#6 ねえ~ ねえ~ コロリよぉ~
本日もよろしくお願いいたします!
本日の投稿は、この#6からスタートです! 今日は、#10まで投稿予定です!!
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【前話のあらすじ:F級ダンジョン「ヘイパスの洞窟」の第2層。そこで見つけた隠し部屋の召喚陣を踏むと、そこには、ワン公が待っていた....】
「……グォォォォォォォォ……ッ!!」
空間が、震えていた。
目の前に鎮座するのは、三つの巨大な頭を持つ地獄の番犬、ケルベロス。
その巨体は、僕の今の視点からすれば、もはや「山」だ。
あ、正確に言おう。 山々.....いや、山盛り....かな...?
まあ、どっちでもいい。 とにかく僕は首を痛めそうだ...
足の指一本が、僕の全身よりも大きい。
見上げる角度が急すぎて、首の骨がパキパキ鳴って逝くぅ。
(……ねぇ、待って。君、今どこ見てるの?)
ケルベロスの六つの黄金色の瞳は、せわしなく左右に動き、虚空を睨んでいる。
……おかしい。僕はここにいる。
逃げも隠れもしない、オーロラ色に輝く最高にキュートな猫(自称・神格化不可避)が、鼻先数メートルの位置に立っているというのに。
(……あ、ふーん、そういう感じ....ですかぁ...?? 僕が「ちび」すぎて、視界に入ってないって感じですかぁぁあ!?)
なんという屈辱だろう。
サイズ差がありすぎて、彼にとって僕は「戦うべき相手」ですらなく、視界をチラつく埃か微生物程度にしか認識されていないらしい。
これでも元は身長一七五センチ。 立派なホモ・サピエンスだったんだぞっ!
「おい、こっちを見ろこの三頭犬っ! 網膜の端に僕を焼き付けろぉぉ!! 視力検査からやり直してこいっ!!」
僕は、憤慨しちゃったね。
猫としてのプライドなのか、それとも元人間としての自尊心なのか、そこはよくわかんないけど、とにかく「相手にされない」というのがこれほど腹立たしいとは。
立派なホモサピによる大陰キャ時代を思い出すよ.....
大陸(教室)から大陸(Toilet)へと渡り歩き(ささっと向かい)、未知の宝()を探しに行く....まるで青春時代(生シュン時代)のような.....
「って...!そんなのどうでもいいわぁぁぁあ!!」
僕はビシッと地面を蹴り、その巨体の周囲を神速で駆け回る。
ケルベロスは依然として「消えた敵」を探すように首を振り回している。
「てめぇ、舐めやがって!!後悔すんなよぉ、イヌコウ×3!!」
その時、ケルベロスが痺れを切らしたように三つの口を大きく開いた。
中央の首からは濁流のような火炎。 右の首からは大気を凍てつかせる凍気。 左の首からは、何やら禍々しい紫色の毒霧。
「あ、これ、絶対避けられない広範囲MAP兵器のやつだ...そっか...これが負けイベってやつね....」
不思議と怖くはなかった。
これ、僕、死んだら、どうなるんだろう......
氷河の闘技場が、一瞬にして赤と青と紫の混沌に包まれる。
逃げ場はない。闘技場全体が、死の属性魔法によって塗り潰されていく。
(……来る。……けど、あれ?)
僕の固有スキル「万象統御」が、僕の意志とは無関係に、周囲の魔力を激しく撹拌し始めた。
熱波が襲い、同時に寒波が肌を刺す。
本来なら一瞬で蒸発するか、カチコチの氷像になるはずの状況。
「……んんっ? なにこれ、あったかくて冷たくて……最高に『整う』んですけどぉぉ!!」
火炎の「陽」と凍気の「陰」。何より、状態異常の無効化...!!
