#3 人は遠く、手が届かない
評価、ブックマーク、ありがとうございます!! 執筆の励みになります!!
今後ともよろしくお願いいたします!!
【前話のあらすじ:初戦闘は「猫パンチ!」でゴブリンを殲滅....その威力に、世界は騒いでいたが、そんなことを知らない「僕」は「進化」すれば、「人生」を歩めるのではないかと気づく....】
(ふぅ……やっと、一人になれた……)
ユウナたちの気配が完全に消えたのを確認して、僕は深いため息をついた。
……いや、猫だから「フシュー」っていう、ちょっと威嚇っぽい音になっちゃったんだけど。
美少女に注目されるのは悪い気はしない。
むしろ、日本人男子としては鼻の下を伸ばして喜びたいところだ。
でもさ、今の僕は「猫」なんだよ。
あんな風にカメラを向けられて、「かわいいポーズ」を要求される状況で、陰キャスペックをフル稼働させるのは、精神的な摩耗が激しすぎる。
要するに、猫を被るのは辛いんだ....(え?もう、被ってるって....?...それなぁに?おいしいの??)
僕は第1層の奥にあった召喚陣を踏み、光に包まれてこの「第2層」へとやってきた。
第1層がどこか遺跡のような、ひんやりとした石造りの通路だったのに対し、この第2層は……なんだか、もっと「生物的」だ。
壁には奇妙な発光植物がへばりつき、奥からはゴブリンなんて比較にならない、もっと重苦しい、野獣のような臭いが漂ってきている。
「さて……ここからは、僕の時間だ。神様に文句を言うために、爆速でレベルを上げさせてもらうよ!」
僕は地面を蹴った。 今度は手加減なしだ。
「敏捷100」という、エッチな(禁断の)速度を解禁する。
「おぉぉぉぉ!! 速い! 速すぎるんだけどぉぉ!!」
ニャーは走った。視界が溶ける。
景色が線どころか、ただの光の帯に変わる。
壁を走り、天井を跳ね、重力なんていう古臭いルールを肉球で踏みにじっていく。
暗闇の中でも、僕の目は昼間のように全てを捉えていた。
それどころか、空気の振動、魔物の吐息、岩の隙間に流れる魔力の川まで、情報として「視える」。
(……あ、やばい。楽しい。これ、めちゃくちゃ楽しいんだけど!!)
一瞬、僕の中の「人間」が警鐘を鳴らした。
「おい、お前、さっきまであんなに絶望してたのに、猫の身体能力を全力でエンジョイしてんじゃねーよ」って。
でも仕方ないじゃないか。
これだけ自由自在に動けるんだもん。
僕、どんどん人間を辞めていってる気がするけど……今は考えないでおこう。
しばらく進むと、ダンジョンの空気が一変した。
粘り気のある、重苦しい魔力のプレッシャー。
そこには、さっきのゴブリンとは比較にならない、巨大な影が蠢いていた。
「グオォォォォン!!」
現れたのは、三メートル近い巨躯を誇るオークの群れだ。
鈍く光る鉄の斧を持ち、革の鎧で急所を固めている。
普通なら、ベテランの探索者パーティーが何時間もかけて攻略するような「中層の門番」クラスの魔物だ。
それが、この第2層でもう出てくるのか?
(ほう……いい実験台だね。僕の『小×大=中』の理論、ここで証明させてもらうよ)
僕は立ち止まらず、そのまま群れの中心へと突っ込んだ。
オークたちが斧を振り上げる。
その動作が、僕にはスローモーション……なんなら、静止画にしか見えなかった。
「ミャウッ!(あっち行ってて!!)」
僕は空中で身を翻しながら、前足を一振りした。
放つのは、習得したばかりの初級魔法。
「小火球」と「小氷弾」。
名前に「小」がつく、誰でも?使えるはずの魔法だ。
炎の熱と氷の冷気が、折り重なるようにして、螺旋を描き、風の加速によって超音速の弾丸へと昇華される。
ドォォォォォォォォン!!
爆音と共に、ダンジョンの通路が真っ白な氷とオレンジの炎に包まれた。
オークたちは悲鳴を上げる暇さえなかった。
一撃。
ただの一振りで、彼らの巨体は原子レベルで粉砕され、霧となって消えていった。
後に残されたのは、溶けた壁とその横で瞬時に凍りついた地面。
あへ....?.....あ...そういう感じ?......太陽と月が重なっちゃった感じですかね...??
(……だから、小×小=少々でしょぉぉぉ! なんで、小×小=超になるんですかぁぁぁ!!)
