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手紙

手紙が届いて数日。僕はどういう内容で返信しようかと未だに悩んでた。


でも今日中に書き切ると決めたから、一応書く体をしている。


休み時間のたびにレターセットを出しては片付け、また出しては……。


「あら紡さん、誰かにお手紙ですの?」


そう言って声をかけてきたのは、えーと。名前なんだっけ。


「あ、えーと……」


「皆さんはワタクシの事は「お嬢」と呼びますわ」


「え、でも名前で呼びたいかも」


「そんなにワタクシと仲良くなりたいのですの!?嬉しいですわ!」


何を勘違いしたのかスイッチが入ってしまったようだ。


腰に手を当て少しふんぞり返ると、少し空気が変わった。


「ではまず、我が宝田財閥の歴史のお話からして差し上げますわ」


少し上品な空気が流れ、これからセミナーでも始まるような予感がした。


しかしそんなことにかまけてる暇はない。いち早く手紙を完成させたいんだ。


「あ、あ~!待って待って!今ちょっと忙しいからまた今度ね。あ!ほら!授業始まるよ」


「むぅ。仕方ありませんわ。またの機会にお聞かせしますわ」


ふぅ。逃げ切った。とりあえず手紙は放課後に図書室でゆっくり書こうかな。


――放課後になり、聞こえるのは吹奏楽部の練習する音や、軽音楽部の各パートのチューニングする音とか、いろんな音が聞こえる。廊下から図書室へ入ると、無音になり集中できる空間が生まれる。


とりあえず手紙を書かないと。


――自分も音宝女子高に通ってるなんて話は書き出せずに、音楽活動してる話とかを少しだけ書いてみる。


書くこと自体はそんなになくて、変わらない街の事と、お母さんはもういないこと。それでも何とか頑張ってるよってことと、悩んだ末に自分のSNSのアカウントを書いた。


とりあえずはこれで良し。連絡が来ればまた久音ちゃんと遊べるから楽しみだ。


 そうして帰路につき、散った桜の事を少し儚く思ったりもした。


枝には何も残らない。その寂しさをお母さんの事と照らし合わせたりもして、儚さは悲しみへと変わっていった。


「お母さん。僕は今ちゃんと合ってるかな?ちゃんとやれてるのかな」


そんなことはお父さんにでも聞けばいいのに、どうしてもこういう話はお母さんにしたくなってしまう。


道行く子連れの母親を少し恨めしく、羨ましく思った帰り道だった。

更新頻度を決めることが出来なく、結構バラバラなタイミングになっています。

決まるまでしばらくお待ちください。

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