#5 洞窟を抜けると、そこは雪国とケルベロスだった
本日の投稿、最後となる#5です!
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【前話のあらすじ:ついに、「僕」は進化した!フロストフレアキャットに!!そして....】
(ふぅ……やっと、一人になれた……) なんて、既視感のある独白を繰り返すつもりはない。
今の僕は、自分でも見惚れるほどの「フロストフレアキャット」に進化した。
淡い青と朱色が溶け合うグラデーションは、まるでオーロラを纏っているかのようで、二本に分かれた尻尾は意志を持つように優雅に揺れている。
ちなみに、フロストフレアキャットに進化してから、僕はすごく強くなってしまいました....猫としてですが。。。
【名前:フロストフレアキャット(特殊)】 【レベル:1 / 10(次進化必要レベル:Lv10)】
【個体:ユニーク個体】 【属性:氷・炎・風】
【ステータス】 HP:70 MP:100 攻撃力:15 防御力:8 敏捷:150
【固有スキル:万象統御】
【スキル(習得済)】 氷魔法:Lv3 炎魔法:Lv3 風魔法:Lv2
【固有技能】・小火氷風・双尾裂空
【技能】 ・小火球 ・小氷弾・微風攻撃・短距離奇襲
鏡代わりの水たまりに映る自分を見る。
「……うん。控えめに言って、神格化不可避だね!」
そんな僕が第2層の深奥を音速で駆け抜けていた頃。
地上の「外側の世界」では、僕という存在を巡って、欲望の坩堝が沸騰していた。
* * *
【地上:ハンター協会日本本部・特別会議室】
「……合成ではないというのか。この、物理法則を嘲笑うかのような動きが」
冷徹な声が室内に響く。
Sランクハンター、神代正宗。
彼はモニターに映る「第1層でゴブリンを蒸発させた虹色の影」を、獲物を定める爬虫類のような目で見つめていた。
「はい。解析班によれば、あの個体から放たれたのは氷と炎の『同時重合』。理論上、人間には不可能な魔法演算を、あの個体は『お手』感覚で行っているようです」
秘書がタブレットを操作し、ネット上の狂騒を投影する。
配信サイトの同時視聴者数は数百万を突破し、SNSは「猫様」の話題一色だ。
『@裏路地の魔術師:あの個体、尻尾の付け根の動きからして、まだ進化の余地を残してる。確保できれば国防レベルの資産だぞ。』
『@チュール職人:てか、誰かあのキメポーズの理由を説明してくれw 鑑定不能なのも含めて、演出がプロすぎる。』
『@激辛ドラゴン:一億? 安すぎる。海外のギルドは十億の懸賞金かけてるぞ。テイムできれば世界最強の座が手に入るんだからな。』
正宗は鼻で笑った。
「十億か。安い買い物だな。……すぐに捕獲班を動かせ。ユウナとかいう小娘の甘い配信はもう終わりだ。あれは『愛でる対象』ではない。我が国が管理すべき『戦略兵器』だ。力ずくでも首輪をはめてこい」
世界中の野心家たちが、「猫の皮を被った特異点」を追い、ヘイパスの洞窟へ殺到し始めていた。
* * *
(……ハックション!!)
猛スピードで第2層の通路を横滑りしていた僕は、盛大なくしゃみをした。
「……なんだろう。誰かが僕を無理やり飼おうとしてるのかな....? それとも、進化の影響で鼻のセンサーが過敏になってるのかな……?」
僕は足を止め、前足で顔を洗う。
猫の嗅覚は鋭い。
だが、今の僕の鼻が捉えているのは、単なる獣の臭いではなかった。
それは、大気の密度が不自然に歪んだ、いわば「運命のエアポケット」のような匂い。
(……くんくん。……あ、こっちだ。すごく『いい展開』が待ってそうな香りがする)
僕は鼻をヒクつかせ、一箇所の岩壁の前で止まった。
見た目はただの岩。だが、僕の「感」が囁いている。
この先、絶対になにか面白い(あるいはひどい)ことが起きるよ、と。
「よし。猫の好奇心は、時として扉をこじ開けるんだよ」
僕は尻尾(朱)の先を壁に添えた。
軽く魔力を流すと、岩肌がバターのように溶け、隠し部屋が姿を現す。
そこは、幾何学的な紋様が床一面に刻まれた、広大な石室だった。
中心には、第1層のそれとは比較にならないほど巨大で、禍々しい「黒い召喚陣」が鎮座している。
「うわぁ……絶対入っちゃダメなやつだ、これ。ホラー映画なら最初に脱落するキャラが踏むやつだよね。……でも、こういう『怪しい場所』にこそ、人間に戻るための攻略本とか、神様への直通電話とかが置いてあるはず!」
僕は召喚陣の周囲を慎重に歩く。 このダンジョンの構造は、明らかにおかしい。
正規ルートのボスを通らずに、こんなショートカットが存在するなんて。
誰かが僕を、どこかへ急いで行かせようとしている……そんな予感。
(……迷うなぁ。でも、ここで立ち止まってたら、さっき感じた『誰かに狙われてる予感』が現実になっちゃうしね。僕、首輪とか絶対NG派だから!)