それらが僕の周囲で万象統御によって中和され、純粋な魔力エネルギーへと変換されていく。
例えるなら、サウナと水風呂の交互浴。 地獄の業火が背中を温め、極寒の吐息が熱を冷ます。
血管が拡張し、魔力が全身を駆け巡る。
「あぁぁ……地獄の交互浴、たまんない……。地獄の番犬さん、温度調節バッチリ。君、もしかして一流の熱波師なの? 猫生が捗るわぁぁ……!!」
僕のMPゲージが、爆速で回復していく。
それどころか、溢れ出した魔力が僕のオーロラ色の毛並みをさらに輝かせ、二本の尻尾が興奮のあまり、ピンと立ってしまった。
「ふぅ……。最高のサービスだったよ。チップの代わりに、僕の新技をお披露目~~」
僕は、二本の尻尾をピタリと重ねた。
新しく手に入れた「双尾裂空」。
なんとなく、その使い方はわかっている気がする。
「ヘイ!ダブル!!お待ちどおさまぁぁ!!!」
僕は、重ねた尻尾を、左右にパッと分かつように振るった。
コンパスが半円を描くような、滑らかな一閃。
――シュンッ。
音は、後からついてきた。
どうやら、尻尾の振りも、敏捷150らしい。
「双尾の一振り」。
それは、大気そのものを物理的に断ち切る速度。
スキルによる隠蔽でも、魔法的な不可視化でもなく、 ただひたすらに、物理法則の限界を超えた「速さ」のみが、視認不能な真空の刃を形成する。
パシュッ、という乾いた音が闘技場に二度響く。
「……グアッ……!?」
ケルベロスの巨体が、がくりと崩れた。
何が起きたか分からぬまま、巨体を支えていた頑強な前足の腱が、不可視の刃によって正確に断たれたようだった。
ドスン、という地響きと共に、巨大な前足が僕の目の前に叩きつけられる。
それはまさに、巨大な「お手」の姿勢。
「はい、よくできました! お手、100点満点!!」
僕は、偶然(?)差し出された巨大な肉球の上に、ひらりと着地した。
どうだ、この圧倒的な「ちび」の力!!
小×大=超ではなくぅ、小×大⇒小なのだぁぁ!!!
ケルベロスの六つの瞳が、ようやく僕を捉えた。
そこにあるのは、獲物を見る捕食者の目ではなく、未知の恐怖に直面した生物の震えだった。
「クゥーン……」
地獄の番犬が、情けない声を漏らして三つの頭を地面に擦りつける。
「格付けcheck」は終わった。
犬も歩けば棒に当たる。そう、猫は当たらないのだぁぁぁ!!
かくして、猫(仮)vs犬(真)の、ちび(今は)vsでか(元々)の、1(ヘッド)vs3(ヘッズ)の、究極の決戦は、1匹のちび猫の「一方的なお手」を以て、幕を閉じた。
ケルベロスの巨体が、ゆっくりと光の粒子に変わっていく。
第2層の隠しボス(暫定)が、完全に消滅しようとしていた。
そして、その後に残ったのは、禍々しい紫色に発光する巨大な「魔石」だった。
僕の喉が物欲しそうに、「ニャウ〜」と鳴っている。
「おぉ……。これ、絶対高いやつだ....」
そうそう、猫に小判、豚に真珠、陰キャに口説。
「猫に小判」以外はどれも真実だろう...? え?僕だけ...? んな...アホな...。。。
ちなみに、「猫に小判」って言うけど、人間(未来予想夢Ⅱ)の僕にとって、価値はわかるし、なんなら欲しいからねっ!!
「飼い主するなら、金をくれ....」。。。チュールはいらん....
僕は魔石を前にして、ごくりと喉を鳴らした。
これを食べれば、新しいスキルが手に入る。強くなれる。
そういうことだろぉ?? Neah!!
さて、強くなれば、人間に戻れるのだろうか....? 強くなって、神獣とかになれば、人間になれちゃったりして....!!
僕は魔石を口にした。
カリカリカリッ....
あ.......ちょ....えぇぇぇ??
(いや……落ち着こう。この魔石はケルベロス仕様だ.... つまり犬だ..... ってことは....やっぱり、これを食べたら、僕の頭も三つに増えちゃう感じですかぁぁ!? 『三頭猫』とか、そんなキャラ被りな進化はやめてぇぇぇ!! せっかくのダンディー(猫)が台無しになるぅぅ!!)
僕は必死に、神様に祈った。
三つ首だけは勘弁して。五本指が欲しいの。スマホが触りたいの。
ピロン!!
『――個体名:フロストフレアキャット。特殊スキル:【影移動】を習得しました』
(……よかったぁぁぁ!! 見た目は猫のままだぁぁ!! 万歳! 万歳!猫猫歳....??)
いや、目的を忘れるな、僕..…!!
喜んだら、そこで人生終了だよ.....!!
とまあ、早速、スキルを見てみよう。
影移動。自分の影から、周囲の影へと瞬時に転移するスキル。
つまり、今の僕の敏捷と組み合わせたら、文字通り「消える」ことができる。
なんか嬉しくなっちゃって、闘技場で一人、自分の尻尾を追いかけてくるくる回っちゃったね。
勝利の余韻に浸る時間は、僕(陰キャ)のトークほどしかなかった....
