ネット将棋
将棋をしったのは小学三年生の頃に親戚のおじさんに習ったのが最初で、駒の動かしたを覚えたばかりの僕に手加減なし、ハンデなしでコテンパンにされた事を覚えている、それから子供向けの将棋の本を何度かよみながら続けていき四年生になると学校の将棋クラブに入った。
クラブといっても授業の一環でなにかしらやらないといけないというもので、教える先生もまったく将棋をしらず、将棋とか敷居の高そうなものやる子供というのも運動が苦手で適当に入ったという似たり寄ったりの児童の集まりだ。
そんな中で下級生でありながら齧った程度の僕が連戦連勝を重ねていけていたのだから本当にお察しのレベルではある。
中学、高校生にもなると将棋より、マンガやアニメ、テレビゲームにネットと別の遊びをやる時間が増えてきて学校で静かなブームになったときにちょろちょろとやる程度になった、今日も友達と深夜のドライブに待ち合わせのため、ネットカフェで時間をつぶしマンガを読みながら不意に将棋をさしたくなり、ネット将棋をすることにした。
そうして数局さして勝ち越していると次の対戦相手が見つかった、どうやらレート自体は僕より若干下の相手のようだ、数手指しながら相手はどうやらガンガン攻め込んでくるタイプのようで王の囲いすらせずに攻めに重点を置いてくるタイプのようだ。
そういったタイプが苦手な僕は王の囲いもそこそこに、相手の攻めの対応のため自分の飛車を相手の飛車側に振りながらどうにか自分の優位の盤面をつくれないかと思案しているとき時に異変が起きた。
『よわっ』
ん? なんで煽ってきたんだろうと思い盤面をよく見てみると、相手に飛車を歩との交換で取られてしまう状況ができていて、振った飛車が上手く機能していないどころか相手の歩に簡単に取られる位置に不用意に近づいてしまったのだ。
相手の持ち駒に飛車があり盤面には相手の角と自分の角が睨みあっている、これも次の自分の手番で角交換となり相手は飛車と角を持ち駒で使えてさらには相手の盤上の飛車も数手先には自陣に攻め込める状況となっている。
こうなっては敗北という沼に沈みそうな感覚にとらわれ、もうこれは駄目だとか、後は一方的に蹂躙されて終わる未来とか見えた。
『雑魚い』
ふと先ほど読んでいた将棋マンガが目に留まる、主人公は不利な状況でも簡単に諦めた棋士になぜと問いかけていたではないか、まだ序盤だ焦ることはないし簡単に諦めるなとなぜそんなに簡単になげだせるのかとその場面を思い出すと先ほどまでのような感覚は消えていた。
この相手に負けるというビジョンは感じられれなく、それどころかまだ負けていないというかまだ挽回できると直感で思ってしまった。
『早くしろよwww』
チャットの文字はさらに煽ってきているが気にせずに盤面をよく見ることにした、盤面をよく見て落ち着いて考えて何か相手側に傷はないのか考えていきふと気づいたことがあった、確かに角の交換をするがその時に相手の攻めは一旦途切れることになるのだ。
ふぅーと息をはいて、すぅーと息を吸い込んで画面の駒を動かしていく、相手は当然のように飛車をとりノータイムで指していく。
『まぬけ』
相手の角をとっていき、相手はまたノータイムで角交換をした、考えている手を打ったら相手が食いつくかどうかだが煽ることに気が行っている相手なら上手くいくはずだと半ばビビリながら餌となるように自分の銀を相手の飛車先にぶら下げていく。
『これでレートが俺より高いとかありえないwww』
その言葉とともに、盤面では思い通り相手は攻める気が満々でタダでとれる銀に飛車が食いついたそこに動かせば角の王手飛車とりとなる場所なのに簡単に疑いも考慮もせずにノータイムで指してくれた。
お返しとばかりにノータイムで王手飛車とりを仕掛けたあと相手の手は止まった、あれだけ煽っていたチャットも何も反応がなく相手の持ち時間ばかりが減っていき、結局そこから相手の駒が動くこともチャットもなく相手の時間切れ負けで終わり、相手のチャットの履歴の文字がさらに相手の負けを惨めにしていた。
マンガみたいな逆転の幕切れだと思う、勝因はマンガ喫茶で将棋マンガを呼んだおかげだと相手は知る由もないだろう、そう考えると相手に同情をしたくなるがチャットの履歴をみて、いや同情する必要もないと思い直しネット将棋をおわり、自分を勝利に導いてくれたマンガをもう一度読み直すことにした。