僕は意を決し、召喚陣の中央に、ぷにぷにの肉球を優しく添えた。
「いざ、未知のフロンティアへ! キメポーズ、準備完了!!」
刹那、視界が裏返った。 胃袋が喉元までせり上がるような、えげつないGが押し寄せる。
(あぁぁぁ!! ワープの演出が雑! もっとこう、ふんわり光に包まれる系にしてよぉぉ!!)
光が、弾ける。
次に目を開けた時、そこは「洞窟」の概念がゲシュタルト崩壊した場所だった。
「……あ、れ?」
雪が降っていた。
だが、それは冷たい水ではなく、純粋な魔力の結晶。
視界が開け、目の前に広がっていたのは、氷の薔薇が咲き誇る絶望的なまでに美しい「氷河の闘技場」。
「……グォォォォォォォ……」
三つの異なる重低音が重なり合い、空間を震わせる。
「……あへ? デカい。っていうか、顔が多い……?」
そこにいたのは。 氷の鎖に繋がれた、巨躯を誇る三頭の魔犬。
それぞれの口からは火炎、凍気、そして見るからに不吉な紫色の煙が漏れ出している。
地獄の番犬――ケルベロス。
「……ケルベロス、さん……ですよね? はじめまして。……って、これ第2層のボスじゃないよね!? 隠し部屋経由で、ラスボスの部屋に直行しちゃった感じですかぁぁ!!」
ケルベロスの六つの黄金色の瞳が、僕という「小さな不純物」を捉えていた。
三つの口から同時に、空腹を告げる低い唸り声が漏れる。
「……やっちゃいますか!!犬(真)VS猫(仮)の頂上決戦を!!」
ケルベロスが、氷の鎖を粉々に砕きながら一歩踏み出した。
その巨体が生む風圧だけで、僕のシルキーな毛並みが逆立っている。
(……やばい。これ、食べられるやつだ。……いや、待てよ。僕だって、ただの猫じゃない。炎と氷を操る猫又なんだ。……相手も炎と氷とあとなんか禍々しいやつぅ……!属性、被ってるぅぅ!! キャラ被りは配信界隈でもタブーなんですけどぉぉ!!!)
けれど、僕の体が恐怖で竦むことはなかった。
むしろ、全身を駆け巡る魔力が、強大な敵を前にして歓喜の雄叫びを上げていた。
僕は二本の尻尾を誇らしげに掲げ、オッドアイを鋭く細めた。
「……そうか...君もそうだったんだね....君も...わかったよ....そう、ここは弱肉強食の自然界なんだもんね....自然状態は猫の猫に対する戦争、そして犬の犬に対する戦争.....僕も君も、必死に自分と戦ってるんだもんね....でも、悪いけど、猫取物語はやらせないよ!!」
僕はケルベロスの牙が鼻先を掠める直前、空中で華麗に三回転した。
そして、二本の尻尾をハートの形に交差させ、最もあざとく、かつ挑戦的なポーズを決める。
「地獄の番犬だって、僕の美しさの前では『お手』するしかないんだからね!!」
青と朱の閃光が、地獄の巨影へと真っ向から突っ込んでいった。
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にゃーのスピnド・OFF:「えー、本日の愚痴。ワープのG(重力)がエグすぎて、せっかくのシルキーな毛並みが逆立っちゃったじゃないか! 演出担当、出てこい! あと、地獄の番犬さん、初対面で火と氷と毒を同時に吐くのは、マナー違反だと思います。属性のデパートかよ! 僕のキャラ被り、許さないんだからね!……ニェァァァ!!」
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、ついに、決戦!負けられない戦いが、次、始まる!!
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E.Nyaward:「最近、執筆に熱中しすぎて、つい独り言で『にゃ』と言いそうになります。スーパーのレジで危うく語尾が漏れそうになった時は、我ながら自分の将来が不安になりました。まだ正気を保っているつもりですが、明日の更新(6時頃)までには完全に猫になっているかもしれません。次回も、よろしくお願い致しにゃす!」
「明日も、5話分、投稿予定です!!」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!
・『自分』と『推し』のために暗躍する無能(偽)な護衛
【無双×悪役令嬢×暗躍×チート×恋愛】 → 悪役令嬢の護衛でありながら、別の「推し令嬢」を救うために裏で無双する暗躍劇です!
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