#1:猫になったんだよぉね 僕は
「初めにゃして」「こんにゃちは」「こんにゃんは」。。。
数ある作品の中から本作を見つけていただき、ありがとうございます!
現代にダンジョンが出現し、ハンターになる人が増える中、ユニークな猫になってしまった元人間が、現人間に戻るために、「猫生」を頑張る話です!
「人間に戻りたい」と願うたびに、なぜか「神々しい猫」としての完成度が上がってしまう――そんな主人公の爆走と絶望を楽しんでいただければ幸いです。
本日は投稿初日ですので、一気に物語の世界に浸っていただけるよう、#5まで投稿するつもりでおります。 また、明日からも、ハイペースで更新予定です!!
~もし少しでも「おっ、面白いかも」と思っていただけたら、ページ下部の【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると、筆者もニャニャです。。
長くなってしまいましたが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします!
それでは、第1話。
絶望の「ニャン生」の幕開けです!
皆はさ、今、楽しい?
唐突にそんなことを聞いてごめんね。でも、今の僕にとっては切実な問いなんだ。
そっか……そうだよね、世界があんなにキラキラした「剣と魔法のファンタジー」に変わったんだもん。楽しくないわけがないよね。
あ、僕……? 僕は楽しかった……いや、楽しかったはずなんだ。過去形なのが悲しいところだけど。
きっと皆は、過去なんか気にしないから、前を向いて!って言ってくれると思う。
だから僕の過去は、皆が気にしない程度にささっと二言で済ませておくよ。
一言目:昨日、「神」って名乗る方が地球を剣と魔法の世界に変えるから、楽しんで!って言いだして、わいも世界も大歓喜。
二言目:朝、起きたら、知らないダンジョンの中にいた。
……ね? これだけで、僕がいかに「お約束」の急流に飲み込まれたか分かってもらえると思う。
さて、状況を整理しよう。 目が覚めた瞬間、僕が最初に感じたのは「違和感」だった。
まず、天井が高い。いや、天井が高いんじゃなくて、僕の目線が極端に低いんだ。
おまけに、なんだか鼻がムズムズする。
今までは気づかなかった「湿った土の匂い」とか「冷たい岩の匂い」、それから……なんだか、ものすごく美味しそうな「カリカリ」っぽい匂いまで、情報の洪水みたいに押し寄せてくる。
僕はとりあえず、自分が置かれた状況を確認することにした。
ここがダンジョンだって分かってから、入り口と出口を探したんだ。
出口はすぐわかった。なにせ、召喚陣的な、いかにも「ここから外に出られますよ」と言わんばかりの青白い魔法陣が、僕のすぐ後ろでぼんやり光っていたからね。
入り口の方は、なんだか目がものすごく良くなったみたいで、はっきり見えたよ。
結構遠くだけど、頑丈そうな鉄の扉が閉まっていた。
「よし、まずはあそこまで行って、世界がどう変わったか確認しなきゃ」
そう思って、僕は一歩踏み出した。 その瞬間—―視界が爆発した。
「……えっ?」
一歩踏み出したつもりが、気づいたら鉄の扉の目の前まで移動していたんだ。
早すぎて景色が線になって見えたよ。 これ、陸上選手が一生かかってもたどり着けない領域の速度じゃないかな?
神様、ありがとう。僕を「速度特化型ハンター」にしてくれたんだね。
僕は意気揚々と、次に宝箱を探すことにした。 ダンジョンといえばお宝だ。
速度がこれだけあるなら、トラップなんて余裕で回避できるはず。
そう確信して周囲を見渡した時、突然、鉄の扉の向こうから「ギィ」って音がした。 そのあと、「バタン」って大きな音。
「お、先客かな?」
僕はワクワクしながら、扉の方を振り返った。
そこでようやく、僕は「自分自身」の本当の異変に気づいてしまったんだ。
まず、手が……ない。 いや、手はあるんだけど、指が5本じゃない。
視線を落とした先にあったのは、淡い青色をベースに、ところどころに鮮やかなオレンジが混じった、最高にモフモフな「前足」だった。
中心にはピンク色の、ぷにぷにとした、どう見ても最高級の触り心地を約束する「肉球」が鎮座している。
(え、ちょっと待って? これ、僕の手……?)
