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セミに転生しました、入院している彼女のために鳴いてもいいですよね?

作者: 歩謝
掲載日:2026/05/19

暑いッスね。

目が覚めたら土の中だった。


土の中ってこんな感じだよな、と今生も感心する。

元々は平和なヒトだから、土の中を体験しなかったし。


そして、僕は願う。

今回も『セミ』に転生しましたように。

大好きな彼女が入院している病院の近くで産まれましたように。




「どうだった? 今回の詩は。結構頑張ったんだけど」

「25点」

「20点中かな?」

「ふふ、どうだろう」

ははは、と苦笑する。


幼なじみの彼女が入院している病院(個室)。

昔から、あの中3まで僕は毎日詩を書き、見てもらっていた。

点数はいつも低かったけど。


外からはセミの合唱。

夏がまた始まった。


「うるさいね、セミ」

「そう?

私みたいに短い命だけど、いつも精一杯鳴いていて、私も頑張って生きようって思えるけど」

「セミに負けちゃった…」


僕なりに必死に詩を考えていたのに。


「だって、どうせ下心あるんでしょ? 昔から見舞いに来て」

「ははは…」


一目惚れした、なんて返せる訳ない。

しかも卒園式だし。


「本当、私はセミのおかげで生きている。私も、いつ死ぬかわからないから」

「長生きしてよ」

そして、僕と付き合って、

なんて言える訳ない、言える訳なかった、

でも今は言わなかったことを後悔している。





そして、今回も無事『外』に出る、


ヒトと比べたらあまりにも短すぎる命だけど、

『あの子』に元気をあげよう、

窓から見える『あの子』はもう『あの女性』と言った方がいいかもしれないけど、

『好き』という僕の気持ちは全く変わらない。

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