目なんて細めてやがる

邪魔するわけにはいかねえ


ごろごろにゃんにゃんにゃ

後になってなんど見ても

夢は夢でしかない

目ざめた後は

こんなオレでも堪えるのさ


にゃんごろにゃんにゃん

ごろにゃんごろごろ

オレは

人間様に愛されるような

キレイな毛並なんてもっちゃいねえ

ノミだらけの

むしり取られた傷ばかりだ

尾っぽだって短けぇ


星さんよ、月がいねぇって

こんなにも暗かったか?


犬野郎みたいに遠吠えても

うるせぇって人間様に

蹴りあげられるのさ


オレはこのまんまでいいのかな


にゃんにゃんにゃん

可愛く鳴けれりゃ

優しくなでられたかもしれねえが

オレの鳴き声は

赤子の悲鳴みたいだとよ


にゃんごろにゃんにゃん

ほざいて うなり

ざまあみろ


オレは自由だ

気ままな野良だ

この夜空は

孤独を耐え抜く

つわものだけに許される


オレは

にゃんにゃんごろごろ

鳴きはしねえ

爪痕の数だけ

失くしたものがある

歯を食いしばるしかねえだろ


星さんよ

オレはやっぱり

こんな生きかたしかできねえよ


お前もか?

ああ そうだよ

お前もか?


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