目の前に、またしてもあの「黒い召喚陣」が口を開いたのだ。
まるで「お前の用事は済んだ、次へ行け」と命じているかのように。
「え、待って、確かに、MP満タンだけどぉ……。今は、勝利のキメポーズのバリエーション考えてる最中なんだけどぉぉ!!」
抵抗する間もなく、強制的に召喚陣の引力に吸い込まれる。
あの、えげつないG。 内臓が裏返り、三半規管がダンスを踊る、雑なワープ演出。
「うぷっ……もう嫌だ、ワープ禁止法とか作ってよぉぉ!!」
光が弾け、僕の意識は再び混濁した。
* * *
【ヘイパスの洞窟:第2層隠し部屋】
数分後。 神代正宗率いる、ハンター協会の精鋭部隊が、その場所に到達した。
「……ここか。岩壁を溶かして扉を作るなど、前代未聞だ」
正宗の声は低く、苛立ちを含んでいた。
ネット上では「猫様」の行方を追うハンターたちがヘイパスの洞窟に殺到し、カオス状態となっていたが、この隠し部屋にたどり着けたのは、Sランクである彼の直感と、精鋭たちの解析能力だけだった。
「正宗様、召喚陣の反応があります。……現在、起動中。誰かがこれを使用しました」
「……追うぞ」
正宗たちは、迷わず陣をくぐった。
転送の衝撃を完璧に殺し、武器を構えて着地する。
「…………な、んだ、これは」
A級ハンターの一人、降矢 一が、呆然と声を漏らした。
そこは、氷の薔薇が咲き誇る、幻想的な闘技場だった。
だが、その美しい景色の中央で、「何か」が崩壊していた。
それは、伝説の災厄指定モンスター、ケルベロス。 そのはずだった。
だが、そこにいたのは、全身をズタズタに切り裂かれ、前足を失い、光の粒子となって霧散していく「残骸」だった。
「ケルベロスが……倒されたというのか? この短時間に……我々が到着する、わずか数分の間に」
正宗は、消えゆく魔物の中心へ歩み寄った。 そこには、闘技場の冷たい床に残された、一つの小さな、そして鮮明な「猫型の足跡」。
「……ただの猫ではない。これは、既存のランク付けでは測れない『特異点』だ...」
正宗の手が、怒りと興奮で微かに震える。
「全ハンターに告げろ。ターゲットはもはや『愛玩対象』ではない。人類の脅威、あるいは人類を超える超越者だ。手段を選ぶな。あの猫を、生かして、あるいは死体でもいい、私の前に連れてこい」
地上の狂騒は、もはや「バズり」の域を超え、一つの「戦争」へと変貌しようとしていた。
* * *
(……う、うぅ……気持ち悪い……)
一方、ワープの衝撃で地面に突っ伏していた僕は、ようやく顔を上げた。
「……ん、今度はどこ? またお風呂? それとも今度は高級レストランかなにか……?」
「……何、これ」
目の前にそびえ立っていたのは、見たこともない質感の壁だった。
触ってみる。ビクともしない。
「グルゥゥゥ....」
僕のお腹の音でないことは確かだった。僕はゆっくりと振り向いた。
—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—
にゃーのスピnド・OFF:「えー、本日の気づき。魔石を食べると、頭の中に直接『美味しいです』って信号が来るのは、新手の洗脳ですか? 猫生、捗りすぎて怖いんだけど! 影移動も手に入れたし、これで最強のストーカー(猫)になれるね!……って、喜んでる場合じゃないよ! 振り返った時のあの唸り声、絶対お腹空かせてるよね!?……ニェァァァ!!」
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、ついに、決戦!!
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E.Nyaward:「「おはようございます! 朝早くからお付き合いいただき、感謝の極みにゃす。
進化した結果、なんだか背筋が伸びた気がします。でも中身は相変わらずの僕ちゃんなので、急に高貴な扱いをされると肉球がムズムズしますね。そろそろ人間の言葉を喋りたい……けど、このままでもいい気がしてきた自分もいて、複雑な人(猫)心です。
今日も一日、皆様に幸あれ! もしよろしければ、出勤・登校前にブックマークを『肉球』でポチッとしていただけると、今日一日のやる気が神速(敏捷150)でチャージされます!……次話も、よろしくお願い致しにゃす!」」
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