ツッコミを入れている間に、頭の中でファンファーレが鳴り響いた。
それは、昨日「神」が説明していた、自身が激変する合図の音。
『レベルが上がりました:Lv3 → Lv4 → Lv5』
『進化条件を達成しました。種族進化を開始します』
「お……!? きた、ついにきた!!」
僕は期待に胸を膨らませた。
皆さん! そうですよね、皆さんもそう思いますよね!!
レベル5。進化。 この言葉が意味するのは一つしかないですよねぇ!!!
From「猫」To「人」へのUP×UPですよねぇ!!!!
ん? 誰が、もうアップアップだって....? まだ、読者の皆様にUPはあげられません。
さて.....少なくとも、言葉が通じる姿、あるいはスマホを持てる五本の指を手に入れられるはずだ。
そんなことを思っていると、視界に豪華なウィンドウが浮かび上がる。
そこには、僕が進むべき「道」が提示されていた。
【進化先を選択してください】
1.ミニウィンドキャット (風魔法特化の小型の愛らしい猫。手のひらサイズへの誘い。より小さく、より愛らしく! 究極の癒やし系!)
2.ブラストミャウ (炎魔法特化。少し大柄なトラ柄の体毛。鳴き声一つで周囲を火の海に変える爆炎の猫。情熱的!)
3.ブリザードニャオ (氷魔法特化。体毛が滑らかで氷の世界に溶け込む。全てを凍らせる甘え声。絶対零度のアイドル!)
4.フロストフレアキャット (希少性が高く、気高き猫。体毛は淡い青色と朱色の体毛が交互に折り重なるようにして鮮やかなグラデーションを形成する。尻尾は二つに分かれ、一つは淡い青色、もう一つは朱色と艶やかな仕上げ。美しくふさふさな毛並みは見る者を魅了し、氷炎を統べる高貴なる者として君臨する……)
読者の皆様、大変失礼いたしました。
私の方が、「GIVE UP!!」でございます.....
「…………ミャオ!!(おい!!)」
僕は思わず声を(鳴き声を)荒らげた。
なんだこれ。
4番だけ説明文の気合の入り方が異常だろう。
1から3までは適当な「二行」で終わってるのに、4だけ作家が徹夜で考えたみたいな美辞麗句が並んでるじゃないか。
しかも、どれを見ても「キャット」「ミャウ」「ニャオ」……。
「人間どこいったぁぁ!! 一人に戻れる選択肢、一つもないんですけどぉぉ!!っていうか、もう少し、他の名前、ちゃんと考えてくれませんかぁぁぁ!!あと、はぁぁぁ!!」
ふぅ。まったく、僕としたことが....ダンディーに行くお約束だったじゃないか....
誰との? ってまたまたぁ....
とまあ、少し冷静になろうか....
なにせ、この選択を間違えれば、僕は一生、スマホを触れないどころか....
いや、よそう....そんなに猫ティブになる必要はない....
猫は一日にして成らず。有名な言葉だ。
それを信じよう!僕は人になるんだ!
—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—
にゃーのスピnド・OFF:「えー、本日の絶望。進化先の選択肢が全部『猫』って、どんな欠陥ゲームだよ! 神様のネーミングセンス、絶対徹夜明けで適当に決めたでしょ? 第四の選択肢だけ説明文に全振りするなら、せめて一カ所くらい『人間(全裸)』とか混ぜといてよぉ!!……ニェァァァ!!」
【お読みいただきありがとうございます!】
前話は強化!!つまり、次話は、ついに、〇化!!!
~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~
E.Nyaward:「「執筆していて、ふと思ったんですが、猫の体って便利ですよね。肩こりなさそうだし、どこでも寝れそうだし。ただ、スマホのフリック入力ができないのは、現代人(元)として致命的すぎにゃす……」.....次回も、よろしくお願い致しにゃす!」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!
・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』
【戦×無双×成り上がり×領地経営×魔法】 → 成り上がり無双譚です!
・『自分』と『推し』のために暗躍する無能(偽)な護衛
【無双×悪役令嬢×暗躍×チート×恋愛】 → 悪役令嬢の護衛でありながら、別の「推し令嬢」を救うために裏で無双する暗躍劇です!
・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』
【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!
・ロード・オブ・ザ・キャット~「人生」取り戻すために、「猫生」極めすぎたら、世界を救ってたって、それ営業妨害ですか.....?~
【無双×成り上がり×成長×魔法×猫×勘違い×コメディ】→「人生」を得るために「猫生」で無双する、勘違い無双譚です!
⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!




