第11話
昨日、遠藤の真意に気がついた旭は、すぐにウォッチャー本部に連絡した。その際、徹が決起会を開くことを教えてもらった。警察は中止するべきと忠告したが、徹側はテロには屈しないと拒否。そのことを聞いた旭は呆れながらも、会場内にウォッチャーを潜入させ、あるものを探すことを提案した。
それは爆弾。リベルタスは海外のマフィアから大量の爆薬を買っていた。遊園地のアジトで半分は押収したものの、もう半分は行方知らず。
もし、爆薬を使うなら、この決起会が狙い目だと旭は考えた。
「今、他のウォッチャーから連絡が来ました。ホール内に仕掛けられた爆弾を見つけ、すでに解除したそうです」
リベルタスが銃を乱射する中でも、警察やウォッチャーは爆弾を捜索し、そして決起会のイベントホール内で発見。爆弾にリベルタスの弾が命中しなかったのは、まさに幸運だ。リベルタスも自分達が購入した爆薬で爆殺される予定だったとは、思いもしなかっただろう。
遠藤は「……そうか」と小さく呟く。
「君の予想通り、小林徹諸共リベルタスも爆弾で殺害するつもりだった。あいつらは平気で人を殺すような奴らだからな」
「……遠藤さん、あの場には徹さんの支援者達もいました。彼らも一緒に死んでよいと思っていたのですか?」
声を低くする旭に対し、遠藤は手を振って即座に否定。
「まさか。リベルタスを適当に言いくるめて、支援者達だけは逃すつもりだったよ。いくら支援者といっても、俺もそこまではしない。……リベルタスを抹殺できなかったのは残念だが、あいつらには法の裁きを受けてもらうとしよう。……だが!」
遠藤は、徹のこめかみに銃口を強く押し当てた。
「だが、こいつだけはダメだ。こいつだけは生かしちゃおけない!」
「何故、遠藤さんはそこまで、小林徹さんの殺害に拘るのでしょうか?」
「未来での犠牲を出さないためだ」
「未来での犠牲?」
「そうだ。今日、こいつの過去の罪が明るみに出てた。それらについて罰を受けるだろう。だが、こいつはあくまで川村裕太郎に協力しただけで、実行犯ではない。有罪になっても、せいぜい数年刑務所で過ごすだけだ。出所した後は、父親の跡を継ぎ政治家となる。こんな自己保身のことしか頭にない奴が政治家になったら、どうなると思う? 多くの国民が犠牲になるだろう。そんなこと、あっちゃいけない。達也君達のような犠牲を二度と出さないために、ここで殺すんだ!」
遠藤は銃弾を小林の頭蓋に打ち込むため、銃の引き金に指をかける。徹は涙と鼻水を垂らしながら「死にだくない! お願いだ!」と必死に命乞い。迫り来る死の恐怖に耐えられなかったのか、徹は失禁し彼の股間からは黄色い液体が滴り落ちる。
旭はその二人の様子を冷静に見つめ、一言呟いた。
「桜さん、お願いします」




