セミに転生しました、入院している彼女のために鳴いてもいいですよね?
暑いッスね。
目が覚めたら土の中だった。
土の中ってこんな感じだよな、と今生も感心する。
元々は平和なヒトだから、土の中を体験しなかったし。
そして、僕は願う。
今回も『セミ』に転生しましたように。
大好きな彼女が入院している病院の近くで産まれましたように。
「どうだった? 今回の詩は。結構頑張ったんだけど」
「25点」
「20点中かな?」
「ふふ、どうだろう」
ははは、と苦笑する。
幼なじみの彼女が入院している病院(個室)。
昔から、あの中3まで僕は毎日詩を書き、見てもらっていた。
点数はいつも低かったけど。
外からはセミの合唱。
夏がまた始まった。
「うるさいね、セミ」
「そう?
私みたいに短い命だけど、いつも精一杯鳴いていて、私も頑張って生きようって思えるけど」
「セミに負けちゃった…」
僕なりに必死に詩を考えていたのに。
「だって、どうせ下心あるんでしょ? 昔から見舞いに来て」
「ははは…」
一目惚れした、なんて返せる訳ない。
しかも卒園式だし。
「本当、私はセミのおかげで生きている。私も、いつ死ぬかわからないから」
「長生きしてよ」
そして、僕と付き合って、
なんて言える訳ない、言える訳なかった、
でも今は言わなかったことを後悔している。
そして、今回も無事『外』に出る、
ヒトと比べたらあまりにも短すぎる命だけど、
『あの子』に元気をあげよう、
窓から見える『あの子』はもう『あの女性』と言った方がいいかもしれないけど、
『好き』という僕の気持ちは全く変わらない。