試しに右手を上げてみる。モフモフが上がる。 グーパーしてみる。肉球から鋭い爪がシャキーンと出てきた。 ……うん、猫だね。これ、どこからどう見ても猫の手だね。
慌てて後ろを振り返ると、そこには細長くて立派な、これまたモフモフの尻尾があった。
僕の意志とは無関係に、期待でパタパタと地面を叩いている。
おまけに、背中には小さな羽が二つ。オシャレだけど、これで飛べるのかは謎だ。
(神様ぁぁぁ!!世界を楽しく変えるって、僕をペットにするってことなんですかぁぁぁ!!)
心の中で盛大なツッコミを入れている暇はなかった。
鉄の扉が開いて、そこから二人の男女が入ってきたんだ。
一人は、初心者用っぽい皮の鎧を着た、剣を持つ男の人。
もう一人は、同じような格好で、片手に自撮り棒みたいな……いや、あれは、昨日、「神」が説明していた魔導デバイスの配信カメラだ。
僕は、孤独を感じていたわけじゃないんだけど、あまりの衝撃で誰かに会えたのが嬉しくなっちゃって。
「やあ、助けてよ! 僕、猫になっちゃったんだけどぉ!!」 と言いながら、全力で彼らに駆け寄ったんだ。
……それが、まずかったのかな?
僕の「速度」を忘れていた。
彼らからすれば、青とオレンジの閃光が、音速に近いスピードで自分たちに突っ込んできたように見えたはずだ。
「ひっ……!? な、なんだ!?」 「魔物!? いきなりエンカウントぉ!?」
二人は悲鳴を上げながら剣を構えだしちゃって。
でも、女の子の方はプロ根性なのか、腰を抜かしつつもカメラをしっかり僕に向けたままなんだ。
ここで僕は気づいた。
そうだ、今の僕は「猫」だ。 でも、中身は礼儀正しい日本人の僕ちゃんだ。
初対面でいきなり突進するのは失礼だったよね。
ここは一つ、ビシッと挨拶して、自分が敵じゃないことを証明しなきゃ。
僕は、片手を腰(っぽい位置)に当てて、後ろ足で立ち上がり、その後ろ足を少し組んでみた。
片方の前足を軽やかにシュッと上げて、目はキリッと、体は少し斜めにして、これ以上ないくらい丁寧に、かつダンディに言ったんだ。
「やあ、初めまして! 僕は怪しい猫じゃないよ!」
……そしたら彼ら、僕の渾身のポーズと丁寧なあいさつを、これでもかってくらいフル無視しやがった。
「えー皆さん! すべてのダンジョンが解放されて1分。僕らは、このF級ダンジョン『ヘイパスの洞窟』に来ています! どうやら、僕らが一番乗りのようですね!」
どうやら僕の声は「ミャー! ミャミャー!」としか聞こえていないらしい。
悲しいよぉ。僕のダンディボイスが猫の鳴き声に変換されているよぉ。
どうやら女の子の番らしい。
「さて、ダンジョンで最初の遭遇イベントといえば、ゴブリンやスライムが定番だと思いますが、なんと私たちはすごいものに出会ってしまいました!! それがこちら! 猫ちゃんです! 鑑定してもよくわかりませんが、ネコ科なのは間違いなそうです!」
男の人が剣を突きつけてくるけど、女の子は僕のキメポーズを見て、徐々に表情を緩ませていった。
「おい、危ないんじゃねぇのか……? こいつ、動きが早すぎるぞ」
「待って、お兄ちゃん。見てよこの子……すっごい変なポーズで止まってる。これ、もしかしてファンサービス? あ、コメント欄も爆速で流れてる! 『何この猫w』『ポーズ草』『毛並み綺麗すぎ』だって!」
女の子は微笑みながら、慎重に近づいてくる。
もう、よくわかんないけど、カメラに映ってるんだもんね。
僕ちゃんは、おとなしくしとくってのが最低限のマナーだよね……。
「えー、御覧の通り、凶暴な感じではないです〜。毛並みは淡い青色が基調でオレンジ色の毛がところどころに混じっています! えっ、ちょっと待って……?」
女の子が持っているデバイスの画面を、僕は横から覗き込んでみた。
そこには、配信のリアルタイムコメントと一緒に、僕の「鑑定ステータス」が表示されていたんだ。
【個体識別:-----】 【種族:-------(ユニーク個体)】 【属性:------】 【固有スキル:------】 【危険度:測定不能】
(…ぜーんぶ、ぼーですー……あ、一つだけ見える....?....おん?.....測定不能?)
