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第8話:ハレの旅立ちは晴れやかに

本日、二話投稿予定です。


 オレは十二歳となり、ついに旅立ちの日を迎えた。

 住み慣れたエスタ村を出て、帝都に移り住むことには感慨深いものが有る。

 だが寂しさは、ほとんど無い。

 なぜなら此の度、両親と妹も、一緒に帝都に移り住むことになったからだ。

 父は、これを機会に冒険者として、現役復帰することにしたらしい。

 エルフである父には、未だに老化の気配など皆無なのだから、心配はあまりしていない。

 母は拡大の一途を辿る祖父の商会に、正式に雇用されることになっている。

 もちろん、妹の子育てをしながらになるのだが、どうしても母が多忙な時は、祖母が妹の面倒を見てくれるようだ。


 最後にオレの進路だが、これについては実は選択の必要が無くなってしまっていた。

 これまでの『帝都五学舎』が統合されて、この春から『帝立大学院』と名称を改め、開校する運びになったからだ。

 これは、前身である『帝都五学舎』こと、魔法学院、神学校、冒険者養成所、士官学校、官吏育成学究院を統合し、なおかつ複合型学習を可能にしたものだ。

 日本の大学の一般教育課程の履修様式と似ていて、授業は学生による自主選択制を採っている。

 そして年間で定められた単位数以上に及第すれば進級、卒業が出来るシステムになっており、最短三年で卒業可能である。

 併せて、初等教育舎、中等教育舎、各専門技術学舎、夜間学舎が開校することになっていて、帝都どころか帝国中の耳目を集めている。

 なんと肝煎りは、祖父のアサノ商会なのだという。

 アサノ商会が費用の半分以上を出資することを条件に、ウェルズ帝国三代目君主である女帝パラス・ル・エスリス・クリサフィス・ウェルズの裁可を取り付け、統合決定から一年以内での開校に漕ぎ着けた。


 講師陣には元五大学舎の講師はもちろん、帝都を始めとする主要都市の私塾の講師や、帝国内外を問わず集められた優秀な人材が、その技能に合わせて、教壇に立つことになっている。


 校舎についても、新造されたものも有るが、ほとんどは五大学舎の建物を流用したり、帝室の持ち物のうち、余り使われていなかった建物などを改築したりして、十二分に賄えるようだ。


 徒弟育成の初期段階や才能発掘を学舎に期待出来るため、帝国内に有る各商工ギルドも協力を惜しまなかった。

 各ギルドとも、資金、人材、土地などを争うように供出し、学院出身の人材確保に対しての優位性獲得を目指したのだ。

 驚いたことに協賛を表明したギルドの中には、各国との原則相互不干渉を掲げる冒険者ギルドでさえも含まれていた。

 盗賊ギルドですら非公式では有るものの、祖父に協力を申し出てきたらしい。


 祖父の豪腕ぶりにも非常に恐ろしいものが有るが、この決定を下した女帝パラスの英断は、後世に永く称えられることになるだろう。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 オレ達一家が帝都に着いてたのは、出発から三日後のことだった。


 入学試験を翌日に控えたオレの現在のステータスは以下の通り。




『名称:カインズ』

『種族:ハーフエルフ』

『年齢:12歳』

『職業:無し』

『LV1』


《能力》

生命力:131

魔力:2688

筋力:125

体力:169

知力:338

敏捷:175

器用:202

精神:284

統率:6


《スキル》


【ジョブスキル】


「レンジャー:27」

「ソーサラー:32」

「シャーマン:35」

「ファイター:18」

「セージ:15」

「マーチャント:3」


【武器スキル】


「弓術:25」

「槍術:28」

「投擲:6」

「剣術:21」

「盾術:17」


【魔法スキル】


「魔力感知:36」

「魔力操作:38」

「魔力回復速度上昇:24」

「魔力消費減少:18」

「高速詠唱:33」

「詠唱短縮:26」

「火魔法:30」

「水魔法:30」

「土魔法:30」

「風魔法:30」

「闇魔法:27」

「生活魔法:30」

「精霊魔法:43」

「精霊の加護:超級」


【汎用スキル】


「料理:2」

「歌唱:5」

「礼法:12」

「物品鑑定:3」

「商談:6」

「算術:32」

「罠作成:15」

「野草知識:29」

「史学知識:26」

「自己分析の魔鏡:上位」


《固有スキル》


『解析者:51』

〈※派生スキル〉

「自習自得の極意」

「師事効果増加:極大」

「心身成長補正:大」

「読得の極意」

「観察会得の心得」

「カメラアイ」

「記憶力補正:中」

「種族限界突破:初」

「文章理解力補正:中」




 以前からすれば各分野とも、長足の進歩を遂げているのだが、大目標である永続付与の魔法は未だに得られていない。


 色々と追加されたスキルも有るのだが、何と言っても『自己分析の魔鏡:上位』の取得が大きかった。

 これによって、スキル数が増えるにつれ煩わしく思えていた、スキルごとの熟練度の表示が消え、意識を集中した時だけ見えるようになった。

 また、以前は表示されていなかった『汎用スキル』が表示され、直接的には戦闘に関与しない分野の習得状況が把握出来るようになった。

 雑然としていたスキル表記が分野ごとに表示されるようになったのも地味に嬉しいし、秘匿したいスキルや能力にマスクを掛けることも可能になったのが、将来的に役に立つことになりそうだ。

 この世の中には、他人のステータスを覗き見出来るスキルや、魔法装置なんてのも有るらしいので……。


 そして次に特筆すべきは何と言っても『解析者』の益々の壊れっぷりだろう。

 各分野で鍛練を積むことで徐々にスキルレベルが上がる『解析者』なのだが、『解析者』の成長と共に段々と追加、成長していく『派生スキル』がヤバ過ぎるのだ。


 魔法、武術問わず、スキルレベルが上がるにつれて、同じように鍛練していても、どうしてもスキルレベル、熟練度の上昇率が衰えてくるのだが、派生スキルが追加ないし成長すると、またスキルの成長率が目に見えて上昇するのだ。

 例えば『読得の極意』は、書物を読むことだけでも、関連能力上昇やスキル習得・成長などの恩恵を受けられる。

 妹用に祖父が贈って寄越した絵本を、読み聞かせてあげただけで、知力が1上がったのには心底驚いた。


 逆に悩みは『レベル』と『統率』だけが未だに、十歳の頃と変わらぬ、初期値のまんまだということ。


 上げ方については何となく見当が付いているので、あとは機会を得られれば上昇していくハズだ。

 本当の問題は、その機会が得られたとしても、実行に遷せるかどうかかもしれないのだが……。



 まぁ、試験については心配いらないだろう。

 成人として認められる十五歳までの間を、出来る限り有意義に過ごすため、最大限の努力をしたいものだ。

 前世のように様々な後悔の残る、学生生活を送っている場合では無いだろうから。



 ちなみに既に帝都に普及していた、久しぶりの洋式水洗トイレの使用感は、非常に素晴らしいものでした。

 ……後はトイレットペーパーが欲しくなるけど、我慢、我慢。

 生活魔法で、セルフウォシュレット出来るからね、うん。



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