家族の食卓【前編】〜大学卒業して1人暮らしを始めた娘と父親の思いが切なすぎる!
こんにちは。本作『家族の食卓』を手に取ってくださり、ありがとうございます。
家具は単なる道具ではなく、そこには家族の思い出や絆が刻まれていきます。
この物語は、実家を離れて一人暮らしを始めた娘と、その父親が交わした 「食卓」 にまつわるエピソードです。
父が選んだランプの優しい光、そして食卓を囲む時間――それらがどれほど 家族の温もり を感じさせるものなのか。
この物語を読んだあと、みなさんもふと 自分の食卓 を見つめ直してみたくなるかもしれません。
また、本作は アニメ『Interior Dream』 と連動し、ボイスドラマ化 もされています。
Spotify、Amazon、AppleなどのPodcastプラットフォーム、そして 服部家具センター『インテリアドリーム』公式サイト でもお楽しみいただけます。
物語を読みながら、ぜひ音声版でも “インテリアの物語” を体感してみてくださいね。
さあ、食卓がつなぐ家族の記憶 を紡ぐ、あたたかな物語をお届けします。
登場人物
・主人公(24歳)・・・名古屋市内で1人暮らしのOL。実家の父母とはなかなか会えない
・主人公の父(51歳)・・・地元の建設会社を経営。妻とは半分かけおちで結ばれている
・主人公の母(53歳)・・・夫の仕事を手伝いながら民謡も教える唄者
【Story〜「家族の食卓/娘」篇】
娘:「ただいま」
誰もいない部屋に私は声をかける。
1DKの小さな空間。
食卓に置かれた小さな灯りが、仕事で疲れた私の顔を優しく照らす。
そう、あれは6年前。
この町に1人で暮らすことになる私に、父が選んでくれたランプ。
父は、末っ子の私のことが心配でたまらないのに、
そんな思いを気取られないよう必死で隠しながら、
父:「灯りは玄関から見えるところに置きなさい。
灯火というのはね、ランプの中で紡ぐ、幸せの光なんだよ。
この部屋にもいっぱい幸せが訪れるように・・・」
娘:私は潤んだ瞳を父に見られないよう、顔を背けて、
キッチンの棚にランプを置き、灯りをともした。
父:「本当になんにもない部屋だな。
いろいろ家具を選びにいかないと・・・」
娘:「この部屋じゃ、そんなにたくさん入んないよ」
父:「そうか・・・あ、でも、ほら。
ここには肝心なものがないじゃないか」
娘:「え・・・」
父:「食卓・・・だよ」
娘:「食卓・・・」
父:「部屋にどうして食卓が必要か、わかるかい?」
娘:「ごはん、食べるためでしょ」
父:「それも、そうだけど、食卓というのは、家族の絆なんだよ」
娘:「家族の絆・・・」
父:「ああ、たとえどんなに離れていたって、
食卓があれば、家族の温もりが消えることはない。
いつだって、お父さんやお母さんがここにいるから」
娘:「お父さん・・・」
父:「い、いや、お、お父さんは別に大丈夫だから。
食卓でちゃんと栄養価の高いものを食べて、
たまには寂しがりやのお母さんに手紙でも書いてあげなさい」
娘:手紙って・・・。普通にメールでしょ。
でも、そう言った父の瞳に映る私の顔は少しゆがんで見えた。
玉響の思い出・・・。
そのあと父と行ったインテリアスタジオ。
あんなに、愛しくて、切ない家具選びはきっとこれからももうないだろう。
娘:あれから6年。
私の生活は、オフショルダーのシャツとデニムパンツからコンサバスーツに。
部屋のインテリアも新しくなった。
でも、部屋の中には、あの食卓とランプが健在だ。
どんなに疲れて帰ってきても、私はキッチンで食事を作り、食卓で食べる。
ランプの灯りは、父の温もりのように私を優しく包む。
眠くて、翌日早くて、時間がなくて、カップラーメンで済ますときでも
私は、食卓で、食べる。
そこには家族がいるから。家族の愛を感じるから。
私の生活を彩り、私の人生を紡ぐインテリア。
これからも、私はきっと、この食卓の温もりに抱かれ、
ランプの灯りに照らされて生きていく。
いつか私に、もっと大きな幸せが訪れても。
私は決して1人じゃない。
「いただきます、お父さん」
「ごちそうさま、お母さん」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
一人暮らしの部屋に帰ってくると、ふと寂しさを感じることはありませんか?
けれど、そこに 家族の思い出が宿る家具 があれば、孤独ではないと気づく瞬間があります。
今回の物語で登場した ランプと食卓 は、まさにそんな 家族の温もり を象徴する存在でした。
次回の後編では、父の視点から 「家族の食卓」 を描きます。
娘を送り出す父親の想い、そして 親が子どもに託す願い をぜひ感じていただければと思います。
また、本作の ボイスドラマ も各種プラットフォームで配信中です!
音声で聴くことで、よりリアルに物語の温かさを感じていただけるはずです。
ぜひ、そちらもチェックしてみてくださいね。
それでは、次回の後編でお会いしましょう。