僕が画面の文字を読み取ろうと必死になっていると、コメント欄がさらに加速した。
『待て、今ステータスにユニークって出なかったか?』
『こんな魔物、公式データベースに載ってないぞ!』
『測定不能!? 猫の皮を被ったラスボスだろこれw』
「えー、なんかリスナーのみんなが騒いでるけど……えいっ」
女の子が、恐る恐る僕の頭に手を伸ばしてきた。
僕は「やあ、いいよ。撫でてごらん」という気持ちで、目を細めた。
その瞬間だった。
僕の背後、つまりダンジョンの奥から、嫌な粘り気のある殺気が飛んできたんだ。
「グギャッ!!」
鉄の扉から入ってきた二人を追うように、暗闇から緑色の肌をした醜い魔物――ゴブリンが三匹、飛び出してきた。
手には錆びたナイフを持ち、女の子の背中を狙っている。
「えっ……あ、キャッ……!」
女の子が振り返ったけど間に合いそうになかった。
(おいおい、初対面のレディを傷つけるなんて、マナー違反だぞ)
僕は無意識に、右の前足を振り抜いた。
猫パンチのつもりだった。
「危ないから、あっち行ってて!」っていう軽い拒絶のつもりだったんだ、ほんとに。
でも、僕のパンチは軽くなかったみたいなんだ。
「ミャウッ!!(あっち行け!!)」
僕が手を振った瞬間、前足の肉球から――淡い青色の冷気と、鮮やかなオレンジ色の炎が、螺旋を描いて同時に噴出した。
氷の粒子が空気を一瞬で凍りつかせ、真空状態を作り出す。
そこに炎の熱膨張が加わり、さらに風がそれを加速させた。
ゴブリンたちは悲鳴を上げる暇もなかった。
一撃。 ただの「お手」に近い一振りで、三匹のゴブリンは氷漬けになったまま粉々に爆発し、霧となって消えた。
ダンジョン内に、静寂が訪れる。
「……え?」 「……は?」
剣を構えていた男の人も、カメラを持った女の子も、石像のように固まっていた。
そして、爆発的な加速を見せていたコメント欄も。
僕は、とりあえず気まずくなって、右の前足をペロペロと舐めてみた。
うん、猫だからね。こういう時は毛繕いをして落ち着くのが一番だよね。
(……神様 どうか どうか 人に戻して。。。ってか、楽しい世界に変えるって言ったよね?)
(これ、全然『楽しい』レベルの出力じゃないんですけどぉぉぉ!!)
僕の心の叫びは、やっぱり「ミャーン」という可愛らしい鳴き声になって、静まり返ったダンジョンに虚しく響き渡った。
この日、全世界で最もバズった動画のタイトルは、 『F級ダンジョンに現れた「ポーズを決める混合色の猫」、一撃でゴブリンを蒸発させる』 に決定した。
こうして、僕の「ユニーク猫」としてのレベル上げ生活が、華々しく幕を開けたんだ。
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にゃーのスピnド・OFF:「えー、本日の教訓。音速で走るのはいいけど、急に止まると肉球が摩擦で熱いです。あと、人は混合色の猫が突っ込んでくると、挨拶よりも先に剣を抜くみたい。失礼しちゃうよね。将来的には、納税義務を果たそうとしてた善良な市民(予定)だったのに!……ニェァァァ!!」
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、「僕」の性能が判明します!!
~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~
E.Nyaward:「色々、迷いました....文体は、馴れ馴れしくいくのか、少し距離を置くのか。ギャグ要素はどのくらいまでが、うざくならないか....などなど......次話もよろしくお願い致しにゃす.....」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
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